●４３ 夏なつだよ水着みずぎだよ

　無事ぶじ七月しちがつを過すごして、八月はちがつになった。
　まさに、夏なつ真まっ盛さかりでありますよ。

　七月しちがつもおかげさまで、収支しゅうしはそこそこの黒字くろじだ。
　子供こどもたち全員ぜんいん分ぶんのナイフknifeと、それから箱はこ罠わな、鳥とりの餌えさの小麦こむぎの種たねとかを買かい揃そろえたのが、ちょっと高たかかった。
　安定あんていしたスライムslimeは入はいってくるようになったし、子供こどもたちもお小遣こづかいを貰もらえて食たべられるようになったし、万々歳ばんばんざいだけど、初期しょき投資とうしはやっぱりかかるね。

　とりあえずうまく行いっているので、今週こんしゅうの日曜日にちようびは遊あそぼうと思おもいます。
　王都おうとは内陸ないりくにあるんだけど、東側ひがしがわには湖みずうみが隣接りんせつしている。

「というわけで、泳およぐっきゃない」
「ぱふぱふ、よう」
「わーい」

　キャピキャピの女おんなの子こが三さん人にんも揃そろっていて、夏なつに湖みずうみがあるんだから、もちろん泳およぐでしょう。

　まず先週せんしゅう日曜日にちようび、水着みずぎを買かいに行いった。
　服ふくは高たかい。そうなのだ。特とくに布地ぬのじが高たかいんだよね。
　きゃいきゃい言いいながら、どの水着みずぎにしようか話はなして決きめる。
　でもねぇ、聞きいてよ。
　なに王都おうとの水着みずぎ！！
　ビキニbikiniタイプtypeとかいうのばっかりなんだよ。おっぱいとパンツpantsしか隠かくせない形かたちで、確たしかにこれなら布地ぬのじを大幅おおはばに節約せつやくできるから、多少たしょう安やすい。
　他ほかのワン{oneピースpiece}タイプtypeとか値段ねだんが倍ばい以上いじょうするからとても買かえないや。

　でもこんなに露出ろしゅつした水着みずぎなんて、恥はずかしいよぅ。

「他ほかのデザインdesignがいい……」
「いいじゃないですか。ミレーユさんだって水着みずぎ似合にあいますって」
「そう？」
「そうです、そうです」

　励はげまされて、渋々しぶしぶビキニbikiniタイプtypeの水着みずぎを選えらぶ。

　結局けっきょく買かったのは、私わたしは若草わかくさ色いろの水着みずぎ、マリーちゃんは白しろの水着みずぎ、でもってシャロちゃんは黄色きいろの水着みずぎだった。

「楽たのしみですね」
「うん」
「まあ」

　シャロちゃんとマリーちゃんは行いく前まえからわくわくしているようだ。

　そして本日ほんじつ、今週こんしゅう日曜日にちようび。
　いざ、まいられよ。向むかうは　▼ベンジャミン湖こ西岸せいがん、　▼ラッフェル浜はま。

「わあ、人ひと一杯いっぱい」
「すごい人気にんきですね」
「前まえより混こんでますね」

　順番じゅんばんに私わたし、マリーちゃん、シャロちゃん。

「あれシャロちゃん来きたことがあるの？」
「え、あ、はい。小ちいさいころはよく連つれてきてもらいました」
「そっか」
「えへへ。実じつはそうなんです。すみません」
「いえいえ」

　シャロちゃんはちょっと照てれながら告白こくはくしてくれた。
　なるほど、さすがお嬢じょう様さまっぽいシャロちゃん。
　こういうところも経験けいけん済ずみですか。なるほどね。

　白しろい砂浜すなはま、打うち返かえす白波しらなみ、青あおい空そら。真まっ白しろなふわふわな雲くも。

　すごーい。絵えになるぅ。

　人ひとが多おおいことには目めをつぶろう。

「よしせっかく来きたので、遊あそびましょう」
「はーい」
「さんせーい」

　シートsheetを敷しき、荷物にもつを砂浜すなはまに置おいて、ワン{oneピースpiece}を脱ぬぎ捨すてる。
　それから水辺みずべへ走はしっていく。

「わああああ」
「待まってくださいよぉ、ミレーユさん。早はやいです」
「あああ、二人ふたりとも置おいてかないで……」

　遅おそいのはシャロちゃんだ。彼女かのじょは都会とかいっ子こなのか、ちょっとどんくさい。

「お水みず気持きもちい」
「わわ、冷つめたいけど、大丈夫だいじょうぶ」
「わああああ」

　水辺みずべでお水みずを楽たのしんだり、ばしゃばしゃ水すいを飛とばしてみたりする。

「そーれ、ほれほれ、マリーちゃん」
「ああ、ミレーユさん冷つめたい。やりましたね」

　マリーちゃんの顔かおに私わたしの飛とばした水みずがかかる。

「お返かえしです、それそれそれ」
「あ、冷つめた、あ、う」

　反撃はんげきを食くらった。

「二人ふたりともずるいです。えいえいえいえい」

　シャロちゃんからの援護えんご射撃しゃげきと思おもいきや、二人ふたりとも水浸みずびたしにされちゃった。
　なかなかやるではないか、おぬしよ。