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[総ルビ]【書籍化コミカライズ】元貧乏エルフの錬金術調薬店(web版)

69 スライム魔道コンロ
●69 スライム魔道まどうコンロ

 連日れんじつさむつづいている。
 いくらゆきもらないといっても、さむいものはさむい。
 貧困ひんこんがいたちもいえがあるとはいえ、かべうすいだろうし、隙間風すきまかぜとかはいってくるだろう。
 それでまきいたりして、なんとかさむさをしのいでいる。
 せめて料理りょうり使つかまきくらいはらせないだろうか。
 ということで、魔道まどうコンロをつくります。

今日きょうさむいね、ミレーユさん」
「そうだね、マリーちゃん」
先生せんせいそとさむいんですよ」
「そっか、なるべくいえにいるね、えへへ」

 魔道まどうコンロは魔道まどうなかでは魔道まどうランプについで普及ふきゅうしているくらい一般的いっぱんてき魔道まどうだよ。
 そうはいっても、まきでも代用だいようできるからないいえにはない。
 それで貧困ひんこんがいたちはスライムりでかなりのかずのスライムの魔石ませきってきている。

 そこで普通ふつう魔道まどうコンロはもっとグレードのたか魔石ませきをつけて、長期間ちょうきかんずっと使つかえる仕様しようなんだけど、特別製とくべつせいでスライムの魔石ませきでも使つかえる魔道まどうコンロをつくってみよう。

 まず、ベースとなるはこ木工もっこうさんに注文ちゅうもんしてある。
 表面ひょうめんにはだと心配しんぱいなので、いしうすいた使つかわれている。
 これはまとまったかず発注はっちゅうしてあって、そのだいいちだん今日きょうとどいた。
 このした内側うちがわ機械きかいれていく。

 まず魔石ませきれる場所ばしょつくって発動はつどうよう魔法陣まほうじんく。
 それをつなぐためのスイッチを側面そくめんにつける。

「こうなってるんですね」
「そうそう、ここにスイッチ」
「へー」

 スライムようすこ工夫くふうがしてあって、魔石ませきみっつつけて最大さいだい火力かりょくになるように調整ちょうせいする。
 普通ふつう魔力まりょく調整ちょうせいスライダーをつけるんだけど、このスライダー、すこ機構きこう複雑ふくざつでお値段ねだんたかめなのだ。
 今回こんかい量産りょうさんひんなので、火力かりょく魔石ませき一個いっこ二個にこ三個さんこぶんみっつのスイッチで代用だいようとする。
 これでかなり加工賃かこうちんやすくできる。

 魔道まどうコンロもそんなにはやすくない。
 普通ふつう、こういうこう火力かりょく魔道まどう使つか中級ちゅうきゅう魔石ませきやすくはないので、長持ながもちしないけどスライムの魔石ませきだったら現地げんち調達ちょうたつできる。
 ものってうより、そのまま使つかえたほうが値段ねだんこうりつたかいのはいうまでもない。

 スライムの魔石ませきくらいだと、くだいてクズ魔石ませきにした魔石ませき肥料ひりょうあとはもっとこなにして魔力まりょくインクくらいしか、用途ようとおもいつかない。
 だから売値うりねはかなりやすいのだ。

 魔道まどうコンロにももちろん使つかえるんだけど、頻繁ひんぱんえが必要ひつようとなる。
 魔道まどうコンロは料理りょうりさんなど料理りょうり頻繁ひんぱんにするいえ導入どうにゅうされることがおおかったので、それでは面倒めんどうくさくて使つかものにならないわけだ。
 でも今回こんかいのはターゲットもまっていて、特注とくちゅうだからできる。

 まずは初期しょきロットとして十個じゅっこ完成かんせいさせた。
 とりあえず台所だいどころんで使つかってみる。

 うえにフライパンをせて、ホットケーキのもとつくっていていく。

「ふんふんふん♪」

 一瞬いっしゅん、じゅわっとおとがした。
 十分じゅうぶんりょくがありそうだ。

「おぉ、ぷつぷつできてきた」

 をかざしてみても、あたたまっているのはかる。
 これで部屋へやごとあたためられたらいいんだけど、さすがにそんな火力かりょくはない。

「ほいっと」

 わたしはホットケーキをひっくりかえす。
 綺麗きれいなキツネいろだ。
 そういえば、あまりキツネはたことがない。

 そうこうしてホットケーキがけた。
 あまさを考慮こうりょしないのであれば、たようなものは貧困ひんこんがいでもできるだろう。

 さて早速さっそく貧困ひんこんがいんでみよう。
 今日きょう日曜日にちようびで、お仕事しごとはおやすみなのだ。
 マリーちゃんはあそびにている。

「すみません」
「なんだよ、ミレーユじゃんか」
「おうよ。ひとあつめてしいんだ。ほい、お駄賃だちんのグラノーラ」
「ありがとう、ってろ」

 ひまそうな子供こどもつかまえてひとあつめてもらう。

「(かくかくしかじか)ということで、子供こどもたちがあつめてくるスライムの魔石ませきうごいちゃう、魔道まどうコンロです」
「「「すごい」」」
試供しきょうひんができましたので、全部ぜんぶで九だいかな。みんなで使つかってみてください」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「ありがとな、ミレーユ先生せんせい

 みんなわたしあたまげてくれるけど、そんなタマじゃないって。
 さっそく、おにく小麦粉こむぎこみずいたものをいていく。
 野菜やさいわりにそのへんくされてある。
 なんというか、東国とうごくにあるおこのきみたいなかんじのものだった。

「おお、いいにおい」

 おにくった小麦こむぎきが出来上できあがっていく。

「いいぞ、いいぞ」
「ふふ、これでまき節約せつやくになるわ」
「ありがたや、ありがたや」

 うん、うまくいったようだ。
 あ、試運転しうんてんのスライムの魔石ませきわたしがギルドから調達ちょうたつしてきたよ。
 ずっと提供ていきょうするより、やっぱり自分じぶんたちで出来できたほうがいいよね。
 依存いぞんしちゃうと、生活力せいかつりょくがっちゃうもんね。

 魔道まどうコンロそのものの依存いぞんはあるけど、シャロちゃんもいるから、将来的しょうらいてきにはきっとマーシャル錬金術れんきんじゅつてんでなんとかしてくれるでしょう。

 こうして第二だいにロット、第三だいさんロットと納品のうひんかさねて、貧困ひんこんがいにスライム魔道まどうコンロが普及ふきゅうしたのでした。
 ついでとして、マリーちゃんちに第一だいいちごう設置せっちされているよ。
 マリーちゃんも感謝かんしゃしてくれたっけ。

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