●２３. 王都おうとアルバーン(３)

　祝福しゅくふくのお昼ひるご飯はんにしようと思おもう。
　城下町じょうかまちのちょっと高たかそうなお店みせである。内容ないようはカニ・サラダ食たべ放題ほうだい。

「カニ、カッニッ、カニカニカニ」

　いつものようにソティがご機嫌きげんである。カニはいつもの大だい陸りくガニだ。ここの迷宮めいきゅうにもいるらしい。
　このカニはかなり大おおきいので、一人ひとり一匹いっぴきとか無理むりだし、殻からを手てで割わるのも無理むりだ。先さきに殻からを割わってくれてあり、ぶつ切ぎりになっている。
　茹ゆでガニ以外いがいにも、生なまのカニ身みのお刺身さしみや、バター塩しお胡椒こしょう炒いため、カニ玉たま風ふうの卵料理たまごりょうりなどがあった。
　サラダはニンジンの細切ほそぎりとフサフサレタス、香草こうそうが少すこしだった。塩胡椒しおこしょうとレモンとオリーブ油ゆのドレッシングがついていた。
　スライスした固かたい焼やきパンも食たべ放題ほうだいだ。

　カニと戦たたかうため鎧よろいを脱ぬいでいた。冒険者ぼうけんしゃ服ふく姿すがただ。
　全員ぜんいん、すさまじい勢いきおいで茹ゆでガニの切きり身みを左手ひだりてとカニフォークで食たべていく。カニフォークは普通ふつうのフォークより幅はばが狭せまい特殊とくしゅなものだ。
　テーブルの真まん中なかにあるカニの殻から入いれは山盛やまもりになり、交換こうかんされるほどだった。
　お値段ねだんは一人ひとり三五〇さんびゃくごじゅうポルンだ。しかし今日きょうの結晶けっしょうの利益りえきより少すくない出費しゅっぴである。

　食たべ終おわったらまたアリスのお腹なかがポンポコリンになっているのが見みえる。
　俺おれは思おもわずアリスのお腹なかをなでなでした。

「ふー。食たべた食たべたウサ」

　アリスは目めを細ほそめて幸しあわせそうだ。その小ちいさい体からだのどこに食たべ物ものが入はいるのかな。入はいりきらない分ぶんでお腹なかが膨ふくらんでるのか。
　俺おれは一人ひとりで納得なっとくしていた。

「ホクトさんはアリスびいきじゃないですか」

　ピーテが不満ふまんを言いってくる。俺おれはしらばっくれることにする。

「そ、そんなことないよ」

　ピーテは「あそうですか」とかもごもご言いっていた。俺おれはピーテたちの頭あたまを順番じゅんばんに撫なでる。猫耳ねこみみ、犬耳いぬみみ、うさ耳みみだ。
　すると今度こんどはフルベールが物欲ものほしそうな目めで見みつめてくるので、フルベールも頭あたまを撫なでておいた。
　とりあえず機嫌きげんは直なおったようだ。

「午後ごごはどうしますか。お腹なかがいっぱいで迷宮めいきゅうって気分きぶんではないですね」

　ピーテが質問しつもんしてくる。昨日きのうはウィンドウショッピングのつもりで散財さんざいしてしまったから反省はんせいしないと。
　結局けっきょくは料理りょうりをすることにした。今日きょうは卵たまごプリンを作つくろう。

