■第だい３０話わ　エルフちゃんとハロウィン

　十月じゅうがつも終おわりごろ。ああ知しっていると思おもうがハロウィンがある。
　近年きんねん、年々ねんねんそのお祭まつりは規模きぼが拡大かくだいしていて、デパートや大手おおてスーパーなどでも飾かざりをしたりと商売しょうばいにするのに余念よねんがない。

「日本にほんというか世界せかい中じゅうでハロウィンはある」
「へぇ、ハロウィンですかぁ。アニメで少すこしだけ知しっていますぅ」
「やっぱりアニメなんだな」
「はいですぅ」

　ララちゃんはアニメに詳くわしいからな。
　確たしかに日常にちじょう会話かいわに苦労くろうしないレベルの日本語にほんご力りょくとなるとアニメを相当そうとう見みまくったに違ちがいない。
　最近さいきんでも夜よるに一人ひとりで部屋へやで見みているらしい。
　家いえの中なかのテレビは録画ろくがが共有きょうゆう出来できて部屋へやでも見みれる。
　パソコンも政府せいふから支給しきゅうされているのでそれでもネット番組ばんぐみだって見みれる。
　部屋へやで何なにしているかまでは知しらない。プライベートも大切たいせつだろう。

「えへへ、ハロウィンですぅ。玄関げんかんに荷物にもつが届とどいてましたぁ」

　最近さいきんはもうほとんど置おき配はいになっていた。

「何なに買かったの？」

　ララちゃんには外交がいこう機密きみつ費ひあたりからお小遣こづかいが出でている。
　国家こっか機密きみつの存在そんざいは伊達だてではないらしい。

「えへへ、ハロウィンのサキュバスちゃんのコスプレですぅ」
「サキュバスか……ってサキュバスかよ」
「はいっ、ご想像そうぞうの通とおりかと旦那だんなっ、楽たのしみにしてくだせい、ぐへへ」

　なぜか三下さんした口調くちょうであおってくる。
　いや別べつにいいけど、なんだか似合にあわなくて笑わらってしまう。
　ララちゃんかわいい。

　ガタガタやっていたがしばらくしたら部屋へやから出でてきた。

「どうですかぁ？」
「ちょっとっ、ララちゃん！！！」

　顔かおを赤あかくしてララちゃんが体からだを見みせつけてくる。
　あーね。下着したぎとほとんど変かわらないというか、紫むらさきのマイクロビキニみたいな格好かっこうしていて、普通ふつうの下着したぎより隠かくす面積めんせきが少すくない。
　白しろいお腹なかとおヘソ、くびれなんかも丸見まるみえだ。
　ぶっちゃければかなりエッチだ。

「あのどうですかぁ、にやにや」
「えっとララちゃん。これで外そとを出歩であるこうとしてる？」
「まさかぁ、これは室内しつない用ようですよぉ。ケート君くんを虜とりこにするために買かってきましたぁ」
「俺おれ用ようかよっ、うおおおお」

　かなりエッチだ。それこそ襲おそいたいくらいだ。
　おっぱいなんて先さきは隠かくれてるけど下乳したちちなんて丸見まるみえだ。
　めちゃくちゃ柔やわらかそう。
　下しただってビキニのローライズの紐ひもなのですげえ隠かくす面積めんせきが小ちいさい。かろうじて隠かくれてる。
　極きわめつきは子宮しきゅうの上うえに淫紋いんもんシールが貼はってある。ララちゃんこんなことまで……
　これはいけないなぁ。

「後うしろだってすごいんですよ」
「うぉおいいいい」

　Ｔバックじゃん。生なまのＴバックなんて初はじめて見みるんだが。
　丸まるい綺麗きれいな肌はだのお尻しりがぷるんとこんにちは。
　背中せなかなんて紐ひもがあるだけ。お尻しりもそうだけど。

「恥はずかしくないの、そんな格好かっこうして」
「何なに言いってるんですか？　恥はずかしいに決きまっていますよぅ」
「ならやめればいいのに」
「ケート君くんだってこういうの好すきでしょ？」
「ぐぅうう、……好すきだけど」

