●タイトル
瀕死ひんしで冷凍れいとう催眠さいみんされてた俺おれはヒューマノイド巨乳きょにゅう少女しょうじょにＴＳした件けん　～おっぱいには大だい容量ようりょうバッテリーが詰つまってる～

●あらすじ
未来みらい世界せかい、冷凍れいとう催眠さいみんから目めが覚さめたら少女しょうじょになっていた。脳のう以外いがいは機械きかいのヒューマノイドだった。ところが胸むねがＥカップはある。交換こうかん用よう大だい容量ようりょうＸＬ型がたＥカップポリマーバッテリーは柔やわらかくてばるんばるん揺ゆれるし重おもくて非常ひじょうに邪魔じゃまだ。重心じゅうしんも不ふ安定あんていで少女しょうじょには荷にが重おもい。という話はなしです。

●本編
　２１ｘｘ年ねん。目めが覚さめた。
　俺おれは２１世紀せいきの生うまれだ。すでに百年ねんくらい経過けいかしている。
　生前せいぜんというのか、交通こうつう事故じこで全身ぜんしんボロボロだった俺おれの体からだは冷凍れいとう催眠さいみんで保存ほぞんされていた。
　起おきてみれば世よの中なかは進すすみ機械きかい化かした人類じんるいであるヒューマノイドが歩あるき回まわる世界せかいになっていたのだ。

「山田やまだ修おさむさんだったかな、あなたの体からだは使つかい物ものにならなくなっていたので脳のう以外いがいすべて破棄はきしました」
「えっ、あ、はい」
「それで社会しゃかい保険ほけんで使つかえる唯一ゆいいつの義ぎ体たいは一番いちばん小ちいさい少女しょうじょ型がたと決きまっているのであなたは今日きょうから女おんなの子こになりました」
「あ、うん、声こえも高たかくなってて変へんだけど」
「そうですね。すぐ慣なれますよ」

　俺おれは脳のうみそ以外いがい全部ぜんぶ取とり換かえられた。
　体からだは１４０センチの少女しょうじょ型がただ。
　なぜ性別せいべつニュートラルな少年しょうねん型がたではなく女性じょせい型がたなのかというと、うん。今いまもずしりとその重おもみを感かんじる。
　ベッドで起おき上あがっているけれどこの重おもみのせいでバランスがとりにくい。

「当とう病院びょういんでは安全性あんぜんせいの観点かんてんからＸＬ型がたＥカップ大だい容量ようりょうバッテリーしか認みとめていません」
「そう……みたいですね」
「スポーツとかする気きがあるなら、その時ときだけＳ型がたＢカップバッテリーとかにもできますけど、有料ゆうりょうですよ」
「あ、はい、大だい丈夫じょうぶです」

　胸むねが大だい容量ようりょうポリマーバッテリーになっている。
　触さわってみると本物ほんものの胸むねのように柔やわらかい。
　それから熱ねつを持もつため本物ほんもののように温あたたかい。
　いや本物ほんもののおっぱいを触さわったことはないんだけど。
　安全性あんぜんせいを考慮こうりょして金属きんぞく製せい鋼こう体たいではなく衝撃しょうげき吸収きゅうしゅう型がたのポリマーでできているのだ。
　２１世紀せいきにも柔やわらかいリチウム・ポリマーバッテリーは実用じつよう化かされていたので別べつにおかしいことはない。

