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オオカミとメカ

オオカミは狩りが終わっても暴れ足りない
――それからの彼女の戦いぶりは、圧倒的だった。
 フローベルガー少尉の態度は極めて悪く、代役を頼むのは不本意だったが操縦技術は見事の一言。
 正直な話、センスは少佐よりはるかに高かった。

 戦場に出た瞬間の戦いぶりは、白い剣の名で恐れられる共和国軍最速の剣士にふさわしい戦いぶりだった。
 試験機の搭載武装は魔力式ブレードとハンドガン、胴体に内蔵したマシンキャノンのみ。
 フローベルガー少尉はブレードを好んで使用していた。ここも普段通りであった。
 そして何より、スラスターの使い方が少佐よりもはるかに豪快だった。一歩間違えればオーバーヒートで動けなくなりかねない無茶な操縦にも見えるが、そのバランスを押さえているセンスは、さすがだった。

『ババア、終わったぞ』

――とはいえ、このババアという呼び方はさすがに何とかならないのかしら。
 操縦室のことも、下品な若い子がよく使う子宮の呼び方で侮辱されたし。
 正直な話、パイロットとしては優秀だけどモンスタークレーマーとしての性質も持っているから二度と乗せたくないわね。





――それから次の休暇。私達は近所のレストランに席を取って話し合っていた。

「……とりあえず、少佐の代わりに最後までやり遂げてくれてありがとう」

 ここはまず、改めてお礼したい。

「おいネーちゃん、灰皿はないの?」

――だけどフローベルガー少尉は、私のことを無視し料理にすら手を付けず、堂々とタバコを吸いだす。

「お客様、申し訳ございません。当店は禁煙になっております」
「……ッチ、わかったよ。外で吸ってくるよ」

 そしてウェイトレスの人の注意を受け、お店の外に出ていくフローベルガー少尉……
 率直に言って「何なのこの子」という感想しか浮かんでこない……

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