■第だい１９話わ　エルフちゃんと七夕たなばた

　日曜日にちようび。俺おれとララちゃんは埼台さいだい駅前えきまえ商店街しょうてんがいに来きていた。
　俺おれたちの住すんでいる東区ひがしくの東川ひがしかわ駅えきから電車でんしゃで一駅ひとえきだ。
　毎年まいとし七月しちがつ上旬じょうじゅんの土日どにちを含ふくむ七日なのか前後ぜんごには七夕祭たなばたまつりが開催かいさいされる。

「お飾かざりがいっぱいありますぅ」
「おう、これが名物めいぶつ、七夕祭たなばたまつりだよ」
「カラフルで素敵すてきです」
「そうだね」

　赤あか青あお黄色きいろ。飾かざりは色いろとりどりの上うえにキャラクターものとかもある。

　小ちいさい子こからお年寄としよりまで近隣きんりんの住民じゅうみんが見学けんがくに来きている。
　そこそこの人出ひとでだった。

　俺おれたちの地域ちいきでは七月しちがつ開催かいさいだ。
　地域ちいきによっては旧暦きゅうれき準拠じゅんきょの八月はちがつ開催かいさいのところもある。

「旧暦きゅうれきの七日なのかは上弦じょうげんの月つきで、これが天あまの川がわを渡わたっている船ふねに見みえるんだそうだ」
「へぇ、面白おもしろい風習ふうしゅうですね」
「それで彦星ひこぼしが天あまの川がわを渡わたって織姫おりひめに会あいに行いく。逢瀬おうせだね」
「逢瀬おうせ……ケート君くんのえっちですぅ」
「なんでやねん」

　顔かおを赤あかくして上目遣うわめづかいで見みつめてくる。
　ララちゃんも変へんな下しもネタを言いうようになったか。
　成長せいちょうしたな。ふむ。

　それで竹たけの枝えだの先さきから吊つるした造花ぞうかをくっつけて作つくった飾かざり物ものを商店街しょうてんがいの左右さゆうにずらっと並ならべてある。
　下半分したはんぶんには紙かみテープみたいなものがずらっと吊つるされて垂たれていた。

「あっ、ミーニャちゃんですぅ」
「おうエルフだよな。最近さいきん流行はやりのアニメに出でてくる」
「そうですぅ。血ちの濃こいエルフなんですけど小ちいさくてかわいいんですぅ」
「まあそうだな」

　金髪きんぱつ碧眼へきがんの幼おさない少女しょうじょだった。ミーニャちゃんは緑みどりの服ふくを着きている。
　エルフといえばエルフっぽい。

「エルフの地位ちいと認知にんち度どを上あげてくれるからうれしいですぅ」
「なるほどな」

　彦星ひこぼしがアルタイル、織姫おりひめがベガだ。
　そんでデネブはよく分わからん。
　俺おれも夏休なつやすみに夜空よぞらを見上みあげて彼女かのじょと星ほしを指ささして、あれがアルタイル、ベガとか言いってみたいものだ。
　この辺へんは夜よるになっても街まちが明あかるいので天あまの川がわは見みえないし、星ほしも暗くらい。

　竹たけの飾かざりの他ほかにも短冊たんざくが大量たいりょうにぶら下さがっているものもあった。

「これはなんですか？」
「願ねがい事ごとを短冊たんざくに書かくと、願ねがいが叶かなうと言いわれているらしい。よくは分わからん」
「へぇ」
「これは近所きんじょの幼稚ようち園えんの子こがみんなで見学けんがくに来きて書かいていくのが伝統でんとうなんだ」
「へぇ」
「俺おれも小ちいさいころやった記憶きおくがあるし」
「どこかにケート君くんの願ねがい事ごとありますか？　見みてみたいですぅ」
「さすがに昔むかしのはもう付ついてないと思おもうよ。これは今年ことしの分ぶん」
「へぇぇ。パパとママが仲良なかよくできますように、だそうですぅ」
「あはは、喧嘩けんか中ちゅうなのかな」
「こっちにはカレーライスが食たべたいです、と書かいてありましたぁ」
「カレーならまた作つくろう」
「はいっ」

