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バーボチカの冒険 激震のフロンティア
エキドナポイント
メドゥーサの命を受け、戦士長はバーボチカに対して道案内を始めた。目的地は彼らに今回の作戦の中核を担う地であるエキドナポイント。
走りながら聞いた話によると名称はあくまで便宜上のコードネームであり、実際には特に地名のないエリアらしい。
そもそもギルマンは水辺から離れた地理には明るくない種族なので、侵攻作戦の際にも標的は必ずコードネームで呼称するそうだ。
「モウスグ、たどり着クゾ」
全力で走る二人。アウェーの陸上でありながら走ることになれているバーボチカにも引けを取らない走りを見せる戦士長。肉体、精神力共に、凄まじい強靭さだった。
だが息切れの兆しが少しずつだが見えているのも事実であり、この作戦を成功させるために相応の無理をしているのは明白であった。
「…………?」
――だがバーボチカはそんなことよりも大事な心配をしていた。案内先のエキドナポイントに近づく度に森が切り開かれていく様子が見えたのだ。
明らかに何者かの手が入ったそれが、なぜ存在するのか。水中で生活するギルマン達が、侵入者撃退のためだけにわざわざテリトリーの外に拠点を築くとは思えない。
――この先には味方すら騙す仕掛けがあるような気がする。そう思っていた時だった。
「ン? 何者だおめえ?」
全力で走っている中で、明らかにギルマンとは違う存在が見えた。彼は豚のような顔をした亜人、オークの木こりだった。
「――えっ!?」
呼びかける彼に大きく動揺するバーボチカ。思わず足を止めてしまう。
「お前見たことねえ顔だな? うちの村のゴブリンじゃあねえな」
彼は何も知らない普通の亜人だった――そう、不幸にも死の手が迫っていることすらも、彼は何も知らない。
「何ヲッシテイル! 足ヲトメルナ! エキドナポイントハ、モウスグダッ!!」
返事をしようと息を整えているバーボチカに対して、重々しい声で戦士長が叱責した。
「でも! 彼を安全なところに逃がさないと! このままだと巻き込まれちゃい――」
「――見つけたッ!」
反論の最中に、風の刃が飛ばされた。
「!?」
驚愕してかわした時、肉が切り裂かれる音が確かに聞こえた。目元に転がってきたのは確かに、豚顔の生首であった。
「見ツカッタ……! 小娘、イソゲ! コノママダト、オマエモ、死ヌゾ!」
オークが死んだことを全く意に返さず、エキドナポイントの方向へ全力で走る。
「――!?」
「さっきは狙いがそれたけど、今度こそは殺してあげるわ! お嬢ちゃん!!」
見上げた先には確かに、あのクラークがいた。あともう少しというところで、見つかってしまった。
「……ごめんなさいっ!」
亡骸に一言、そう言った彼女は急いで戦士長を追いかけた。
走りながら聞いた話によると名称はあくまで便宜上のコードネームであり、実際には特に地名のないエリアらしい。
そもそもギルマンは水辺から離れた地理には明るくない種族なので、侵攻作戦の際にも標的は必ずコードネームで呼称するそうだ。
「モウスグ、たどり着クゾ」
全力で走る二人。アウェーの陸上でありながら走ることになれているバーボチカにも引けを取らない走りを見せる戦士長。肉体、精神力共に、凄まじい強靭さだった。
だが息切れの兆しが少しずつだが見えているのも事実であり、この作戦を成功させるために相応の無理をしているのは明白であった。
「…………?」
――だがバーボチカはそんなことよりも大事な心配をしていた。案内先のエキドナポイントに近づく度に森が切り開かれていく様子が見えたのだ。
明らかに何者かの手が入ったそれが、なぜ存在するのか。水中で生活するギルマン達が、侵入者撃退のためだけにわざわざテリトリーの外に拠点を築くとは思えない。
――この先には味方すら騙す仕掛けがあるような気がする。そう思っていた時だった。
「ン? 何者だおめえ?」
全力で走っている中で、明らかにギルマンとは違う存在が見えた。彼は豚のような顔をした亜人、オークの木こりだった。
「――えっ!?」
呼びかける彼に大きく動揺するバーボチカ。思わず足を止めてしまう。
「お前見たことねえ顔だな? うちの村のゴブリンじゃあねえな」
彼は何も知らない普通の亜人だった――そう、不幸にも死の手が迫っていることすらも、彼は何も知らない。
「何ヲッシテイル! 足ヲトメルナ! エキドナポイントハ、モウスグダッ!!」
返事をしようと息を整えているバーボチカに対して、重々しい声で戦士長が叱責した。
「でも! 彼を安全なところに逃がさないと! このままだと巻き込まれちゃい――」
「――見つけたッ!」
反論の最中に、風の刃が飛ばされた。
「!?」
驚愕してかわした時、肉が切り裂かれる音が確かに聞こえた。目元に転がってきたのは確かに、豚顔の生首であった。
「見ツカッタ……! 小娘、イソゲ! コノママダト、オマエモ、死ヌゾ!」
オークが死んだことを全く意に返さず、エキドナポイントの方向へ全力で走る。
「――!?」
「さっきは狙いがそれたけど、今度こそは殺してあげるわ! お嬢ちゃん!!」
見上げた先には確かに、あのクラークがいた。あともう少しというところで、見つかってしまった。
「……ごめんなさいっ!」
亡骸に一言、そう言った彼女は急いで戦士長を追いかけた。
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