◆２２．合同ごうどう作戦さくせん

　雑貨ざっか屋やから出でたところで「警けいら隊たい」のメンバーに捕つかまった。
　捕つかまったといっても逮捕たいほされたわけじゃないよ。

　なんでも、フレンド登録とうろくしていないので、朝あさから私わたしたちを探さがし回まわっていたらしい。
　アルクがさわやか笑顔えがおで、挨拶あいさつしたかと思おもうと、真剣しんけんな顔かおで語かたりかけてくる。

「探さがしましたよ。例れいのオオカミ、一緒いっしょに討伐とうばつしようと思おもいまして」

「人数にんずうは？」
「全部ぜんぶで九人にん。ミケさんたちと俺おれたちと、あとは白しろ魔法まほう使つかいとそのメイドです」

「メイドさん？　ＡＩとかじゃなくて、本職ほんしょくの？」
「はい。ちょっと知しり合あいまして。宿屋やどやでジュース飲のんで待まってます」
「露店ろてんさっと見みていっていい？　新しんアイテムとかあるかも」
「そうですね。ついていきます」

　私わたしたちは一緒いっしょになって、露店ろてんを回まわる。
　ウサギの干肉ほしにく(塩味しおあじ)を量産りょうさんした人ひとがいた。百個こほど売うっている。一つ１４０セシル。
　プリン産さんの「錆さびた銅どうの斧おの」があった。要よう相談そうだん、参考さんこう価格かかく４，０００セシルらしい。

　簡単かんたんな形かたちの寄木よせぎのキーホルダーを売うっている人ひとがいた。
　木工もっこうペンダントを見みかけて、自分じぶんでも挑戦ちょうせんしたらしい。

　●寄木よせぎのキーホルダー
　　縞しま模様もようの寄木よせぎのキーホルダー。
　　種別しゅべつ：アクセサリー(キーホルダー)
　　レア度ど：４　　ランク：２
　　攻撃こうげき力りょく：１
　　魔攻まこう力りょく：１
　　命中めいちゅう：１
　　耐久たいきゅう：２０／２０
　　作成さくせい者しゃ：ダダンテ

　お値段ねだんは３，０００セシル。
　色いろの違ちがう木きを並ならべて接着せっちゃくして、それをのこぎりで切きって釘くぎで紐ひもに留とめてある。
　キーホルダーは小ちいさいので、そこそこ数かずが揃そろっている。
　ダダンテさん最初さいしょの作品さくひんだそうだ。

　警けいら隊たいは四人にん分ぶん、おまけしてもらい１１，０００セシルでお買かい上あげしていた。

　露店ろてんを見終みおわって、宿屋やどやに向むかった。
　そこには、椅子いすに座すわる九歳さいぐらいの小ちいさな女おんなの子こと、私わたしたちより少すこし上うえの年齢ねんれいの女性じょせいがいた。
　女おんなの子こは膝ひざの上うえに、３０センチのぬいぐるみを抱かかえている。
　茶色ちゃいろい猫ねこかウサギかクマのどれかだ。

　私わたしたちは自己じこ紹介しょうかいをする。

「こちらはヒカリお嬢様じょうさま。わたくしはメイドのコマチです」
「始はじめまして、ヒカリです。本名ほんみょうじゃないですよ。それで、こっちがウサギのマイケル」

　ぬいぐるみはウサギさんだった。
　ヒカリちゃんは、犬耳いぬみみ族ぞくで１２５センチぐらいのスレンダーボディーだ。
　髪かみの毛けは黄緑きみどりのツインテールにしていて、目めは深ふかい青あおだ。
　ほっぺた、ぷにぷにで二重ふたえの丸顔まるがおをしている。

　コマチさんは、ほっそりした顔かおだちのエルフで、肩かたより少すこし長ながいぐらいの赤あかい髪かみをポニーテールにしている。
　あと、どう見みても、私わたしたちよりおっぱいが大おおきい。
　背丈せたけも少すこし高たかい。

「マイケル見みていいよ」

　ヒカリちゃんは、マイケルを差さし出だしてくる。

　●茶色ちゃいろウサギのぬいぐるみ「マイケル」
　　一針ひとはり一針ひとはり頑張がんばって縫ぬったぬいぐるみ。癒いやしの力ちからが込こめられている。
　　レア度ど：４　　ランク：４
　　種別しゅべつ：アクセサリー(片手かたて装備そうび)
　　防御ぼうぎょ力りょく：１０
　　魔防まぼう力りょく：１５
　　回復かいふく力りょく：２０
　　耐久たいきゅう：６０／６０
　　作成さくせい者しゃ：ヒカリ
　　使用しよう者しゃ制限せいげん：ヒカリ

　なんだこれ。どう見みてもユニーク装備そうびだし、ランクとか４だぞ。
　アルクが補足ほそくする。

「ヒカリちゃんは、見みかけた中なかで最さい年少ねんしょうにして最高さいこうの白しろ魔法まほう使つかいだ」
「まだヒールしかできないけどね」

　ヒカリちゃんはくすぐったそうに笑わらった。天使てんしだ。天使てんしがいる。
　これなら、勝かてそうだ。

　私わたしたちは連つれ立だって、森もりへと向むかう。

　ヒカリちゃんは足あしが短みじかいので、遅おそくなりそうだが、懸命けんめいについてくる。
　疲つかれたとか文句もんくも言いわず、コマチさんの斜ななめ後うしろを歩あるいている。

　パーティーを束たばねる、レイドの形かたちになるらしい。
　一応いちおうシステム設定せっていがあり隊長たいちょうは、どういうわけか私わたしである。
　ただし実際じっさいの指揮しき系統けいとうはアルクさんに一任いちにんしてある。
　今回こんかいはそのまま三パーティー構成こうせいだった。

　私わたしたちは、たまに薬草やくそうを採取さいしゅしながら、森もりの中なかを進すすむ。
　ウサギが複数ふくすう単位たんいでよく出現しゅつげんするのでさくっとやっつける。
　オオカミ単体たんたいとも戦闘せんとうになったが、取とり囲かこんでタコ殴なぐりにした。

　アルクさんがつぶやいた。

「本当ほんとうに昼間ひるまからオオカミも出でるんですね」

　ヒカリちゃんは左手ひだりてでマイケルを、右手みぎてで初心しょしん者しゃのロザリオを持もっている。
　ということは、まだ出番でばんがないけど回復かいふく力りょくはさらに高たかいということになる。

　ヒカリちゃんたちは、クエストを通つうじて仲良なかよくなった農家のうかにお邪魔じゃましているそうだ。
　そこで、裁縫さいほうセットを借かりて、マイケルを作成さくせいした。
　外そとは見みて分わかる通とおり、草原そうげんウサギの毛皮けがわでできている。
　中なかに詰つまっているのは、プリンの欠片かけらだという。

　私わたしたちは、森もりの中なかをボスを求もとめて歩あるいていく。