　少すこし進すすむとまだ短冊たんざくが少すくない竹たけがあった。
　横よこに幟のぼりがあり「短冊たんざくキャンペーン」と書かかれている。

「お、お兄にいさんと異国いこくのお姉ねえさん」
「なに？」
「短冊たんざくキャンペーンやっていますっ。この短冊たんざくに願ねがいを書かいて竹たけに飾かざると、商店街しょうてんがいで使つかえる百円ひゃくえんクーポンが貰もらえますよ」
「おおぉ、そりゃお得とくだ」
「やります、やりますですぅ」

　ララちゃんもやる気きだ。

　ささっと置おいてある机つくえで短冊たんざくに記入きにゅうしていく。

『世界せかいと異世界いせかいが行いき来きできるようになりますように――ララ』

　おお、ララちゃんらしい願ねがい事ごとだ。そうだよな、お互たがい通行つうこうできれば寂さみしくなくなる。

『今後こんごもララちゃんと楽たのしく生活せいかつできますように――景都けいと』

　俺おれはこのように記載きさいした。
　そういえばララちゃんは日本語にほんごを話はなせるだけでなく、文字もじも普通ふつうに勉強べんきょうしたようで書かける。
　特とくに苦くにもしていないところをみるとかなり勉強べんきょうできる子こなのではないかと。

「わわ、うれしいです。ずっと一緒いっしょにいましょうねぇ」
「おう、ララちゃん、ちょっと」
「えへへ、うれしいです、うれしいです」

　ララちゃんが抱だき着ついてくる。
　しかも正面しょうめんからなのでおっぱいがもろに当あたっている。
　なんだかいい匂においもするし温あたたかいし柔やわらかいしでもう困こまった子こだ。

「はいはい、ララちゃん落おち着ついて」
「はーい」

　テヘッてしてペロッとやる。テヘペロじゃないか。かわいい。

　そうそうちなみに今日きょうは日曜日にちようびなので珍めずらしく私服しふくだ。
　薄うすピンクのシャツとミニスカートは派手はでだけど金髪きんぱつ碧眼へきがんによく映はえる。
　どこぞの読者どくしゃモデルみたいである。

　ララちゃんはメイド服ふくとかゴスロリとかも似合にあいそうだ。
　似合にあうどころじゃないな、そのために生うまれてきたみたいな感かんじになるに違ちがいない。
　ちょっと見みてみたい。
　あとドイツの民族衣装みんぞくいしょう、田舎いなかのビアガールが着きてそうな胸むねを強調きょうちょうした服ふくのディアンドルとかめっちゃ似合にあいそう。

　一度いちど見みてみたい。コスプレとか趣味しゅみにしないかな。
　今度こんどそれとなく聞きいてみるか。

　ララちゃんのメイド服ふく。ふむぅ。

　そうそう便秘べんぴだけどコンニャクとかサラダあとヨーグルトとかを食たべさせて、水みずも意識いしきして飲のむようにしたら少すこし良よくなったらしい。

「えへへ、お腹なかへっこんじゃいました」

　とか言いってニコニコしていたから。
　プロポーションは前まえから完璧かんぺきだったので、とても羨うらやましいボディーをしている。
　得意とくいげにセーラー服ふくをめくってお腹なかを見みせてくれた。
　かわいらしいおヘソがこんにちは。うむ、眼福がんぷく眼福がんぷく。
　ただなんか俺おれはセーラー服ふくのコスプレのいかがわしいお店みせで接客せっきゃくされているような気分きぶんになってしまったので、俺おれの心こころは汚よごれているのかもしれない。
　とにかくララちゃんはかわいかった。