■第だい１６話わ　エルフちゃんの衣替ころもがえ

　六月ろくがつ一日ついたちの朝あさ。
　部屋へやからエルフのララちゃんが出でてくる。

「じゃじゃーん。どうですか？　いいですよね？」
「あ、ああ……似合にあってるよ」

　それ以上いじょうはコメントしにくい。
　六月ろくがつは衣替ころもがえなのだ。しばらく移行いこう期間きかんなんだけど、すでに外そとはだいぶ蒸むし暑あつい。
　俺おれの地域ちいきでは今日きょうからさっそく夏服なつふくに替かえる人ひとが多おおい。

　それで問題もんだいのララちゃんなんだけども。
　あのね、夏服なつふくってちょっと薄うすいんだ。しかもベースの生地きじは白しろときている。
　それで透すけてる。今日きょうはスカイブルーのブラジャーらしい。
　スリップみたいなやつを下したに着きる子こもいるけど、最近さいきんの子こは直じかでブラの子こが多おおい。
　なんでってそれが流行はやっているから。理由りゆうなんて知しらない。

　紺こんのセーラーの襟えりと赤あかいリボンは健在けんざいだ。
　やっぱりセーラー服ふくはかわいい。
　一時期いちじきはブレザータイプが一世いっせいを風靡ふうびしていたけど伝統でんとうあるセーラー服ふくがかわいいとされて復権ふっけんしてきている。一種いっしゅのセーラー服ふくブームだ。
　制服せいふくがない学校がっこうも相変あいかわらず増加ぞうか傾向けいこうにあるのだけど逆ぎゃくになんちゃってセーラー服ふくが流行りゅうこうしていて私服しふくでも疑似ぎじセーラー服ふくみたいな格好かっこうをしている子こも多おおい。
　この私服しふくタイプのセーラー服ふくにはフリルがいっぱいついたものとかピンクのものとか結構けっこう派手はでなのもある。
　一昔ひとむかし前まえであれば美少女びしょうじょゲームといわれるジャンルの制服せいふくにかなり近ちかい。
　世よの中なか、変かわれば変かわるものだ。

　それでララちゃんのおっぱいなんだけど、大おおきいんで制服せいふくが丸まるく膨ふくらんでて目立めだつんだ。
　冬服ふゆふくはまだ厚手あつでだったのでそこまででもなかったけど、夏服なつふくだとその膨ふくらみがぱっつんぱつになっている。

「行いってきますぅ」
「行いってきますっと」

　誰だれにでもなくお互たがいに挨拶あいさつをして家いえを出でる。
　薄うすっすら透すけているおっぱいが押おし付つけられてそして歩あるくと揺ゆれる。
　もう毎日まいにちそうなんだけど薄着うすぎだとなんというか柔やわらかい感触かんしょくや温あたたかい温度おんどがよりいっそうダイレクトに感かんじられる気きがする。
　なんだかイケないお店みせの接客せっきゃくみたいだと思おもわなくもない。

　ハルカと一緒いっしょに登校とうこうしなくなってどれくらいの年月ねんげつが経たったかな。
　小学校しょうがっこう低てい学年がくねんのころは毎日まいにち一緒いっしょだった。
　それがいつのころからか別々べつべつになって現在げんざいに至いたる。
　もし一緒いっしょだったら朝あさも両方りょうほうからおっぱいサンドイッチになるところだった。

　ララちゃんの夏服なつふくはより一層いっそう目立めだち、人々ひとびとの視線しせんを集あつめる。
　代かわりにエルフだ金髪きんぱつだという、本来ほんらいもっとレアで目立めだちまくる要素ようそがおっぱいに吸すい寄よせられることで、まあそんなもんかという気きにさせてくれる。
　エルフだとあまり指摘してきされない理由りゆうだ。ぶっちゃけおっぱいには助たすけられている。

「ふんふんふーん。ふんふんふーん」

　なにやらアニメの音楽おんがくの鼻歌はなうたを歌うたっている。この前まえのエルフソングと違ちがって聞きき覚おぼえがある。
　今日きょうもララちゃんはご機嫌きげんだ。
　この前まえ、ホームシックになってしまいびゃんびゃん泣ないていたので、どうしようかと思おもった。
　なんとか立たち直なおってくれたらしい。俺おれも協力きょうりょくできることはなんでもするつもりだ。
　こうしてると何なんでもないように見みえるが、たった一人ひとりのエルフだから寂さびしいに決きまっていた。
　そういう気持きもちを表おもてに出ださずに健気けなげに振舞ふるまっているのだ。
　普段ふだんは俺おれたちもいるから気きにならないのかもしれないけど、それなら役やくに立たっているようでうれしい限かぎりだ。

「おはようございます」
「「おはようございます」」

　教室きょうしつに元気げんきよく入はいる。まるで小学生しょうがくせいみたいだがこれがうちのクラスのスタンダードだ。

「ララちゃんのおっぱいが……」
「ララちゃーん」
「おっぱいちゃん」

　さすがにララちゃんの夏服なつふくのおっぱいは目立めだつようで声こえが上あがる。
　ララちゃんもこれには少すこし顔かおを赤あかくして目めを細ほそめた。
　ふむ、恥はずかしがっているララちゃんもこれはこれでかわいい。

　最後列さいこうれつの席せきに座すわる。
　あぁそういえば家いえでもそうだったように、ララちゃんが座すわると机つくえにおっぱいがでーんの乗のっている。
　そのためおっぱいが座すわってみるように見みえる。
　俺おれは横よこの席せきなので横よこから持もち上あげられたおっぱいがよく見みえた。

「ふぅ。こうすると楽らくなんですぅ」
「お、おう」

　さすがに突つっ込こむのも難むずかしい。

　それはそうと昨日きのうあれだけ泣ないたのに学校がっこうではその様子ようすを見みせなかった。
　ある程度ていど回復かいふくしてきたともいえるがララちゃんは強つよい子こなのだろう。
　朝あさの時間じかんにも何人なんにんかがララちゃんにも声こえを掛かけたけどホームシックだという雰囲気ふんいきは微塵みじんも見みせなかった。

　おっぱい、いっぱい、夢ゆめいっぱい。

　地球ちきゅうでのいい思おもい出でをたくさん作つくってほしい。
　異世界いせかいには帰かえれなくて寂さみしい思おもいはするだろうけど、せめて地球ちきゅうを楽たのしんでほしい。

「おはよう」
「おはよう、ハルカ」
「ララちゃんのおっぱい目立めだつねぇ」
「ううぅぅ」

　ハルカがいじりにきた。
　いやハルカのおっぱいだってだいぶ目立めだつ。
　今いまもピンクの花柄はながらのブラが透すけているし。
　ララちゃんには及およばないもののハルカのおっぱいもデカい。

「いけないおっぱいはこの子こかぁ」
「ああんっ、あはん、あっあはああ」

　ハルカがララちゃんのおっぱいを揉もんでいる。
　されるがままのララちゃんは顔かおを赤あかくして悶もだえていた。
　別べつに嫌いやがっている様子ようすはないがこれは、うむうむ。
　すごい、おっぱいがぎゅぬぐにゅと動うごいてあんなに柔やわらかいのが見みた目めでも分わかる。

　とまあとにかくこうして夏服なつふくデビューを果はたした。
　六月ろくがつと言いえばそろそろプールの時期じきでもあった。
　ララちゃんのスク水みず……俺おれはそれを想像そうぞうしてごくりと喉のどを鳴ならした。