　――ロリ巨乳きょにゅう。

　そう、そういうの。
　ＸＬ型がた大だい容量ようりょうバッテリーはひとつで８時間じかん、人間にんげん型がたには二つついているので１６時間じかんもつ。
　なんでこんなことになっているかというと臓器ぞうきは人工臓器じんこうぞうきへ筋肉きんにくは人工じんこう筋肉きんにくに骨ほねは人工骨じんこうこつに、詰つめ込こめるだけの人間にんげんの代用だいよう部品ぶひんがすでに全身ぜんしん詰つまっている。
　それぞれ置おき換かわったわけだが機械きかい部品ぶひんは電気でんきで動うごく。
　そこで問題もんだいになるのがバッテリーだったわけだ。
　母乳ぼにゅうを出ださなくていいならおっぱいは脂肪しぼうの塊かたまりなのでそこをバッテリーとした。
　だから男子だんし型がたは存在そんざいしていない。
　例外れいがい的てきにクリスマスのサンタや各種かくしゅイベントやテーマパークなどで使つかう太ふとったおじさん型がたはあるらしいが高価こうかだ。
　ついでに言いえば人工じんこう子宮しきゅうは病院びょういんの専用せんよう施設しせつにあるので子宮しきゅうも搭載とうさいする必要ひつようがない。
　胸むねのバッテリーは取とり外はずしが可能かのうなアタッチメントタイプになっている。
　胸むねを外はずしても大だい丈夫じょうぶなように本体ほんたいには子宮しきゅう型がた内臓ないぞうバッテリーが搭載とうさいされており３時間じかんもつ。
　合計ごうけいで１９時間じかんは充電じゅうでんなしで活動かつどう可能かのうだった。
　しかし一日いちにち中じゅうもつわけではない。
　そのため睡眠すいみん時じなどにはコードをつなぐことを推奨すいしょうしている。
　それから緊急きんきゅうチャージ用ようの急速きゅうそく充電じゅうでんバッテリーがあり子宮しきゅうバッテリーに直結ちょっけつさせるため膣ちつに挿入そうにゅうして使つかう。
　これがひとつ３０分ぷんだ。普通ふつうの人ひとは念ねんのため二つバッグに入いれて持もち歩あるいている。
　もちろん予備よびのおっぱいバッテリーの交換こうかんサービスや給電きゅうでんポイント、緊急きんきゅう用ようバッテリーも売うっている。

　そうそう『電池でんちが切きれると死しぬ』。

　スマホなら電源でんげん切きってしまえばいいのだけど人間にんげんの脳のうみそを生いかす装置そうちもついているのでそういうことはできない。
　自分じぶんが電化でんか製品せいひんになってしまったわけだ。

「退院たいいんしていいですよ」
「ありがとうございました」

　ふらふら歩あるきながら俺おれが病院びょういんを出でていく。
　身寄みよりもないし仕事しごともしていないので家いえは公団こうだん住宅じゅうたくを貸かしてもらえた。
　この現在げんざいの世界せかいには生活せいかつ保護ほごの制度せいどは廃止はいしされていて完全かんぜんなロボットではない元もと人間にんげんには全員ぜんいんに定額ていがくが支払しはらわれるベーシックインカムのような制度せいどがあった。

　手足てあしが出でているワンピースを着きて歩あるいていく。
　俺おれの手足てあしはアンドロイドの白しろい金属きんぞく剥むき出だしなので、ちょっと目立めだつ。
　少女しょうじょのすべすべお肌はだとはいかなかった。顔かおだけは保険ほけん適用てきようで人間にんげん風ふうのスキンが貼はってある。
　しかし手足てあしや胴体どうたいは金属きんぞくフレームのソレだ。
　人間にんげん風ふうのスキンを貼はるのは有料ゆうりょうでかなり高たかい。しかも傷きずがつきやすく汚よごれやすい。
　定期ていきメンテナスで貼はり替かえて維持いじする必要ひつようが出でるためとても俺おれの支給しきゅう金きんでは無理むりだった。

　しかし足元あしもとがおぼつかない。
　胸むねが重おもい。とにかくこのバッテリーが重おもい。少女しょうじょにはデカすぎる。
　歩あるくたびにぼいんぼいんとおっぱいが揺ゆれる。
　重心じゅうしんが上あがってしまい歩あるきにくい。
　未来みらい世界せかいと言いっても技術ぎじゅつの限界げんかいはある。とくに重力じゅうりょく制御せいぎょはできない。
　巨乳きょにゅうの女おんなの子こはこんな大変たいへんな思おもいをして生活せいかつしているのか。
　俺おれたちは鼻はなの下したを伸のばしておっぱいだと思おもってニヤニヤしているだけだが、本人ほんにんたちは苦労くろうしているのだろう。
　俺おれも身みをもって知しった。

