●２４ 弟子でしは可愛かわいいだよ

　桃色ももいろ髪がみのツインテールtwin-tailのシャーロットちゃんが弟子でしになった。

「じゃあシャーロットちゃんは布団ふとんと枕まくらを持もってきてくださいね」
「え、あ、はい」

　弟子でしの布団ふとんまで買かうお金かねはないから持もってきてくんなまし。貧乏びんぼうな師匠ししょうでごめんよ。
　でもご飯はんはちゃんと食たべさせてあげるね。
　あ、誕生たんじょう日びは私わたしのほうが二に週間しゅうかん早はやいから、お姉ねえさんだよ。ねー。

「では、届とどけさせるように手配てはいしてきます」
「はいはい」

　シャーロットちゃんが出でていく。
　自分じぶんで持もってくるのではなく、届とどけてもらうんだな。まあそうか布団ふとん大おおきいもんね。
　今いまは夏なつ布団ぶとんだけど、冬ふゆはどうしようかな。

　ささ、シャーロットちゃんが来くる前まえに、料理りょうりをしないと。

　燻製【くんせい】肉にくをたっぷり入いれたスープsoup。塩しお、胡椒【こしょう】もけちけちしないで使つかった。
　ちょっと高たかかった葉物はもの野菜やさいを使つかったサラダsaladも作つくった。
　それから普通ふつうのパン[bread]。パン[bread]はごめんね普通ふつうだよ。
　高たかい白しろパン[bread]は高級こうきゅう品ひんで、値段ねだんが倍ばい以上いじょうするから、ちょっと手てが出でにくい。
　これはライrye麦むぎパン[bread]だよ。これでも十分じゅうぶんに美味おいしい。ちょっとだけ固かたいのが好このみが別わかれるみたいで、私わたしは固かたいのも食たべごたえがあっていいと思おもう。ちなみに買かい置おきで普通ふつうの人ひとはパン[bread]を自作じさくしたりはしない。

「ただいま戻もどりましたぁ」

　シャーロットちゃんの甘あまい声こえが聞きこえる。
　後うしろには大おおきいおじさんが布団ふとんを抱かかえてきていた。

　あ、なんか布団ふとん高たかそう。いいやつに違ちがいない。あれ、この子こブルジョアbourgeois族ぞくなのだろうか。
　底辺ていへんの売うれない錬金術れんきんじゅつ師しの家いえで、貧乏びんぼうで、毎日まいにちのご飯はんもやっとの生活せいかつが、とか思おもってたのと違ちがう。
　まあ裕福ゆうふくなら裕福ゆうふくで、別べつに問題もんだいそのものはない。
　ただイメージimageと違ちがっただけだよ。他意たいはないよ。
　あ、自分じぶんの実家じっかと重かさねてたんだね。分わかった。王都おうとの錬金術れんきんじゅつ師しはちゃんと生活せいかつできていたんだ。よかったよかった。

　向むかい合あうとシャーロットちゃんのほうが小ちいさい私わたしよりさらにちょっと小ちいさい。
　ほんのちょっとだけど、私わたしのほうがお姉ねえさんだ。
　そう思おもうと、とたんに可愛かわいく思おもえてくる。

「はい、おかえりぃ。いいこいいこ」

　頭あたまをなでなでする。お、触さわり心地ごこちも悪わるくない。これはいいものですぞ。
　ポムも忘わすれてないよ。ちょっと主張しゅちょうしてくるから、次つぎに撫なでておいた。可愛かわいいやつめ。うりうり。

　こうしてスキン{skinシップship}をしたりして、そして。

　ミレーユ家け恒例こうれいの一緒いっしょにお風呂ふろタイムtime。
　私わたしとシャーロットちゃんとそれからポムでお風呂ふろに入はいる。

　むむ。胸むねが私わたしより、ちょっとある。私わたしのほうがお姉ねえさんだと思おもったのに、違ちがったらしい。惨敗ざんぱいだった。
　さらにお肌はだはすべすべで、さすがだった。

　二ふたつ並ならんだベッドbedで、それぞれお布団ふとんに入はいる。
　一緒いっしょの部屋へやで誰だれかと寝ねるというのは、なんだか懐なつかしい気分きぶんだけど、ほとんど記憶きおくがない。

　人ひとがいるっていうだけで、ちょっと安心あんしん。
　これが怖こわい人ひととだったら不安ふあんなのだろうけど、シャーロットちゃんは、いい人ひとそう。
　勝手かってな想像そうぞうだけど、一緒いっしょにこれからやっていけそうな気きがする。

　安心あんしんして寝ねた。


「おはようございます」
「あーおはよう、ございます」

　ちょっと朝あさ、目めが覚さめたらもうシャーロットちゃんは起おきていた。

「シャーロットちゃんは朝あさ早はやいの？」
「いえ、ちょうど起おきただけですよ」
「そうなんだ。私わたしより早はやいからびっくりしちゃった」
「朝あさご飯はんはワタシが作つくりますね」
「あ、うん。ありがとう」

　シャーロットちゃんが作つくってくれるらしいので、せっかくだから甘あまえてしまおう。
　とくに苦手にがてとかも言いってないから大丈夫だいじょうぶだろう。

　普通ふつうにパン[bread]とスープsoupとそれから燻製【くんせい】肉にくのベーコンbaconと目玉焼めだまやきが出でてきた。
　ういうい。料理りょうりもある程度ていどはできると。
　優秀ゆうしゅう、優秀ゆうしゅう。逆ぎゃくに何なんにもなくて、困こまっちゃいそうなぐらいだね。
　別べつにお姑しゅうとさんじゃないけど、粗あら探さがしとかしたくなったらどうしよう。

「うん、美味おいしい、ありがとう」
「料理りょうりは任まかせてください。錬金術れんきんじゅつはあんまり自信じしんがないんですけど……」

　ちょっと悲かなしいような顔かおをするシャーロットちゃん。

「あはは。いや十分じゅうぶんだよ。十分じゅうぶん。そこそこできればいいから。今いまは」
「今いまはですか」
「まあね。将来しょうらいは秘薬ひやくとかも作つくってほしい」
「秘薬ひやくですか、すごいですね」
「作つくり方かたは結局けっきょく基礎きそができてるなら一緒いっしょだから、大丈夫だいじょうぶだよ」
「それだと助たすかります」

　少すこしは励はげませたみたいで、安心あんしんした顔かおになった。
　そういう顔かおは可愛かわいいから好すきだよ。

　こんな感かんじで、一緒いっしょに生活せいかつすることになった。
　いい子こではありそうで、助たすかってる。
　お姉ねえさんも頑張がんばんなくちゃね。