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文芸部でも恋がしたいし異世界小説も書きたいから両方する!!
第2話R2「1話の文字数」
パソコンを並べて画面を見ていたら、横からヒナコに声をかけられた。
「ねえカンちゃん」
「ん?」
「あのね、私ね」
「お、おう」
なんだろう。真剣な話だろうか。
元幼馴染のヒナコは同じクラスだ。
教室では俺と基本的に会話をしない。他人とまでは言わないが、誰も幼馴染だとは信じそうにないくらいだった。
俺と部活で再び合流するとあの「カンちゃん、好きぃ」を毎回やる。
少しの間、この好きモードになるのだが、そのあとはわりあい普通だったりする。
このモードの切り替えが、何を意味しているのか謎で、俺はちょっと怖いとすら思う。
確かにヒナコはかわいいし、それなりに好意はあるが、正直なところ高校生になって、どこまでが素、本当のヒナコで、どこからが演技なのか分からなかった。
エリナ先輩は我関せずで、俺が助けや助言を求めた視線を向けると、ニヤッて意味深に笑うので、見ないことにしている。
先輩は単に面白がっているだけなのだろうが、真面目に見れば俺たち幼馴染の問題に口は挟まないという態度なのだろう。
「それでね、投稿サイトの1話の文字数ってなん文字がいいのかな?」
「は? そんなこと?」
「え? うん、聞いちゃダメだった? ごめんね」
「いや、いいけど……もっと深刻な話かと思っただけ」
「これでも真剣に悩んでるんだ、にょ?」
「にょですかい、はいはい」
「だにょ?」
さて、ご質問の1話なん文字がいいか、か。
書籍化作家の方でも、この1話の文字数問題は難しいらしい。
「俺は5,000文字ぐらいがいいと思う」
「え、私、毎日、そんなに書けない」
「だろ、俺もそう思う」
「えー、じゃあ無理じゃん」
「うん。だから2,000から3,000文字。これなら半分だ。書き溜めという手段もあるけど」
「まあそうだよね。ちなみに1,000文字は?」
「4コマ漫画みたいな風に書きたいなら、それでもいいけど、長編を書きたいならおすすめはしない。もちろん個人の自由だけど」
「そっか、うーん。そのこころは?」
心といいつつ、求めているのは理由だ。
もちろん理由はある。
投稿サイトでは話を超えて「下げる」のはご法度とまではいわないものの、あまり推奨されていない、強い場の雰囲気がある。
1,000文字で、下げて回復までもっていくのはかなりきつい。
かといって、まったくの平坦ではアキがくるのは目に見えている。
大きな上げ下げの山の中で、さらに細かく上げたり下げたりするが、1,000文字でそれをコントロールして書くのはかなり難易度が高い。
というのを適当に説明する。
「分かった。いう通りにする」
「いや、これは俺の考えだから、別にセオリーでもないし、理由があれば別に気にしなくていい」
「理由もないし『カンちゃんのいう通り』だよ」
「お、おう」
この「カンちゃんのいう通り」は、昔、俺がマセガキだったころ、ヒナコに助言したりしたときに、彼女が言う常套句だった。
外れはあまりない。
ただし、外れると手痛いので、俺はあまり好きではない。
できれば自分で考えて、自分で判断してほしい。
俺に従うと自分で考えたという見方もできるが、微妙だ。
カンちゃんに従っておけば、だいたい大丈夫という学習結果ではあるけれど、盲目的に信用されるのはなんだかこそばゆい。
――彼女の信頼の証、ともいえる。
「もう文字数適当でもいいかな?」
「いいと思うよ。ただし、作者読者ともにペースがつかみづらくなるというデメリットがある」
「まあそうだよねえ」
「それから、読者にも好みの文字数があるから、一定のほうが離脱率が下がる可能性がある」
「う、それは改善したい数字だよぅ」
「だよな」
文字数なんて多かったり少なかったり、まったく気にしない読者も多いと思うが、ペース配分とか、呼吸っていうのは、思った以上に作品を読み書きするうえでは重要で、わずかでも離脱率を下げたいなら、一定のほうが読者には優しい。
長くて読んでいられない、というのもあるし、短くて読んでいられないというのも、経験的にあると思う。
