◆５０．鍛冶かじ師しサクラ

　私わたしたちは夕方ゆうがた草原そうげんから戻もどってきて別わかれて、おばあさんの家いえで夕ゆうご飯はんを頂いただいた。
　サクラちゃんとクルミも戻もどってきている。

「ミケさん。今日きょう、鍛冶かじの練習れんしゅうで作つくったナイフですけれど、よかったら使つかってください」

　サクラちゃんがそう言いって、何なにやらナイフを渡わたしてくれる。

　●牛角うしづののナイフ
　　牛うしの角つのを削けずって作つくったナイフ。白色しろいろで綺麗きれいな文様もんようが浮うかんでいる。とても軽かるくて簡単かんたんに扱あつかえる。
　　種別しゅべつ：武器ぶき(短剣たんけん)
　　レア度ど：２　　ランク：２
　　攻撃こうげき力りょく：１２
　　耐久たいきゅう：１２０／１２０

　一昨日おととい倒たおしたウシのドロップの角つのを使つかった物ものだ。攻撃こうげき力りょくは初心しょしん者しゃ装備そうびより２だけ高たかい。

「角つのを削けずって形かたちを整ととのえただけですけれど、単独たんどく行動こうどうとかで必要ひつようになると思おもいまして」
「うん。ありがとう」

　私わたしはありがたく頂いただくことにする。

　●銅どうの投なげナイフ
　　銅製どうせいの投なげナイフ。回収かいしゅうすればまた使つかえる。
　　種別しゅべつ：武器ぶき(短剣たんけん)
　　レア度ど：２　　ランク：２
　　攻撃こうげき力りょく：１０
　　耐久たいきゅう：１００／１００

　投なげナイフも見みせてくれた。

「銅どうのこれを地金じがねを作つくるところから十本ぽん作つくらされました」

　まず最初さいしょに銅どうの地金じがねを十本ぽん分ぶん、銅どう鉱石こうせきを溶とかして作つくる。
　火ひは現実げんじつならものすごい熱あついはずだけど、ゲームではそこまで熱あついわけでないらしい。
　そして銅どうを炉ろに入いれて熱ねっして溶とかして地金じがねにした。
　それを十個こ分ぶん作つくる。
　冷さましている間あいだに、牛角うしづののナイフを削けずる作業さぎょうをしたそうだ。
　魔道まどう具ぐの電動でんどうヤスリみたいな回転かいてん式しきのヤスリを使つかう。
　角つのは二本ほんあったので一本ぽんは親方おやかたが見本みほんを作つくってくれて、それを手本てほんに見みよう見みまねで削けずっていく。
　最初さいしょに作つくったにしては形かたちも悪わるくなくて、親方おやかたも褒ほめてくれたそうだ。
　牛角うしづののナイフができたら今度こんどは投なげナイフの刃はを削けずって作つくって、また作つくってと十個こ分ぶん繰くり返かえす。

　名前なまえは投なげナイフだけど、どちらかというと、ペーパーナイフみたいな見みた目めだった。
　使つかいようによってはステーキナイフにもなりそうだ。
　柄えの部分ぶぶんも一体いったい型がたの銅どうでできていた。

「ブラスミ君くんはどうだった？」
「彼かれもまだ銅どうのステーキナイフとか料理りょうり用ようの片手かたてナイフとか作つくらされてますわ」
「じゃあ、二人ふたりの作業さぎょうはあんまり変かわらないんだ」
「そうですわね」

　サクラちゃんとブラスミ君くんの様子ようすは大体だいたいわかった。
　次つぎはクルミの番ばんだ。

「わたしは各村かくむらだね」

　クルミの輸送ゆそう任務にんむは、とくに問題もんだいは起おこらなくてスムーズにできたそうだ。
　まだ情報じょうほうも広ひろまっていなかったため、村むらでは混乱こんらんすることもなく二十人にん前後ぜんごでの移動いどうとなった。

「南みなみ、西にし、北村きたむら全部ぜんぶ行いってきたけど公式こうしき情報じょうほう通どおりどこも同おなじような感かんじだったよ」
「他ほかには？」
「うーんと、とくにないかな。あっ、一いち日中にちじゅう移動いどうさせるとマロンが痩やせちゃいそうだ」

　確たしかに動物どうぶつだったらちゃんとご飯はんも食たべさせないと痩やせちゃうな。

「うん、そうだね」
「だから朝あさからだったら一日にち各村かくむら一往復おうふくぐらいで後あとは休憩きゅうけいさせたい」

　それぐらいが妥当だとうだろう。
　でも一回かいで百人にんとか集あつまったら大変たいへんなことになりそうだ。
　上位じょういユーザーは自力じりきでデルタ町まちまでもう来これるようになったみたいだし、大だい丈夫じょうぶかな。
　料金りょうきんを上あげた方ほうがいいのかな。

「あとは警けいら隊たいが毎日まいにち運用うんようするって訳わけにもいかないから、誰だれか専属せんぞくの人ひとがほしいかも」
「確たしかに、そうだね。でも心当こころあたりがまだないんだよね」
「誰だれかいないかなー」
「うーん」

　私わたしとクルミは誰だれか適任てきにん者しゃがいないか考かんがえ込こんでしまう。

「ワタクシ、あの武器ぶき商人しょうにんのかたが良よいかと思おもいますわ。移動いどうのついでに、各村かくむらで武器ぶきも売うり込こめば多少たしょうは売うれると思おもいませんか」

　サクラちゃんが提案ていあんしてくる。

「なるほど、今いまは東村ひがしむらで固定こていでいるけど、他ほかの村むらでも販売はんばい機会きかいができるのね。ついでに武器ぶきの行商ぎょうしょうもすればいいと」
「そういうことですわ」

「わたしはマロンと一緒いっしょにいた方ほうがいいと思おもうけど、それだと冒険ぼうけんができないよね」
「それは諦あきらめるしかないんじゃないかな」
「やっぱり、そうなるよね」

　今後こんごもそのうち他ほかの町まちにも行いかないといけないので、ウシを連つれて歩あるくと言いう訳わけにもいかないだろう。
　せっかくテイムしたけれどマロンとは一緒いっしょにはいられない。

「ああそう、それとマロンはメスウシなので牛乳ぎゅうにゅうも取とれるみたい」
「あらあら、まあまあ」

　なにかと有用ゆうようなウシさんのマロンだった。

　なお初日しょにちの輸送ゆそうの料金りょうきんは警けいら隊たいに給料きゅうりょうとして支払しはらい済ずみだった。