　すでにお金かねは支給しきゅうしてもらった。
　全額ぜんがく電子でんしマネーに入はいっている。便利べんりなことに右手みぎてをかざすだけで内蔵ないぞうされていた。
　内臓ないぞうなのか内蔵ないぞうなのか微妙びみょうだな、うん。
　こういう部分ぶぶんは当あたり前まえだがちゃんと電子でんし化かされている。

　それからスマホ。スマホも目めと脳のうみそと直結ちょっけつしててスクリーン投影とうえいみたいに見みえるので超ちょう便利べんりだ。
　検索けんさくして近ちかくのラーメン屋やに入はいる。

「いらっしゃいませ」
「おおう、いい匂におい」
「ご注文ちゅうもんは？」
「醤油しょうゆチャーシュー麺めん、あとギョウザ一枚いちまい」
「はいよ」

　俺おれたちはヒューマノイドだ。
　脳のうみそ以外いがいほとんど機械きかいなんだがそれらは人工じんこう内臓ないぞうもあるので消化しょうか吸収きゅうしゅうができる。
　代かわりにトイレに行いく必要ひつようもあるんだけども、まあそれは置おいておく。
　脳のうへ送おくるブドウ糖とうは食たべ物もの由来ゆらいなのでバッテリーでは補給ほきゅうできない。
　だから食たべる必要ひつようがあった。
　それから余あまったカロリー物ぶつは酸化さんか反応はんのうをさせることで電力でんりょくに変換へんかんされる。バッテリーの消費しょうひを抑おさえて場合ばあいによっては充電じゅうでんもできた。

「いただきます」

　麺めんをすすってスープも飲のむ。

「美味うまい」

　機械きかいの体からだでラーメンを食たべていると変へんな感かんじがするが、周まわりを見みると半分はんぶんの客きゃくが俺おれと同おなじようなヒューマノイドの少女しょうじょたちだ。
　みんなロリ巨乳きょにゅうなのでこちらもやはり変へんな感かんじがする。
　おっさんはほとんどいない。
　この未来みらい都市としではおっさんのままずっと人間にんげんでいられるのもある意味いみ贅沢ぜいたくなことかもしれない。

　ラーメンとギョウザを平たいらげて右手みぎてをかざして決済けっさいを済すませる。

　立たち上あがるとまた胸むねが揺ゆれる。

「くそぅ」

　この体からだが憎にくい。
　女おんなの子こなのはかわいくていいが胸むねが邪魔じゃますぎる。
　ばいんばいん揺ゆれて不ふ安定あんていなので休やすまらない。

　公団こうだん住宅じゅうたくまでは電車でんしゃで一駅えきだった。
　改札かいさつに手首てくびをかざして通とおる。内蔵ないぞうしてると取とり出だす必要ひつようがなくて楽らくだ。
　ただしかざす必要ひつようは相変あいかわらずあった。
　普通ふつうに立たっているだけで料金りょうきんが取とられると不正ふせい利用りようされたときに気きが付つかない可能かのう性せいがあるので、電波でんぱの送受信そうじゅしん距離きょりをわざと手首てくびから十センチくらいに制限せいげんしてあるんだそうな。
　病院びょういんでチャージをするときに教おしえてもらった。

　改札かいさつを無事ぶじ通とおり、なんか近きん未来みらいのよく分わからん電車でんしゃに乗のる。
　しかし電車でんしゃは電車でんしゃだった。
　なんということはない。あの形かたちが一番いちばん多おおくの人ひとを一度いちどに運はこべる事実じじつは百年ねん経たっても変かわらなかったというだけだろう。
　もちろん満員電車まんいんでんしゃではないのと、すごく駆動くどう音おんが静しずかになっていることが違ちがうところだろうか。
　この未来みらいでは家いえからフルリモートの仕事しごとも多おおいらしい。あとベーシックインカムだけで働はたらいていない人ひとも少すくなくないそうだ。
　さらに一人ひとり乗のりの自動じどう運転うんてんタクシーが街中まちなかを走はしり回まわっていて、それの利用りよう者しゃもいるので電車でんしゃの乗客じょうきゃく数すうは減へっているのだとか。