短編などでは除外するが、7万文字の1ページの短編を最後まで読もうという読者が何人いるか考えてみれば、お察しだ。
こういう「お察し」文化、本当に怖い。
「うぐぅ」
今まで適当だったらしい彼女には、少なからずダメージが入ったらしい。
ピンクのツインテールをゆらゆらさせて、何やら悩んでいる。
いや、俺の考えだって正しいとは限らないぜよ。エリナ先輩風に。
「う、うん。私、次書く作品は、2,000文字くらいにしてみるよ」
「そっか」
「うん。前は1,000文字くらいだったから、ありがと」
「まあ、1,000文字でもいいけどね。ただ大展開とかしにくいだけで」
「そうだね、うん、サブタイトルつけてその1、その2って書いてったらその10になってたもん」
「そうなるよね、気持ちは分かる」
「だよねぇ」
大、中、小のように、話を区切るとして、サブタイトルを連続で続けるというのは、面倒だからそうする派もあるけれど、場合によってはぶつ切りに見えなくもない。
文字数があれば「中」単位のサブタイトルなのだろうけれど「小」が分かれているのは、あまり見栄えはよくないかもしれない。
なかなか細かいことを気にしだしたら、キリがないけれど、難しい。
「そうそう、あとな、1話をプレビューとかで表示してみてさ、スクロールバーの長さと、実際にスクロールして短いな、と感じたらもう少し文字数足してみるとか」
「うん、そうだね。1,000文字くらいだとちょっと短いかなぁ私の感覚でも」
「そかそか」
「分かった。やっぱり2,000文字くらいは書く。ありがとう、カンちゃん、好きっ」
「あ、あぁ」
俺も実は2,000文字は、守れていなかったりする。
前の作品は平均したら1,500文字くらいだったし。
自分で言っておいて実践していないというのも、なかなかよろしくはない。
次は1話2,000文字から3,000文字を目指してみるか。
10万文字で1話2,000文字だと約50話になる。
同じく1話3,000文字だと約34話くらいだろう。
間をとると40話前後だ。
話数から全体の規模をだいたいで計算するといいかもしれない。
「ねえカンちゃん」
「ん?」
「あのね、私ね」
「お、おう」
なんだろう。真剣な話だろうか。
元幼馴染のヒナコは同じクラスだ。
教室では俺と基本的に会話をしない。他人とまでは言わないが、誰も幼馴染だとは信じそうにないくらいだった。
俺と部活で再び合流するとあの「カンちゃん、好きぃ」を毎回やる。
少しの間、この好きモードになるのだが、そのあとはわりあい普通だったりする。
このモードの切り替えが、何を意味しているのか謎で、俺はちょっと怖いとすら思う。
確かにヒナコはかわいいし、それなりに好意はあるが、正直なところ高校生になって、どこまでが素、本当のヒナコで、どこからが演技なのか分からなかった。
エリナ先輩は我関せずで、俺が助けや助言を求めた視線を向けると、ニヤッて意味深に笑うので、見ないことにしている。
先輩は単に面白がっているだけなのだろうが、真面目に見れば俺たち幼馴染の問題に口は挟まないという態度なのだろう。
「それでね、投稿サイトの1話の文字数ってなん文字がいいのかな?」
「は? そんなこと?」
「え? うん、聞いちゃダメだった? ごめんね」
「いや、いいけど……もっと深刻な話かと思っただけ」
「これでも真剣に悩んでるんだ、にょ?」
「にょですかい、はいはい」
「だにょ?」
さて、ご質問の1話なん文字がいいか、か。
書籍化作家の方でも、この1話の文字数問題は難しいらしい。
「俺は5,000文字ぐらいがいいと思う」
「え、私、毎日、そんなに書けない」
「だろ、俺もそう思う」
「えー、じゃあ無理じゃん」
「うん。だから2,000から3,000文字。これなら半分だ。書き溜めという手段もあるけど」
「まあそうだよね。ちなみに1,000文字は?」
「4コマ漫画みたいな風に書きたいなら、それでもいいけど、長編を書きたいならおすすめはしない。もちろん個人の自由だけど」
「そっか、うーん。そのこころは?」
心といいつつ、求めているのは理由だ。
もちろん理由はある。
