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せなかのくぼみ

せなかのくぼみ
あたし翼をなくしたの

そう言ってぼくに背中を見せたきみは、

きれいな肩甲骨には自由自在にへこむくぼみがあって

ぼくはきみをずっと裏返して見ていたくなる。

園芸用のスコップには、

小さな苗を小さな鉢植えに寄せるための

それは小さなスコップがあって、

それがぴったりな大きさだ、

なんてことを考えながらぼくはきく。

なくした翼はどうしたの?

さあ、なにしろいたくて、いっぱい血が出たから、

いたみをふさぐことに、あたし夢中になったから、

消えた翼がどこへ行ったかなんて、

ぜんぜん覚えてないんだもの。

柔らかいはだに、爪を立てたい気持ちに蓋をして、

口を開いて、心を探る

傷なんか一筋だって、ついてない。

見えないの?

見えないよ。

変ね。でもまあ、いっか。

翼がもげた傷なんて、じぶんにはみえるわけはないんだから、

きみはきっと嘘をついている。

でも絶対そうだとも、いいきれなくてぼくは、

肩甲骨のくぼみに指を3本はわして、

痛かったねときみを抱く。

最新話です



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