■第だい２４話わ　エルフちゃんと市民しみんプール

　埼台さいだい市しにも市民しみんプールがある。
　だいぶ年季ねんきが入はいっているが、改修かいしゅう工事こうじもしばしばしていて、去年きょねんには最新さいしんの流ながれるプールが完成かんせいして人気にんきを博はくしていた。
　今年ことしもきっと人ひとが多おおいと思おもう。なんといっても入場にゅうじょう料りょうが安やすいのが売うりだ。なんでも売店ばいてんなどの売うり上あげがけっこうあるため、それでも儲もうかってるとかなんとか。

「ということで市民しみんプールへ行いこう」
「はいっ、また泳およいじゃいますぅ」
「私わたしは流ながれるだけにしようかな」
「一緒いっしょにいっぱい流ながれましょうねぇ」
「うん」

　なんだかあまり乗のり気きではないハルカをよそに、ララちゃんは積極的せっきょくてきだ。
　歩あるくのも面倒めんどうなのでバスをちょちょっと乗のって市民しみんプール前まえで降おりる。
　市内しない循環じゅんかんバスができて時間じかん間隔かんかくが十五じゅうご分ふんに一本いっぽんと利用りようしやすくなって便利べんりになった。
　そのかわり市外しがいなど遠とおくの方ほうへ行いくバスは本数ほんすうが減へらされてしまってお年寄としよりは少すこし困こまっているとか聞きいたことがある。
　アキラは夏期かき講習こうしゅうがあるとかでお休やすみになっております。

「プールですぅ。プール、プール、プールぅ」
「ララちゃん今日きょうはご機嫌きげんだね」
「はいですぅ。ケート君くんにお嫁よめさんにしてもらえるようにいっぱいアピールしちゃいますよぅ」
「お、おう」

　そういう冗談じょうだんも言いうようになったか。なかなかやる。
　まあなんというか元気げんきになってきたなら結構けっこうなことだ。

「景都けいとにアピールって無言むごんで立たっててもかなりのアピール部位ぶいがあるのに」

　ぼそりとハルカが言いう。
　まあその、なんだ、この前まえから微妙びみょうにエルフ感かんのある緑みどりの水着みずぎそれもビキニのメロンちゃんがアッピールしまくってるからね。
　ハルカだってそこそこのアピール力りょくだから他人たにんのことは言いえないだろうに。

「着替きがえてきますね、また後あとで」
「ああ、いってらっしゃい」

　男女だんじょ別べつの更衣こうい室しつに入はいる。
　近年きんねんになって建たて直なおした更衣こうい室しつも入はいる管理棟かんりとうがあるので、海うみの家いえにくらべると格段かくだんにいい環境かんきょうだった。
　男子だんし更衣こうい室しつでさえ広ひろくて明あかるい。
　シャワーも新あたらしいのがついていて鏡かがみやトイレ、使つかいやすいロッカーなどもある。
　これなら女子じょし更衣こうい室しつもかなりの出来できだろう。
　俺おれはそそくさと水着みずぎになってプールサイドへと向むかった。

「お待またせしましたぁ」
「くぅ」

　ハルカがすでに脅威きょういの格差かくさ社会しゃかいでダメージを受うけているが、しかたがない。

「二人ふたりとも今日きょうも似合にあっているよ」
「やったぁ」
「ありがと」

　同おなじ水着みずぎなのでこれといって違ちがいはない。
　単純たんじゅんに言いうなら、おっぱいがね、すごいね。
　実じつを言いえば紐ひもビキニなので下したもかなり面積めんせきが小ちいさくて結構けっこう際きわどい。俺おれが女おんなの子こだったとして、こんなの着きるところを想像そうぞうしたら恥はずかしくなってしまいそうなくらいだ。
　それでも女おんなの子こはこういう服ふくを着きるんだから大変たいへんだ。

「ポテト買かいましょう」
「おう」

　そう言いってみんなでさっそくポテトの列れつに並ならぶ。
　ここのポテトはもう長ながいことやっていて老舗しにせのレベルなんだけど、一部いちぶの人ひとたちに美味うまくて量りょうが多おおいとして有名ゆうめいだった。