投稿サイトでは話を超えて「下げる」のはご法度とまではいわないものの、あまり推奨されていない、強い場の雰囲気がある。
1,000文字で、下げて回復までもっていくのはかなりきつい。
かといって、まったくの平坦ではアキがくるのは目に見えている。
大きな上げ下げの山の中で、さらに細かく上げたり下げたりするが、1,000文字でそれをコントロールして書くのはかなり難易度が高い。
というのを適当に説明する。
「分かった。いう通りにする」
「いや、これは俺の考えだから、別にセオリーでもないし、理由があれば別に気にしなくていい」
「理由もないし『カンちゃんのいう通り』だよ」
「お、おう」
この「カンちゃんのいう通り」は、昔、俺がマセガキだったころ、ヒナコに助言したりしたときに、彼女が言う常套句だった。
外れはあまりない。
ただし、外れると手痛いので、俺はあまり好きではない。
できれば自分で考えて、自分で判断してほしい。
俺に従うと自分で考えたという見方もできるが、微妙だ。
カンちゃんに従っておけば、だいたい大丈夫という学習結果ではあるけれど、盲目的に信用されるのはなんだかこそばゆい。
――彼女の信頼の証、ともいえる。
「もう文字数適当でもいいかな?」
「いいと思うよ。ただし、作者読者ともにペースがつかみづらくなるというデメリットがある」
「まあそうだよねえ」
「それから、読者にも好みの文字数があるから、一定のほうが離脱率が下がる可能性がある」
「う、それは改善したい数字だよぅ」
「だよな」
文字数なんて多かったり少なかったり、まったく気にしない読者も多いと思うが、ペース配分とか、呼吸っていうのは、思った以上に作品を読み書きするうえでは重要で、わずかでも離脱率を下げたいなら、一定のほうが読者には優しい。
長くて読んでいられない、というのもあるし、短くて読んでいられないというのも、経験的にあると思う。
短編などでは除外するが、7万文字の1ページの短編を最後まで読もうという読者が何人いるか考えてみれば、お察しだ。
こういう「お察し」文化、本当に怖い。
「うぐぅ」
今まで適当だったらしい彼女には、少なからずダメージが入ったらしい。
ピンクのツインテールをゆらゆらさせて、何やら悩んでいる。
いや、俺の考えだって正しいとは限らないぜよ。エリナ先輩風に。
「う、うん。私、次書く作品は、2,000文字くらいにしてみるよ」
「そっか」
「うん。前は1,000文字くらいだったから、ありがと」
「まあ、1,000文字でもいいけどね。ただ大展開とかしにくいだけで」
「そうだね、うん、サブタイトルつけてその1、その2って書いてったらその10になってたもん」
「そうなるよね、気持ちは分かる」
「だよねぇ」
大、中、小のように、話を区切るとして、サブタイトルを連続で続けるというのは、面倒だからそうする派もあるけれど、場合によってはぶつ切りに見えなくもない。
文字数があれば「中」単位のサブタイトルなのだろうけれど「小」が分かれているのは、あまり見栄えはよくないかもしれない。
なかなか細かいことを気にしだしたら、キリがないけれど、難しい。
「そうそう、あとな、1話をプレビューとかで表示してみてさ、スクロールバーの長さと、実際にスクロールして短いな、と感じたらもう少し文字数足してみるとか」
「うん、そうだね。1,000文字くらいだとちょっと短いかなぁ私の感覚でも」
「そかそか」
「分かった。やっぱり2,000文字くらいは書く。ありがとう、カンちゃん、好きっ」
「あ、あぁ」
俺も実は2,000文字は、守れていなかったりする。
前の作品は平均したら1,500文字くらいだったし。
自分で言っておいて実践していないというのも、なかなかよろしくはない。
次は1話2,000文字から3,000文字を目指してみるか。
10万文字で1話2,000文字だと約50話になる。
同じく1話3,000文字だと約34話くらいだろう。
間をとると40話前後だ。
話数から全体の規模をだいたいで計算するといいかもしれない。
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