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灰銀の楽園

プロローグ 灰の歌

 建物の中、光が射し込む。

 スポンジ性の積み木が点々と並ぶ中、子供たちが円を作るかのように集まっている。

 その中心に椅子に座り、ニッケルハルパを弾く少年少女の姿があった。

 少年少女は歌う。

 ――かつての崩壊へ向かう世界――

 ――我らが母は生まれた――

 ――我らが母は願った――

 ――友の隣を歩きたいと――

 ――走りたいと――

 ――歌いたいと――

 ――食を楽しみたいと――

 ――踊りたいと――

 ――作りたいと――

 ――遊びたいと――

 ――旅をしたいと――

 ――学びたいと――

 ――生きたいと――

 ――触れたいと――

 ――見たいと――

 ――そして……子が欲しいと――

 ――しかし、我らが母は子を授かることは出来なかった――

 ――我らが母は呪われていたからだ――

 ――悲しみに明け暮れた母の目の前に神が現れた――

 ――神は言った――

 ――子を授かるにはそれ相応の代価が必要だと――

 ――その神が差し出した手を我らが母は間もなく取った――

 ――我らが母は代償を払った――

 ――世界を飲み込み、新たな世界を作った――

 ――そして、無事子を授かることになった――

 ――しかし、子らは争うこととなった――

 ――刹那を求める白銀の神――

 ――永遠を求める黒銀の神――

 ――彼らの想いはひとつ――

 ――それは――

 少年少女は歌う。
 はじまりのうたを。
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