■第だい１７話わ　エルフちゃんとプール

　先日せんじつの予告よこく通どおり、プール開びらきがあった。
　我わが県立けんりつ埼台さいだい東ひがし高校こうこうには更衣こうい室しつがあるのでプールでも女子じょしはそこで着替きがえる。
　男子だんしはというとプール脇わきに部室ぶしつの長屋ながやがあってそこがいくつか割わり当あてられていた。

「楽たのしみだよな、ララちゃん」
「ああ、どんだけなのか」
「ごくり」

　男子だんしたちがささやきあっている。
　そういうのは俺おれの聞きこえないところでやれよと思おもうが、俺おれも気きにはなってしまう。

　早はやく見みたいからかみんな早々そうそうに着替きがえてプールに向むかう。

「きたぞ」
「さてどうだ」
「早はやくタオル」

　ララちゃんと一緒いっしょにハルカも並ならんで向むこうからやってくる。
　プールサイドに上あがってくるとタオルを取とった。

「おおぅ。巨乳きょにゅうワンツーだな。デカい」
「すげえ」
「ぼよんぼよんじゃん」
「丸まるい。メロンとかスイカとかいうけど本当ほんとうなんだな」

　濃紺のうこんの水着みずぎがまんまるく体からだの正面しょうめんに二ふたつぶら下さがっている。
　あれなら重おもいに決きまっている。
　そして歩あるくと揺ゆれる。すげえ柔やわらかそうだ。
　体操服たいそうふくや夏服なつふくもだいぶ目めに毒どくだったが、ブラジャーをしていない水着みずぎの破壊力はかいりょくはすごい。
　もっともブラジャーはしていないけど下したにサポーターというものをつけているので、何なにもないわけではない。
　でないと見みえてはいけないものが浮うき出でたりしてしまう。何なにがとは言いわないが。

　何なんで知しってるかって、そりゃ水着みずぎの手配てはいの時ときにお知しらせを見みたからだ。
　ララちゃんだけでは意味いみ不明ふめいかもしれないし、まあほとんどよく分わからなかったのでそのままスルーしてハルカに丸投まるなげしたんだけど。
　ブラとか胸むねパッドとかサポーターとか書かいてあったような気きがする。

　さすがにおっぱいの形かたちが丸まる分わかりの格好かっこうでララちゃんも顔かおを赤あからめている。
　お隣となりのハルカも恥はずかしいようで俺おれのほうを睨にらんでいる。
　なんで俺おれだけ睨にらまれているのか謎なぞだけど、まあいいんだ。

　体操たいそうなどをする。
　ああ、うん。体操たいそうって体からだを動うごかすからおっぱいも揺ゆれたりするんだ。
　前屈ぜんくつして今度こんどは後うしろに伸のばすとおっぱいを強調きょうちょうするみたいに胸むねが上あがってくる。

「おおぉおお」
「すげ」

　おっぱいがぽよんぽよん。ばるんばるん。
　いつもより支ささえが弱よわいから揺ゆれる揺ゆれる。
　ジャンプしながら腕うでを開ひらいたり閉とじたりする運動うんどうなんかもある。
　ジャンプなんてしようものならそりゃあ上下じょうげに激はげしく遅おくれて揺ゆれる。
　しかし真面目まじめなのか体操たいそうをやめたり胸むねを隠かくしたりはしないのだった。

　そして泳およぐ時間じかんになった。
　前まえから飛とび込こみは禁止きんしになっている。
　コースの横よこから水みずに入はいってクロールで泳およぐ。
　クロールは別べつに胸むねが見みえたりしないので平和へいわに進すすんでいく。
　そのかわり金髪きんぱつは綺麗きれいだし、耳みみが出でているのでエルフ耳みみなのが見みえる。
　エルフ耳みみはちょっと水みずの抵抗ていこうがありそうだなどと他人事ひとごとに思おもう。

「じゃあ次つぎは背泳せおよぎをやってみましょう」
「おぉぉおお」

　一部いちぶの人ひとが盛もり上あがってる。なんだろう。
　ララちゃんの番ばんになった。

「すげえ」
「おっぱいが泳およいでる」

　背泳せおよぎだととうぜん胸むねが上うえになる。
　胸むねが小ちいさい子こはほとんどぺっちゃんこなんだけどララちゃんは違ちがった。
　本当ほんとうにおっぱいが泳およいでいるみたいなのだ。
　それが腕うでを動うごかして左右さゆうにグラインドさせるように泳およぐので、胸むねも左右さゆう上下じょうげにゆさゆさと揺ゆれる。
　おっぱいが水みずを掻かいて進すすんでいく。
　水面すいめんには頭あたま、おっぱい右みぎ、おっぱい左ひだりと三角形さんかくけいを作つくっていた。
　お腹なかなどは水中すいちゅうなのでおっぱいだけ見みえるのだ。

「あれはすごい」
「はぁ……」

　俺おれもちょっと感嘆かんたんのため息いきを吐ついてしまった。
　ララちゃんクラスだとああなるんだ。参考さんこうになった。
　なんの参考さんこうか分わからないが俺おれたちクラスメートは一ひとつ賢かしこくなった。

「あっ……」

　俺おれは目撃もくげきしてしまった。
　ララちゃんが水みずから上あがってくる瞬間しゅんかん。
　ちょっと前まえかがみになるんだよね。水着みずぎの上うえの部ぶ分ぶんに巨乳きょにゅうの胸むねの谷間たにまがででーんとできていた。
　それから胸むねを揺ゆらしながら水みずから出でてプールサイドに完全かんぜんに上あがる。
　水みずがおっぱいから滴したたってなんかなんとなくエロい。
　ぽつん、ぽつんとおっぱいがら水みずが落おちてくる。
　普通ふつうならそこまで盛もり上あがっていないから下乳したちちとかないわけだけどララちゃんにはあるのだ。

「ほほう」
「なるほど」
「ふむ」

　男子だんしたちが次々つぎつぎと目めをギラギラさせてそれを鑑賞かんしょうしている。
　なんだか可哀想かわいそうになってきて隠かくしてあげたいが俺おれにはできない。

　キーンコーンカーンコーン。

　無情むじょうにもおっぱい鑑賞会かんしょうかいと化かしていたプールの授業じゅぎょうも終おわりを告つげた。

「今日きょうはすごかったな」
「あぁ俺おれ貧乳ひんにゅう派はだったのに、あれはすごい」
「鞍替くらがえする」
「そうしろそうしろ。巨乳きょにゅうは素晴すばらしいぞ」
「どっちもいいと思おもうんだ」
「おう、そうだな」

　男子だんしたちのおっぱい談義だんぎを聞ききつつ、ララちゃんは大変たいへんだなと思おもった。

　教室きょうしつに戻もどると水みずで髪かみがまだ濡ぬれた女子じょしたちがいた。
　更衣こうい室しつに付属ふぞくしているらしいドライヤーで乾かわかす子こもいるそうな。

「どうしました？」
「ううん」

　ララちゃんも夏服なつふくでさっぱりした格好かっこうで戻もどってきた。
　なんというか今更いまさらだけどツヤツヤのプルプルな唇くちびるが気きになってくる。

　……俺おれたち、あの日ひ、キスしたんだよな。

　ララちゃんは今いまではなんでもなさそうな顔かおをしているけど、恥はずかしそうに逃にげていったので、なかったことになっているのかもしれない。
　女おんなの子この感情かんじょうは俺おれたち男おとこが思おもっている以上いじょうに複雑怪奇ふくざつかいきだ。