　電車でんしゃが動うごき出だす。

「うぉおい」

　つり革かわになんとか手てを伸のばして掴つかまる。
　小ちいさい少女しょうじょ型がたヒューマノイドに合あわせてはくれないらしく、ぎりぎり届とどくくらいだった。
　もしかしたら少女しょうじょは電車でんしゃに乗のらない文化ぶんかの可能かのう性せいもある。あまり周まわりにもいない。
　なんとか掴つかまったら電車でんしゃが発進はっしんする。
　急きゅうに動うごいた。そして胸むねが。おっぱいが揺ゆれる。

「んっんんっ、くそぉ」

　万有ばんゆう引力いんりょくの法則ほうそくとか慣性かんせいの法則ほうそくとかが未来みらいになっても変かわるわけがないので、電車でんしゃが進すすみだすと胸むねが揺ゆれるのだ。
　そして電車でんしゃが揺ゆれるとまた胸むねがそれにつられてぼよんぼよん揺ゆれる。
　バッテリーが重おもい。

　なんとかぽよんぽよいんしつつ一駅えきで電車でんしゃを降おりた。
　酷ひどい目めに遭あった。今度こんどから俺おれも一人ひとり乗のり無人むじんタクシーにしよう。
　そりゃ巨乳きょにゅう少女しょうじょたちが電車でんしゃで移動いどうしないわけだ。俺おれも覚おぼえた。

　公営こうえい住宅じゅうたくに到着とうちゃくした。
　俺おれの部屋へやは五階かいにある。
　エレベーターに乗のって上あがる。

「ただいま」

　誰だれもいないのは知しっているが挨拶あいさつだけはしてみる。
　部屋へやに入はいる。

「なにもねぇ」

　本当ほんとうに何なにもない部屋へやがぽつんとあった。
　ベッドもない。

　俺おれは病院びょういんから持もってきた緊急きんきゅう用ようバッテリー２本ほんと充電じゅうでん用ようケーブルが入はいったバッグを床ゆかに置おく。
　コンセントは相変あいかわらず１００ボルトのようでお馴染なじみの二ふたつの穴あなが並ならんで壁かべにある。

「何なにもねぇ……」

　コンセントに充電じゅうでん用ようケーブルをさして床ゆかに座すわる。座すわるとおっぱいが揺ゆれる。
　そしてバランスが悪わるい。

「こりゃ女おんなの子こが肩かた凝こるわけだわ、重おもいもん」

　内蔵ないぞうされたスマホ機能きのうでネットを閲覧えつらんする。
　低所得者ていしょとくしゃ向むけサービスを片かたっ端ぱしから検索けんさくする。
　お、あった。
　中古ちゅうこ家具かぐの無料むりょうレンタルサービス。
　とりあえず椅子いすとテーブルとパイプベッドを注文ちゅうもんする。
　布団類ふとんるいはなけなしの電子でんしマネーで買かうしかないか。

　台所だいどころにはオール電化でんかの電磁でんじ調理器ちょうりきキッチンセットだけはあった。
　ただし鍋なべやフライパンとかはない。

　いろいろ物入ものいりだな。俺おれは空からっぽの自室じしつで途方とほうに暮くれた。

　――とにかく、胸むねが重おもい。

　俺おれはずっとこの胸むねを揺ゆらして生いきていかなければならないらしい。
　西日にしびが窓まどから入はいってくる。
　昔むかしは転生てんせいしたら少女しょうじょになりたいなどと妄想もうそうしていたが実際じっさいになってみたら、女おんなの子こになるのはこんなにも大変たいへんなんだな……つくづく思おもい知しった。