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オオカミとメカ

共同は順調……?
 それから半月近くの間。アネットは派遣先の第一艦隊にて、訓練教官としての責務を全うした。

「射撃、開始!!」

 はじめのうちは、あまり従順と言い難い態度の海兵達だったが、次第にアネットの技量を信頼するようになり、ミハイル准将の言いつけ通り真面目に訓練に望むようになった。

『リディア機、模擬標的に全弾命中』

 その中でも目覚ましい上達を見せたのが、あのパーティーの席でアネットと浅からぬ因縁のあったリディア少尉であった。

『すごいわね、リディア少尉。射撃に限って言えば、あなたアネットより上手いわよ』
「……ありがとうございます」

 現時点では地上で既存のゼーレスヴォルフを使って訓練をしているが、それはあくまで基本技術の習得段階である。水中戦を想定した訓練はアイアンクロス大隊にとっても未知数。

 アネットと博士が教えられることはあくまで、地上戦を想定した訓練だけだ。

 無論、上陸作戦の上陸後のことを想定すれば、意義は大いにある。故に海兵達は皆真面目に取り組んでいるのだ。



「……あの娘、作法は美しくないが、戦士としての腕は本物みたいだな」

 後方の管制室より訓練の様子を視察しているミハイル准将は、次第に操縦が上達していく海兵達よりも、アネットに注意を向けているみたいだった。

「准将、言ったはずですよ。少佐の、そして何より私の見立ては間違っていないと。繰り返しますが、彼女は我が隊の中でも極めて優秀な兵士です」
「ナイフとフォークも握れん娘が、戦場では己自身を最強の剣へと変えるのか。面白い」

 アネットの実力に関しては、ミハイル准将の言う通りである。ベアトリクス少佐の直属配下として戦ってきた彼女の実力を、ようやく彼は思い知ったのだ。

「……いずれにせよ、あとやることは新型機を完成させることだけだな」
「そちらに関しては、すでに設計図は完成済みです」

 博士が出した設計図、そこにあった機体はゼーレスヴォルフよりも耐圧装甲を重視した作りになっていた大型機であった。
 名前は『ディープアギト』武装はまだ目処が経っていないが、潜水テストで大事が起きなければ海軍の方で必要なものを用意するよう取り決めがされている。

「……プロトタイプの完成、楽しみに待っているぞ」

 ミハイル准将が管制室を出て行ったーーその時だった。

「ブリューゲル博士! アイアンクロス本隊からお電話です!」
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