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インヴォーク! 起動せよ、新生レグルス!!
本陣の危機
「――なんとしてでも、踏みとどまれ! 正規軍が来るまで本陣を死守せよ!!」
「ギルドマスター、無茶です!」
「ええい、うるさい奴め! そんなことは元よりわかっている! それでもやるんだ! 敵本陣から援軍が来る可能性がまだあるのだぞ! 死にたくないなら可能な限り奴らの頭数を減らせ! 減らせ! 減らせぇ!!」
シャドウが退却したおかげで、ネロの率いる本陣は後方の迎撃に集中できるようになった。
だが攻撃隊に参加したメンバーは、誰一人帰ってきていない。相手が悪かったことを考慮しても、本陣が孤立無援に陥ったというのは本来なら一番避けるべき状況であった。
「……私も、戦わなきゃ」
イングリットも急ぎ、護身用の拳銃を握る。実銃は訓練でしか撃ったことがないが、生き残るためにはネロの言う通り、戦うしかない。自分の身は自分で守る、参謀とは言えどもそれを覚悟した上で彼女は冒険者になったのだ。
――本陣の防衛は、熾烈な戦いを極めた。ギルドの精鋭と言えども、強力な大型鳥形魔物の数々には苦戦を強いられ、死傷者は着々と増えていく。
「――!!」
そして――イングリットにも死のかぎ爪が、迫ろうとしていた。
やってきたグリフォンは、一際大きかった。
「――この、この!!」
拳銃を撃ちまくるが、かすりもせずにあっという間に弾切れ。スピードリローダーを使ってすぐに再射撃するものの、累計12発の弾丸は敵に致命傷を与えることはできなかった。
「――わわ、わわっ」
恐慌状態になり、残りの弾をリロードする手つきが震えていた。リボルバー拳銃は比較的連射が効くものの、一度撃ち終わったらスピードリローダーを考慮しても再装填に時間がかかる。それすらも使い果たせば、それはもうただの鋼鉄の飾りにすぎない。
『キィィィーッ!!』
死のかぎ爪が、ついに彼女の喉元まで迫った。
「いっ、いっ、イヤアアアア!!!」
恐怖心が完全に決壊した、その時だった。
かぎ爪と喉元が血に染まるより先に、火薬が弾ける音が響き渡った。
「――ッ!!」
泣き顔のイングリットが目を開くと、そこには頭を正確に撃ち抜かれたグリフォンが墜落していた。
「…………」
銃声が聞こえた方向を向くと、そこには黒い鎧を着て、白く長い髪を後ろから出した仮面の騎士が、拳銃を握っていた。銃口からは硝煙が昇っており、足元には一発だけ空薬きょうが落ちていた。
――そう、この騎士はイングリットを、たった一発の弾丸で救ったのだった。
「……大丈夫かい、君?」
――だが、イングリットはそれよりも驚いたことがあった。
「もう少しで共和国軍が救援に来る。それまで持ちこたえるんだ」
そう、男だと思っていた仮面の騎士から発せられた声は、明らかに女のものであった。
仮面の騎士の援護により、イングリットはその後しばらく持ち直すことができた。
そしてとうとう、本陣にトリスト共和国陸軍所属『アイアンクロス大隊』が現れた。
『こちら、アイアンクロス大隊所属、アネット・ピッケンハーゲン少尉です!』
――現れたのは、新型軍用のゴーレム。
『大隊長の命令により、アーティフィシャルメイジを用いて先行しました!! これより周辺の警戒及び負傷者の救護に当たります!!』
「…………」
想定より早くやってきた、予想外の救援を見上げるギルドの冒険者達。共和国軍が搭乗型のゴーレムを秘密裏に開発していることはギルドでも噂になっていたが、それが救援部隊として実際に現れるとは誰も思っていなかったようだ。
『あなた達はアイアンクロス本隊と合流してください! 衛生兵の準備はできています!!』
「……助かります。今の私達に戦闘を継続する余力は既にありません」
――これにより、ギルドと共和国軍の共同作戦である、ホワイトエンペラー要塞攻略作戦は、まだ前半戦が終わったばかりだが、ひと段落がつくことになった。
