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バーボチカの冒険 激震のフロンティア
用心棒の裏の顔
一方その頃ドミニクは、船長室に呼び出されていた。
「……何だい、アネゴさん。僕に用かい?」
「白々しい口を利くんじゃないよ、あんた!」
開幕から凄まじい怒号が響き渡る。耳が敏感なのかドミニクは思わず両手で抑え込んだ。
「あんた、よくもまた約束を破ってくれたねえ! アタシは確かに次やったらクビだって言ったぞ!」
出港直前の迷子の件を、彼は問いただされていた。
「……ああ、それって冗談じゃなくて本気?」
負けじと不服そうな声色で言い返すドミニク。口ではそう言っているが、アレクシアの怒りが冗談ではないのはずっと前からわかっていたことだ。
「とにかく、あんたにはもう船を降りてもらうからね!」
「ええーいいのー? あのお宝、僕がいなかったら絶対とれなかったでしょ?」
確かにドミニクは腕の良い用心棒だ。だがこのまま何も処罰しないままでは確実に規律が乱れる遠因となる。他の船員にも彼に不満を持っている戦闘員は少なからずいた。
「黙りな! 港についたら荷物降ろして出ていきな!」
「……ちぇっわかったよ」
アレクシアの言葉は有無を言わせぬ迫力があった。仕方なく折れると、彼はすごすごと部屋を出ていこうとした。
「……最後なんだ。お別れの食事会くらいはさせてやるよ」
そこに来た慈悲の提案。船長はドミニクのことを好いている船員もいることも把握していた。特に専属のコックであるジェフは、前々から彼の喜ぶ料理を必死で考えているという。
偏食の強い彼のために用意した特別なメニューの数々も用意しているようだ。
その話を聞くとドミニクの顔はぱっと明るくなった。
「……ふーん、それは楽しみだなあ」
だがその一方でドミニクは、ただ明るいと呼ぶには妙に含みのある笑みを浮かべていた。アレクシアがその笑顔を見ることはなく、彼は船室を出ていく。
「――ヴァーカ、食事会でお別れするのは君達だよ」
船室を出て部屋へ戻る途中での独り言。
「さあ、最後の仕事を始めないと。皇帝サマのためにね」
握った剣の根元に刻まれた刻印――それはこれからバーボチカ達が向かう侵略者の国『アルミュール帝国』の憲兵隊の紋章であった。
「……何だい、アネゴさん。僕に用かい?」
「白々しい口を利くんじゃないよ、あんた!」
開幕から凄まじい怒号が響き渡る。耳が敏感なのかドミニクは思わず両手で抑え込んだ。
「あんた、よくもまた約束を破ってくれたねえ! アタシは確かに次やったらクビだって言ったぞ!」
出港直前の迷子の件を、彼は問いただされていた。
「……ああ、それって冗談じゃなくて本気?」
負けじと不服そうな声色で言い返すドミニク。口ではそう言っているが、アレクシアの怒りが冗談ではないのはずっと前からわかっていたことだ。
「とにかく、あんたにはもう船を降りてもらうからね!」
「ええーいいのー? あのお宝、僕がいなかったら絶対とれなかったでしょ?」
確かにドミニクは腕の良い用心棒だ。だがこのまま何も処罰しないままでは確実に規律が乱れる遠因となる。他の船員にも彼に不満を持っている戦闘員は少なからずいた。
「黙りな! 港についたら荷物降ろして出ていきな!」
「……ちぇっわかったよ」
アレクシアの言葉は有無を言わせぬ迫力があった。仕方なく折れると、彼はすごすごと部屋を出ていこうとした。
「……最後なんだ。お別れの食事会くらいはさせてやるよ」
そこに来た慈悲の提案。船長はドミニクのことを好いている船員もいることも把握していた。特に専属のコックであるジェフは、前々から彼の喜ぶ料理を必死で考えているという。
偏食の強い彼のために用意した特別なメニューの数々も用意しているようだ。
その話を聞くとドミニクの顔はぱっと明るくなった。
「……ふーん、それは楽しみだなあ」
だがその一方でドミニクは、ただ明るいと呼ぶには妙に含みのある笑みを浮かべていた。アレクシアがその笑顔を見ることはなく、彼は船室を出ていく。
「――ヴァーカ、食事会でお別れするのは君達だよ」
船室を出て部屋へ戻る途中での独り言。
「さあ、最後の仕事を始めないと。皇帝サマのためにね」
握った剣の根元に刻まれた刻印――それはこれからバーボチカ達が向かう侵略者の国『アルミュール帝国』の憲兵隊の紋章であった。
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