　王城おうじょうのキッチンを無理むりやり借かりて、隅すみでプリンを作つくっている。
　鶏にわとりの卵たまごは普通ふつうにあった。砂糖さとうもあった。牛乳ぎゅうにゅうもあるようだ。バニラエッセンスはさすがにない。
　調理ちょうり器具きぐは普通ふつうの火ひではなく魔道まどう具ぐで、火力かりょく調整ちょうせいレバーまでついている優すぐれものだ。
　まずカラメルを鍋なべで作つくる。砂糖さとうと少量しょうりょうの水みずを入いれて色いろが変かわるまで温あたためる。
　次つぎに本体ほんたいを作つくる。ボウルに砂糖さとう、卵たまごを混まぜて牛乳ぎゅうにゅうをさらに入いれてかき混まぜておく。
　容器ようきはちょうどいいのがないので、深ふかめの小皿こざらを借かりて代用だいようする。
　底そこにカラメルを入いれて、上うえからプリンの元もとを注そそぐ。
　水みずを張はった大おおきな鍋なべの中なかに並ならべて蒸むす感かんじにする。
　料理人りょうりにんと王様おうさま一家いっかと俺おれたちの分ぶんでかなりの数かずを作つくる羽目はめになった。
　女子じょしたちは興味津々きょうみしんしんで眺ながめてくる。その後うしろから料理人りょうりにんたちも見学けんがくをしていた。
　プリンを冷つめたい水みずで冷ひやす。
　時間じかんはまだ三時じ前まえだ。次つぎにカレー味あじのポテチを作つくろうと思おもう。

　油あぶらを多おおめに確保かくほして、ジャガイモをスライスして揚あげる。そしてフクベルで買かった混合こんごうスパイスをピーテの収納しゅうのうから出だしてもらう。
　揚あがったポテチの半分はんぶんをカレー味あじに、もう半分はんぶんを塩味しおあじにしてみた。カレー味あじにも塩しおを入いれるのがミソだ。


　俺おれたちは緊張きんちょうして集あつまっていた。暇ひまなのか王様おうさま自みずから俺おれたちの部屋へやまで来きて、プリンとポテチの試食会ししょくかいに参加さんかしてきたのだ。
　大おおきめのテーブルの並ならんだ椅子いすに全員ぜんいん座すわっている。
　メイドがお茶ちゃを運はこんでくるのを待まつ。

「お茶ちゃが待まち遠どおしいであるな」
「そうですね」
「先さきに食たべてしまおうか。うむ、しかしな」

　王様おうさまはお茶ちゃがくるのを待まつのか悩なやんでいる。結局けっきょく待まつようだ。
　カニでお腹なかいっぱいだったはずだが、皆みんなもう大丈夫だいじょうぶになったみたいだ。
　メイドが紅茶こうちゃを持もって入はいってくる。美うつくしいしぐさでカップを並ならべて紅茶こうちゃを注そそいでくれる。そのまま部屋へやに残のこるようだ。

「それでは、いただくとしよう」

　王様おうさまが言いうとまずポテチの塩味しおあじを食たべる。もぐもぐする。皆みんなはそれを見みている。

「なかなかうまいな」

　次つぎにカレー味あじを食たべる。

「これまた香辛料こうしんりょうが効きいていてよい」

　紅茶こうちゃを一口ひとくち飲のんだ後あと、プリンを一口ひとくち食たべる。

「これは柔やわらかくて甘あまくて良よい口当くちあたりだ。ほれ、みなも食たべてみよ」

　俺おれたちも食たべ始はじめる。

「やはり、ホクトさんは天才てんさいです」
「うまいにゃ」
「ついてきて良よかったウサ」
「ホクトさん。なかなかやるのです」

　みんなも俺おれをほめてくれる。
　王様おうさまのお気きに入いりはカレー味あじのポテチのようだ。スパイスの調合ちょうごうは分わからないと俺おれは断ことわっておいた。きっと似にたものを王都おうとで探さがし出だすだろうから大丈夫だいじょうぶだろう。

　ついでに王様おうさまにミルク飴あめを渡わたす。

「濃厚のうこうな牛乳ぎゅうにゅうの味あじだな。なかなかうまいぞ」

　王様おうさまに入手にゅうしゅ経緯けいいなどを教おしえておく。

「すぐに使つかいの者ものを露店ろてんへ向むかわせよう。王城おうじょうでも取とり立たてようと思おもうぞ」

　そう言いってメイド経由けいゆですぐに人ひとを呼よびだして使つかいを向むかわせた。
　おれは控ひかえているメイドさんにもポテチとミルク飴あめをご馳走ちそうしてみた。