「ギルドマスター、無茶です!」
「ええい、うるさい奴め! そんなことは元よりわかっている! それでもやるんだ! 敵本陣から援軍が来る可能性がまだあるのだぞ! 死にたくないなら可能な限り奴らの頭数を減らせ! 減らせ! 減らせぇ!!」
シャドウが退却したおかげで、ネロの率いる本陣は後方の迎撃に集中できるようになった。
だが攻撃隊に参加したメンバーは、誰一人帰ってきていない。相手が悪かったことを考慮しても、本陣が孤立無援に陥ったというのは本来なら一番避けるべき状況であった。
「……私も、戦わなきゃ」
イングリットも急ぎ、護身用の拳銃を握る。実銃は訓練でしか撃ったことがないが、生き残るためにはネロの言う通り、戦うしかない。自分の身は自分で守る、参謀とは言えどもそれを覚悟した上で彼女は冒険者になったのだ。
――本陣の防衛は、熾烈な戦いを極めた。ギルドの精鋭と言えども、強力な大型鳥形魔物の数々には苦戦を強いられ、死傷者は着々と増えていく。
「――!!」
そして――イングリットにも死のかぎ爪が、迫ろうとしていた。
やってきたグリフォンは、一際大きかった。
「――この、この!!」
拳銃を撃ちまくるが、かすりもせずにあっという間に弾切れ。スピードリローダーを使ってすぐに再射撃するものの、累計12発の弾丸は敵に致命傷を与えることはできなかった。
「――わわ、わわっ」
恐慌状態になり、残りの弾をリロードする手つきが震えていた。リボルバー拳銃は比較的連射が効くものの、一度撃ち終わったらスピードリローダーを考慮しても再装填に時間がかかる。それすらも使い果たせば、それはもうただの鋼鉄の飾りにすぎない。
『キィィィーッ!!』
死のかぎ爪が、ついに彼女の喉元まで迫った。
「いっ、いっ、イヤアアアア!!!」
恐怖心が完全に決壊した、その時だった。
かぎ爪と喉元が血に染まるより先に、火薬が弾ける音が響き渡った。
「――ッ!!」
泣き顔のイングリットが目を開くと、そこには頭を正確に撃ち抜かれたグリフォンが墜落していた。
「…………」
銃声が聞こえた方向を向くと、そこには黒い鎧を着て、白く長い髪を後ろから出した仮面の騎士が、拳銃を握っていた。銃口からは硝煙が昇っており、足元には一発だけ空薬きょうが落ちていた。
――そう、この騎士はイングリットを、たった一発の弾丸で救ったのだった。
「……大丈夫かい、君?」
――だが、イングリットはそれよりも驚いたことがあった。
「もう少しで共和国軍が救援に来る。それまで持ちこたえるんだ」
そう、男だと思っていた仮面の騎士から発せられた声は、明らかに女のものであった。
仮面の騎士の援護により、イングリットはその後しばらく持ち直すことができた。
そしてとうとう、本陣にトリスト共和国陸軍所属『アイアンクロス大隊』が現れた。
『こちら、アイアンクロス大隊所属、アネット・ピッケンハーゲン少尉です!』
――現れたのは、新型軍用のゴーレム。
『大隊長の命令により、アーティフィシャルメイジを用いて先行しました!! これより周辺の警戒及び負傷者の救護に当たります!!』
「…………」
想定より早くやってきた、予想外の救援を見上げるギルドの冒険者達。共和国軍が搭乗型のゴーレムを秘密裏に開発していることはギルドでも噂になっていたが、それが救援部隊として実際に現れるとは誰も思っていなかったようだ。
『あなた達はアイアンクロス本隊と合流してください! 衛生兵の準備はできています!!』
「……助かります。今の私達に戦闘を継続する余力は既にありません」
――これにより、ギルドと共和国軍の共同作戦である、ホワイトエンペラー要塞攻略作戦は、まだ前半戦が終わったばかりだが、ひと段落がつくことになった。
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