◆５８．露店ろてん販売はんばいの月げつ曜日ようび

　今日きょうは月げつ曜日ようび、朝あさご飯はんを食たべて、クルミと農のう作業さぎょうをしている。メスウシのマロンは今日きょうも出でかけていった。
　サクラちゃんには、露店ろてんで空あき瓶びんを買かってきてもらおう。
　広場ひろばで色々いろいろ買かうって掲示けいじ板ばんに貼はってきたけど、植物しょくぶつ類るいは栽培さいばいに移行いこうしたので、あまり買かい取とりは必要ひつようない。
　露店ろてんは村むら時代じだい、ゲーム開始かいし初期しょきからの伝統でんとうで、午前ごぜん九時じぐらいからの午前ごぜん中ちゅうが中心ちゅうしんになっている。
　もちろん遅刻ちこくしてくる人ひとたちもいるので、午後ごごに掘ほり出だし物ものがある場合ばあいもある。

　農のう作業さぎょうが終おわったら、ポーション作づくりをする。
　サクラちゃんは空あき瓶びん九十個こを回収かいしゅうしてきてくれた。

　溜たまった薬草やくそうをコネコネしてポーション(渋しぶみ控ひかえめ)を四十五個こ、ツグミ味あじを四十五個こ製造せいぞうする。
　畑はたけで作つくると、原価げんかが安やすく済すむ。大変たいへんよろしい。
　空あき瓶びんは一つ１５セシルが相場そうばなので１，３５０セシルですんだ。

　けっこうたくさん作つくったから、時間じかんが掛かかってしまった。
　クルミとサクラちゃんは、私わたしがポーションを作つくっている間あいだに、木工もっこうのレベル上あげをしていたようだ。
　お昼ひるご飯はんにブドウジャムのサンドイッチを頂いただいて、午後ごごはまた露店ろてんに向むかった。


　露店ろてんでは、今日きょうも薬屋くすりやの娘むすめさんのメルミちゃんがいた。

「メルミちゃんこんにちは」
「こんにちは」

「この前まえのポーション売うれた？」
「はい。飛とぶように売うれました。『これが噂うわさの不味まずくないやつか』って感動かんどうしてました」
「今日きょうもポーション持もって来きたんだけど、買かい取とってもらえる？」
「いいですよ」

　売うり物もののポーションを全部ぜんぶ引ひき渡わたし１０３，５００セシルになった。

　丁度ちょうど空あいていたので私わたしたちも隣となりに陣取じんどって、自分じぶんたちで木工もっこうペンダントを売うることにした。
　変身へんしん用ようのワンピース姿すがたで、風呂ふろ敷しきを敷しいて三人にんで座すわる。

　本日ほんじつの木工もっこうペンダントは、新しん製品せいひんだ。
　クルミが四角しかくい板いたを加工かこうして角かどを落おとして丸まるみを帯おびた形かたちにした後あと、サクラちゃんがウサギの絵えを描かいているらしい。
　前まえのウサギの絵えはニンジンをかじっていたけど、今度こんどは顔かおだけになった。
　チョーカーには補正ほせいが付ついていたが、意外いがいと補正ほせい付つきアクセはお店みせでほとんど売うっていない。

　●ウサギ絵え木工もっこうペンダント
　　かわいらしいウサギが描かかれた木きのペンダント
　　種別しゅべつ：アクセサリー(ペンダント)
　　レア度ど：４　　ランク：２
　　攻撃こうげき力りょく：２
　　魔攻まこう力りょく：２
　　防御ぼうぎょ力りょく：２
　　魔防まぼう力りょく：２
　　耐久たいきゅう：２０／２０

　前回ぜんかいの販売はんばいから一週間しゅうかんぐらいあったので、数かずが揃そろっている。全部ぜんぶで二十五個こもある。
　どのような物ものでどのような補正ほせいになるかは、良よく分わかっていないらしい。

「いくらにしようか」
「どうしましょうか？　クルミさんはいくらがいいと思おもいますか？」
「えー。前ぜんいくらだったっけ？」
「星型ほしがたが５，０００セシルでしたわ」
「性能せいのうが攻防こうぼう一体いったい型がたで、前まえのより使つかいやすいと思おもうから、６，０００セシルかな」
「では、それでいきましょう」

　最初さいしょにデルタ町まちについたころと比くらべたら、明あきらかに人通ひとどおりが多おおくなった気きがする。
　それも、鎧よろい装備そうびの冒険ぼうけん者しゃ＝プレイヤーが多おおい。
　今いまはリアルでは土ど曜日ようびの二十時じごろにあたる。それも人ひとが多おおい理由りゆうの一つだろう。

　特とくに客寄きゃくよせの声こえ上あげとかしなくても、男性だんせいを中心ちゅうしんに、よく見みていってくれる。
　女性じょせい客きゃくも、並ならべてあるアクセサリーが見みえる距離きょりまでくると、速足はやあし気味ぎみに、一いっ直線ちょくせんにこっちに向むかってくる。

「可愛かわいい、アクセサリーだね」

「俺おれに似合にあうかな？　どう？　うさぎちゃんだぜ」

「僕ぼくは、ウサギはちょっと、恥はずかしいかも、でも補正ほせいが」

　とか、色々いろいろ言いいつつ、たまに買かっていってくれる。

「ねえ、これ買かっていいかしら。うさぎちゃん可愛かわいいわよ」
「もちろんいいよ。でも、君きみの方ほうが可愛かわいいよ、愛あいしてる。ペアで買かおう」

　とか、ベタベタするカップルも来きたよ。
　ベータテスターは友達ともだち同士どうしなどで応募おうぼできるので、カップルもたまにいる。
　話はなしによると、遠えん距離きょり恋愛れんあい中ちゅうのカップルで、ゲーム内ない生活せいかつを満喫まんきつしているそうだ。
　う、うらやましい。

　普通ふつうのベータテスターは、応募おうぼの際さいに名前なまえなどの個人こじん情報じょうほうのほかに、意気いき込ごみとか一言ひとことを書かくことができて、運営うんえいにアピールすることが可能かのうだった。
　そして、このゲームでは公式こうしきツールとして、ウィキシステム、ユーザー用ようホームページ、そしてブログが実装じっそうされているので、カップルのリアルじゃないようでわりとリアルなネトゲ満喫まんきつ記事きじとかもあるらしい。
　結局けっきょく、夕方ゆうがた前まえにはペンダント二十五個こしめて１５０，０００セシルが完売かんばいした。