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黄金の魔女フィーア (旧版)
奇特な目線
「おい、あそこにいるのフォレノワールの魔女じゃねえか?」
「!?」
その時、街で散々耳にした偏見の言葉が耳に入った。
「ええー本当!?」
その言葉を発していたのは三人組の冒険者達。
「…………」
面白がる人には慣れているけど、いつ聞いても気分は良くならないわね。
「……うわー、感じ悪い」
そして発せられたのは、ミレーヌの電撃的すぎる手のひら返し。
「フィーアがここにいることがそんなにおかしいのかしら」
本当にその通りだ。ミレーヌの邪推は違う形で当たったらしい。
「ミレーヌ、彼らにも挨拶をしとこうか」
そこにティファレトさんの提案。この流れでするには妙だった。
「ええ、あんなことを言う人に? なんで?」
ミレーヌも納得できなさそう。普通の人はあんな感じ悪い人に進んで関わろうとしないと思うのだけど――でも、ここで揉め事を起こすのは得策ではない。私だけならともかく、ミレーヌとティファレトさんの印象まで悪くなる。
それに、真面目なティファレトさんが理由なく変な提案をするとは考えにくい。何か理由があるはず。
「いいかい。彼らはこれから共闘する仲間だ。こういう仕事はなるべく互いが信頼できるようにやらないと高確率で失敗する」
それはその通りだと思う。特に冒険者の求める魔術師は味方と信頼し合って支援をするのが役割だ。
「私はどんな相手ともお互い仲良くできるよう努力するべきと思う。それに私達の方から友好的に歩み寄れば考え方を変えてくれるかもしれない」
共に戦うならお互いが信頼しあわねばならない。
信頼できない者同士が組めば連携が乱れる。連携が乱れたら死の危険が増える。冒険者を志す者なら誰でも意識するべき常識。
今私達は彼らから信頼されていない。ならば私達から信頼できる人間であることを示す必要がある。
……確かにそこは彼の言う通りだ。
「……まあそうね。わかったわ。あなた、お母さんが絡まなければ真面目なこと言えるのね」
皮肉が混ざった返事だけど、ミレーヌも彼の主張を信じることにしたみたい。
「フッ、私はいつでも真面目だよ」
ティファレトさんもすごい。悪口言われてるのに対応が大人だ。
「じゃあ行こう。フィーアはそこで待ってて」
「え、私はいいの?」
「相手はあなたに偏見を持っているからね。下手にあなたが近寄ったらお互い不快になるだけよ。こういうことは私達がかわりにしてあげるから。暇なら馬車に荷物でも積んどいて」
そういうことね。本当に気遣いができる子だわ。なら馬車に荷物を積みましょうか。
「はーい、あなた達!」
「お、あんた達が第七班のメンバーか!?」
距離がある上に作業をしながらだから、正確に聞き取れる声は二人だけ。ミレーヌと相手側の剣士だ。
二人共元気がある声だ。はっきり聞き取れる。他の声も仲が良さそうな感じ。今のところは大丈夫そう。
「俺はアレックス! このデカいのは親友のブライアン、魔法使いはエミリーって言うんだ!」
特にはっきり耳に届くのは剣士の声。まるで声変わりしただけの子供みたい。これなら本当に上手く行くかもしれない。
――しかし、私はすぐそう思ったことを後悔した。
「!?」
その時、街で散々耳にした偏見の言葉が耳に入った。
「ええー本当!?」
その言葉を発していたのは三人組の冒険者達。
「…………」
面白がる人には慣れているけど、いつ聞いても気分は良くならないわね。
「……うわー、感じ悪い」
そして発せられたのは、ミレーヌの電撃的すぎる手のひら返し。
「フィーアがここにいることがそんなにおかしいのかしら」
本当にその通りだ。ミレーヌの邪推は違う形で当たったらしい。
「ミレーヌ、彼らにも挨拶をしとこうか」
そこにティファレトさんの提案。この流れでするには妙だった。
「ええ、あんなことを言う人に? なんで?」
ミレーヌも納得できなさそう。普通の人はあんな感じ悪い人に進んで関わろうとしないと思うのだけど――でも、ここで揉め事を起こすのは得策ではない。私だけならともかく、ミレーヌとティファレトさんの印象まで悪くなる。
それに、真面目なティファレトさんが理由なく変な提案をするとは考えにくい。何か理由があるはず。
「いいかい。彼らはこれから共闘する仲間だ。こういう仕事はなるべく互いが信頼できるようにやらないと高確率で失敗する」
それはその通りだと思う。特に冒険者の求める魔術師は味方と信頼し合って支援をするのが役割だ。
「私はどんな相手ともお互い仲良くできるよう努力するべきと思う。それに私達の方から友好的に歩み寄れば考え方を変えてくれるかもしれない」
共に戦うならお互いが信頼しあわねばならない。
信頼できない者同士が組めば連携が乱れる。連携が乱れたら死の危険が増える。冒険者を志す者なら誰でも意識するべき常識。
今私達は彼らから信頼されていない。ならば私達から信頼できる人間であることを示す必要がある。
……確かにそこは彼の言う通りだ。
「……まあそうね。わかったわ。あなた、お母さんが絡まなければ真面目なこと言えるのね」
皮肉が混ざった返事だけど、ミレーヌも彼の主張を信じることにしたみたい。
「フッ、私はいつでも真面目だよ」
ティファレトさんもすごい。悪口言われてるのに対応が大人だ。
「じゃあ行こう。フィーアはそこで待ってて」
「え、私はいいの?」
「相手はあなたに偏見を持っているからね。下手にあなたが近寄ったらお互い不快になるだけよ。こういうことは私達がかわりにしてあげるから。暇なら馬車に荷物でも積んどいて」
そういうことね。本当に気遣いができる子だわ。なら馬車に荷物を積みましょうか。
「はーい、あなた達!」
「お、あんた達が第七班のメンバーか!?」
距離がある上に作業をしながらだから、正確に聞き取れる声は二人だけ。ミレーヌと相手側の剣士だ。
二人共元気がある声だ。はっきり聞き取れる。他の声も仲が良さそうな感じ。今のところは大丈夫そう。
「俺はアレックス! このデカいのは親友のブライアン、魔法使いはエミリーって言うんだ!」
特にはっきり耳に届くのは剣士の声。まるで声変わりしただけの子供みたい。これなら本当に上手く行くかもしれない。
――しかし、私はすぐそう思ったことを後悔した。
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