「はいフライドポテト、一ひとつ」
「ありがとうございます」

　電子でんしカードでちゃちゃっと払はらう。
　俺おれが小ちいさいころは小銭こぜにだったが今いまではここもカード一枚いちまいで済すむ。
　ズボンのポケットにカード入いれておけばいいだけだから楽らくだ。

「あつあつ、美味おいしいですぅ」
「いつ来こてもサックサクね」
「ああ、あのおっちゃんはベテランだからな。俺おれが小ちいさいころから同おなじ人ひとだ」

　ポテトが美味うまい。
　水みずで遊あそびに来きたことを忘わすれそうになるくらいだ。

「さて手ても洗あらったし、泳およごうか」
「はい、流ながれましょう」
「うん」

　一人ひとり一台いちだい。大型おおがたの浮うき輪わを借かりてそれにお尻しりを乗のせる。
　そうしてプールで流ながれていく。
　ララちゃんの近ちかくにいると気きが付つくことがある。それは視線しせん。
　俺おれだけやハルカと一緒いっしょにいるときもしばしば視線しせんを向むけられてきた。
　でも段違だんちがいにララちゃんといると視線しせんが刺ささる。

　たまに浮うき輪わも揺ゆれるとララちゃんのおっぱいも揺ゆれてぼいんぼいんとなる。
　男おとこたちの熱あつい視線しせんがそれに吸すい寄よせられるのがなんだかハエ捕とりホイホイみたいな感かんじがある。あのコバエが吸すい寄よせられるのに似にている。
　男おとこたちは揃そろって鼻はなの下したを伸のばしているのでよく分わかる。
　あー本当ほんとうに感情かんじょうって顔かおに出でるんだな、というのも情なさけないものだ。
　まあね。俺おれもさすがにメロンが流ながれてきたら注目ちゅうもくすると思おもう。

「うぉおおおおおおお」

　俺おれたちは順番じゅんばんにウォータースライダーを滑すべっていた。
　まず先さきに俺おれ。そしてララちゃん、最後さいごにハルカだ。

　ざぶぅーーん。

　下したまで降おりると小ちいさいプールがあるのでそこに着水ちゃくすいする。

　そしてララちゃんが降おりてくる。

　ざぶぅーーーん。

「きゃああ」

　うぉおおとララちゃんが両手りょうてで胸むねを押おさえている。
　紐ひもが取とれてしまったらしい。
　俺おれが慌あわてて駆かけ寄よる。

「大丈夫だいじょうぶ？」
「はい。でも紐ひも取とれちゃって」
「正面しょうめん立たってるから今いまのうちに」
「分わかりましたぁ」

　ララちゃんが俺おれに隠かくれながら背中せなかの紐ひもを縛しばる。
　ふうぅ、なんとか元もとに戻もどせたようだ。
　前まえの方ほうも位置いちを微調整びちょうせいしていた。あまり人ひとには見みせたくない。
　ララちゃんのおっぱいが大公開だいこうかいとかになったら、さすがの俺おれも苦くるしい。

「あの、ありがとう、ケート君くん。うれしいですぅ」
「なに、なにもしてないさ、立たってただけだよ」
「それでも、心配しんぱいしてくれて、うれしかったですぅ」
「まあな」

　そう言いってギュッて抱だき着ついてくる。
　おうぉおおおお、おっぱい、ほぼ生なまのおっぱいが直じかに当あたってる。
　ワザとやってるんだろうけど、すごい衝撃しょうげきだ。
　めちゃくちゃ柔やわらかい。なんだこれ。地球ちきゅう上じょうの物質ぶっしつじゃないみたいで。
　そういえばララちゃんのおっぱいは本当ほんとうに地球ちきゅう上じょうの物質ぶっしつじゃないかもしれないんだった。がっでむ。
　俺おれは、この日ひ、最大さいだいの衝撃しょうげきを受うけた。