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インヴォーク! 起動せよ、新生レグルス!!
レグルス崩壊
クラウディオが負傷者と共に砦から退却をしていたその時――天空から光の帯が襲い掛かった。
それは――砦のレンガを一撃で破壊し、天井を一気に倒壊させた。
高高度からの射撃故に多少の威力減衰があったのだろうか、天井を貫通するまでには至らなかったものの、その衝撃はすさまじいものであった。
「うわあああ!!」
負傷者やカズヒラ副長と共に、レンガの雪崩に巻き込まれるクラウディオ。あっという間に彼は、ガレキの山に埋まってしまった。
――この景色は、遠方から物資を運んでいる最中だったイングリットの目にも、刻まれていた。
「――な、なに!?」
わかったのは、何かしらの形で第1砦が攻撃を受けたこと。それだけであった。
「――イングリット君! 作戦は中止だ! 急いで引き返しなさい!!」
出発してばかりのイングリットを、ネロが引き留めた。
「で、でも! あそこには団長をはじめとした私達の仲間が――」
「諦めろ! 今行くと君も巻き添えを受けるぞ!!」
どう考えてもネロの判断が正しい、イングリットもそれはわかっていた。
「……ごめんなさいっ」
涙を流し出すイングリット。仲間を助けに行けないことを悔いた、涙であった。
「……ギルドマスター! 上空から謎の飛翔体が接近しています!!」
――その時であった。
「なんだとっ? 詳細は!?」
「黒い鳥の羽が見えます――何かしらの鳥型魔物です!!」
――彼らは知らないことだが、イングリットの仲間達を奪った悪魔が、意地汚いことにも彼らの元へ迫っていた。
「――各自魔道士は対空攻撃急げ! 風魔法で迎撃せよ!!」
ネロの命令が下り、彼のまわりに魔道士達が集う。
「……ほう、対空魔道士か。トリスト人のカスにしてはやるじゃないか。だが――」
遠方から迫る悪魔、シャドウは狩人の瞳で敵の迎撃態勢を見抜いた。
『――ウォォォォォォーォウ!!』
瞬間、彼は声変わりもしていない幼い喉から、けたたましい雄叫びを挙げた。
「……なんだ、今の雄叫びは!?」
――その雄叫びが、丁度地上に響き渡っていた頃。
「かまうな! きっとこけおどしだ! 射程圏内に入ったら風魔法で撃ち落とせ!!」
「ギルドマスター! 大変です!!」
「今度はなんだ!?」
――さっき、ネロは今の雄叫びを「こけおどし」と評価した。
「本陣後方の森から、多数の鳥型魔物が出現しました! このままだと挟撃されます!!」
「なんだと!?」
だがそれは、彼にしては珍しい完全な読み間違いであった――いや、彼ですら読めない敵の隠し玉と言うべきものであった。
「……ま、まさか奴が、奴の雄叫びがこれを呼び寄せたのか!?」
だが、答えるものが誰もいないとはいえ、即座にここで正解にたどり着くのは、ネロだけと言えるだろう。
「……よし、これであとは全員なぶり殺しだな」
一方シャドウは、やるべきことを全て終えたのか、急に方向を変えてホワイトエンペラー要塞の方へ戻っていた。
(もうすぐトリスト陸軍の正規兵が来る時間だ。生憎だけど、あいつらに僕が生きていることをまだ知られるわけにはいかない)
――彼は胸中で思っていた。トリスト人の中でももっとも憎むべき敵である正規軍のことを。
「フフ、ハハ、ハッハッハッハ!」
それは――砦のレンガを一撃で破壊し、天井を一気に倒壊させた。
高高度からの射撃故に多少の威力減衰があったのだろうか、天井を貫通するまでには至らなかったものの、その衝撃はすさまじいものであった。
「うわあああ!!」
負傷者やカズヒラ副長と共に、レンガの雪崩に巻き込まれるクラウディオ。あっという間に彼は、ガレキの山に埋まってしまった。
――この景色は、遠方から物資を運んでいる最中だったイングリットの目にも、刻まれていた。
「――な、なに!?」
わかったのは、何かしらの形で第1砦が攻撃を受けたこと。それだけであった。
「――イングリット君! 作戦は中止だ! 急いで引き返しなさい!!」
出発してばかりのイングリットを、ネロが引き留めた。
「で、でも! あそこには団長をはじめとした私達の仲間が――」
「諦めろ! 今行くと君も巻き添えを受けるぞ!!」
どう考えてもネロの判断が正しい、イングリットもそれはわかっていた。
「……ごめんなさいっ」
涙を流し出すイングリット。仲間を助けに行けないことを悔いた、涙であった。
「……ギルドマスター! 上空から謎の飛翔体が接近しています!!」
――その時であった。
「なんだとっ? 詳細は!?」
「黒い鳥の羽が見えます――何かしらの鳥型魔物です!!」
――彼らは知らないことだが、イングリットの仲間達を奪った悪魔が、意地汚いことにも彼らの元へ迫っていた。
「――各自魔道士は対空攻撃急げ! 風魔法で迎撃せよ!!」
ネロの命令が下り、彼のまわりに魔道士達が集う。
「……ほう、対空魔道士か。トリスト人のカスにしてはやるじゃないか。だが――」
遠方から迫る悪魔、シャドウは狩人の瞳で敵の迎撃態勢を見抜いた。
『――ウォォォォォォーォウ!!』
瞬間、彼は声変わりもしていない幼い喉から、けたたましい雄叫びを挙げた。
「……なんだ、今の雄叫びは!?」
――その雄叫びが、丁度地上に響き渡っていた頃。
「かまうな! きっとこけおどしだ! 射程圏内に入ったら風魔法で撃ち落とせ!!」
「ギルドマスター! 大変です!!」
「今度はなんだ!?」
――さっき、ネロは今の雄叫びを「こけおどし」と評価した。
「本陣後方の森から、多数の鳥型魔物が出現しました! このままだと挟撃されます!!」
「なんだと!?」
だがそれは、彼にしては珍しい完全な読み間違いであった――いや、彼ですら読めない敵の隠し玉と言うべきものであった。
「……ま、まさか奴が、奴の雄叫びがこれを呼び寄せたのか!?」
だが、答えるものが誰もいないとはいえ、即座にここで正解にたどり着くのは、ネロだけと言えるだろう。
「……よし、これであとは全員なぶり殺しだな」
一方シャドウは、やるべきことを全て終えたのか、急に方向を変えてホワイトエンペラー要塞の方へ戻っていた。
(もうすぐトリスト陸軍の正規兵が来る時間だ。生憎だけど、あいつらに僕が生きていることをまだ知られるわけにはいかない)
――彼は胸中で思っていた。トリスト人の中でももっとも憎むべき敵である正規軍のことを。
「フフ、ハハ、ハッハッハッハ!」
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