　俺おれがぼそっというと、ララちゃんがガッツポーズを決きめる。
　まったくいけないんだから。

「ちょっとお兄にいちゃんっ、ララちゃん。はしたないです。やめてください」

　妹いもうとが騒さわぎを聞ききつけて部屋へやから出でてきた。
　その頭あたまには黒くろい猫耳ねこみみ、腰こしの後うしろには黒くろい尻尾しっぽがついている。
　黒髪くろかみロングに猫耳ねこみみが追加ついかされて天使てんしかというぐらいかわいい。

「いや、お前まえだってパジャマに猫耳ねこみみとか俺おれを狙ねらい撃うちにきてるだろ」
「えへへ、お兄にいちゃん私わたしのパジャマ姿すがた好すきなの、知しってるもん」
「小悪魔こあくまはこいつだ！」
「小悪魔こあくまとサキュバスが責せめれば兄にいちゃんもイチコロです！」
「まったく困こまった妹いもうとだ」
「えへへ、今いままで我慢がまんしてきたんですから、お兄にいちゃんとラブラブしたいですっ」
「ほどほどに頼たのむ」

　猫耳ねこみみの妹いもうととサキュバスのララちゃんが俺おれに迫せまってくる。
　左右さゆうから抱だき着つかれて俺おれは居間いまのソファに座すわらされている。

「えへへへへ」
「うふふふふ」

　左右さゆうからうれしそうな笑わらい声ごえが聞きこえてくる。
　俺おれはちょっと怖こわいなと思おもいつつ、可愛かわいい二人ふたりをちらちらと見みては少すこし興奮こうふんする。
　悪わるくはない、悪わるくはないのだ。
　ただ俺おれは童貞どうていなのでこういう刺激しげきに弱よわい。逃にげたくなってしまうが、逃にげたら堪能たんのうできない。
　自分じぶんとの戦たたかいだった。これは恥はずかしいという自分じぶんと、うれしいという自分じぶんのせめぎ合あいだ。
　楽らくになっちまいな、と悪魔あくまがささやく。
　いや倫理的りんりてきによくない、と天使てんしが正論せいろんをいう。

「ぐぬぬ」
「えへへへへ」
「うふふふふ」

　ピンポーン。
　そこへ人ひとがやってくる。

「お前まえらは出でてくるなよ。人様ひとさまに見みせていい格好かっこうじゃない」
「「はーい」」

　大人おとなしくしたがってくれてうれしい。
　玄関げんかんに向むかったらそこには救世主きゅうせいしゅ様さまのハルカがいた。

「おおよかったハルカ、こいつらどうにかして正常せいじょうに戻もどしてくれ」
「あら、もうやってるの？」
「おい、ハルカ、聞きいてるか？」

　そういうとなぜかセーラー服ふくのハルカがウサ耳みみをつける。
　髪色かみいろに合あわせた茶色ちゃいろウサ耳みみのふわふわセミロング。ぐさっと俺おれの性癖せいへきに突つき刺ささる。
　それからミニスカートに黒くろのガーターベルトとニーソックスになっていた。
　妹いもうともかわいかったがバニーガールみたいでなんだかエロい。

「しっぽもいるよね」
「いや、まあ、うん」

　そういうとスカートの上うえの部分ぶぶんにぽんぽんの茶色ちゃいろいウサ尻尾しっぽを装着そうちゃくした。
　いやかわいいけど、なんだろう、真面目まじめな彼女かのじょがやると発情はつじょうしてるメスみたいで……気きでもやってしまったのかと。
　恋こいは盲目もうもくとはよくいう。

「恥はずかしいんだからねっ」

　いや、ハルカにツンデレ口調くちょうで言いわれても。
　その恥はずかしそうに頬ほおを赤あかくしてはぁはぁと息いきをするのはめっちゃエロいけど。

　そうしてなぜかコスプレをした三人さんにんに囲かこまれて俺おれはしばらく過すごした。
　天国てんごくであり地獄じごくでもあった。南無三なむさん。