「私わたしのようなものにまで、ありがとうございます」

　メイドさんは遠慮えんりょしつつも食たべた。

「とても美味おいしいです。きっと王城おうじょうでも流行はやると思おもいます」
「そうじゃな。わしが王城おうじょう勤つとめ全員ぜんいんに飴あめを配くばろうと思おもうぞ」
「太ふとっ腹ぱらですね」
「わぅはっは。そんなに腹はらが出でてるかね」

　王様おうさまは太ふとめだけど腹はらが出でてるという所ところまではいっていなかった。

　王様おうさまは仕事しごとに戻もどって俺おれたちだけでおしゃべりタイムになる。
　皆みなとの思おもい出で話ばなしとかをしつつフルベールと主おもに情報じょうほう交換こうかんする。
　フルベールはここから南みなみのほうへ行いった山脈さんみゃくの麓ふもとにある森林しんりんに住すむエルフの村むら出身しゅっしんだそうだ。二十三にじゅうさん歳さいで見みた目めは十八じゅうはちくらいに見みえる。
　俺おれは異世界いせかい出身しゅっしんで王様おうさまたちに情報じょうほうを求もとめて旅たびをしていることを話はなした。
　フルベールも帝都ていとまでついてくるとやっぱり言いい出だした。

「こんなに面白おもしろそうな人ひと、なかなかいないのです」

　そうフルベールは言いっていた。
　女おんなの子こたちは夕ゆうご飯はん前まえに、隣となりの部屋へやへ着替きがえに行いった。そう、例れいのメイド服ふくだ。
　俺おれは一人ひとりで寝室しんしつで待まちぼうけである。
　暫しばらく待まつとドアが開ひらいた。

「じゃじゃん！　です」

　まずピーテから現あらわれた。その後あとにソティ、アリス、フルベールと順番じゅんばんに入はいってきた。
　俺おれの前まえに一列いちれつに並ならんで、緊張きんちょう気味ぎみにキヲツケの姿勢しせいだ。
　ソティとフルベールは、胸部きょうぶの白しろい布ぬの部分ぶぶんを丸まるいおっぱいが突つき出でている。ピーテはちょっとだけ膨ふくらんでいて、アリスはぺったんこなのが逆ぎゃくによく分わかる。
　全員ぜんいんが白しろのニーソックスと水色みずいろのスカートの絶対ぜったい領域りょういきが露出ろしゅつしている。全員ぜんいん日本人にほんじんより白しろっぽいが肌はだの白しろさの違ちがいがよく分わかる。
　足あしはアリスとかすごく細ほそい。ソティはほかの子こより足あしが太ふとめだが十分じゅうぶんスタイルのいい範囲はんいの中なかだ。

「ゆっくり一回かい転こかしてみて」

　全員ぜんいんが回転かいてんする。なぜかソティだけ左回ひだりまわりだった。横よこを向むくとおっぱいの出でっ張ぱりに目めが行いく。みんな腰ごしは絞しぼられていて細ほそくなっているのも分わかる。

「次つぎはスカートの前まえの部分ぶぶんを持もって持もち上あげて」

　みんな挨拶あいさつする時ときのように少すこしだけ持もち上あげて広ひろげている。

「うん。みんな可愛かわいいね」
「「ありがとうございます」」

　ただし一ひとつだけ残念ざんねんな所ところがある。可愛かわいい靴くつを買かってあげていないので、アリスを除のぞき足元あしもとが実用じつよう重視じゅうしの革靴かわぐつという点てんだ。
　ちなみにこの異世界いせかいの女性じょせい用ようパンツは地球ちきゅうの綿わたの普通ふつうの奴やつとだいたい同おなじらしい。なお、スカートの下したにはひらひらの見みせパンを履はいているそうだ。
　こうして午後ごごのひと時ときは過すぎた。今日きょうの夕ゆうご飯はんは何なんだろうか。楽たのしみだ。