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チェストー‼ 追放された貴族剣士は、辺境で最強国家を作ります
第8話 領地開拓
「うーむ」
俺は領主館のドラゴンの前で腕組みをしていた。
室内犬ならぬ室内竜用の檻に、何とかラプトルを入れることが出来たのだが、問題はこの太くて頑丈な鎖。
「お兄様、ここは私が……」
レイピアを抜き放ち、正眼に構えるセリスだが、さすがにレイピアでは刃こぼれしそう。
いっそのこと、エルフの職人に任せようか。そんなことを考えている俺に、ドランブイが口を開いた。
「ハヤト様の腕なら、この程度の鎖など一刀両断でしょう」
「試しに斬ってみるか」
俺は国王より拝領した剣を抜き放つと、すっかり大人しくなったラプトルに近づいた。
「チェストー‼」
俺は、刀を振りかぶると、鎖めがけて一気に振り下ろした。
“ザクッ!”
鎖は難なく断ち切られ、勢い余った刀の切っ先が床に突き刺さった。
太い鎖は野菜でも切る程の手ごたえすらなかったのだが。
このとき、またもや未来の記憶が飛び込んできた。
叙任式の前日以来、二度目のことである。
今回は帝国軍に従軍するのではなく、俺はブラックベリーに立てこもり、帝国の大群相手に戦っていた映像だけだった。
残念ながら、その後の未来はわからない。
「ハヤト様、大丈夫ですか」
「ああ。大丈夫だ」
「では、私はオークションに出品リストをつくりますね」
「いつも済まない。よろしく頼むよ」
「かしこまりました。さすがに、王国領の物を王都で売るわけにはいきませんので、南のエルフの国で売ることにします」
何でもカルア海の南に、国土全体が丈夫な城壁でぐるりと囲まれたエルフの国があるのだとか。カルア海から南へ流れる大河を下ればそれほど遠くないそうだ。ドランブイの商会の本店がそこにあるという。
「リビングにある品だけでも、結構な額になります。主だった家具だけで、大体このくらいかと……」
「え、こんなに高い値を付けてもらってもいいのか?」
「もちろんでございます。何しろ希少な木材が使われておりますから。商会にとっても十分利がある話ですので、お気遣いなさらないでください」
ドランブイはそう言うと、恥ずかしそうに尻尾を小さく揺らしたのだった。
◇◇◇
ブラックベリーに来て一週間が過ぎた。
俺とセリスは毎日農地へ行って開墾作業をすすめている。
ブラックベリー周辺の土地は、日中は強い日差しが照り付ける。俺たちは、キールから譲り受けた馬を使い、農地を耕していった。
インスぺリアルのエルフたちは、普段はヤクを使って農地を耕すことが多いそうだが、毛の長いヤクは暑さに弱いということで、わざわざ数の少ない馬を十頭も連れてきてもらったのだ。
セリスはすぐに要領を得たようで、慣れた手つきで手綱を操っている。
農耕馬を使って畑を耕す姿もなかなか堂に入ったものだ。
「お兄様~! こっちはもう耕せました~!」
「さすがはセリスだ。そろそろひと休みするか」
「はい。お兄様」
農地からほど近い一軒家に入ると、中の内装は補修済みで新築同然になっていた。
外は大分日が高くなってきたが、日陰に入ると思わず涼しい。
「お兄様、お疲れ様です」
「おっ、ありがとう」
俺は、セリスからコップを受け取ると、一息に飲み干そうとしたのだが……。
「ぶはっ!」
「お、お兄様?!」
ちょっと待て! 何で蒸留酒をそのまま入れてんだ! いくら酒好きの俺でもこれはさすがに飲めんぞ!
「ご、ごめんなさい! お兄様はお酒が好きですから、一汗流した後は火酒が一番かと」
確かに酒は好きだが、お前と一緒にしないで欲しい。
セリスは外見は母親のハイエルフの面影を引き継いでいるが、腕力と酒量は父親のドワーフ譲りである。
「とにかく、少し早いけど今日はもう帰ろう。ズボンがびしゃびしゃだ」
「お兄様、お許しください」
「そんなの許すに決まっているだろう」
申し訳なさそうに頭を下げるセリスの頭をなでて、この日の作業を終えたのだった。
◇◇◇
「「「ハヤト様、セリス様おかえりなさいませ~!」」」
「え、え、なんだこれ?!」
この日、俺とセリスが領内の視察を終えて領主館に帰ると、玄関前にメイドがずらりと並び俺たちに礼をしてくれた。
全員、エルフや獣人の美少女たち。 ドランブイが自分の商会を通じて呼んでくれた南部出身の亜人たちだという。
「ハヤト様、領主館のメイドはとりあえず揃えました」
「ありがとう。でもこの衣装と人選は?」
全員が伝統的なメイド服姿なのだが、胸元が開いている上、スカートの丈が短い。
種族はまちまちだが、全員ぷるんぷるんさせている美少女ばかりなのだが……。
「ハヤト様が、私の胸元や脚によく視線をくださるので、きっと喜んでいただけるかと」
「お兄様っ!!」
おかげで俺は、濡れたズボンのまま正座させられて、お叱りを受けるはめになってしまった。
あの、セリスさん。俺の方もいい加減、許して欲しいのですが。
俺は領主館のドラゴンの前で腕組みをしていた。
室内犬ならぬ室内竜用の檻に、何とかラプトルを入れることが出来たのだが、問題はこの太くて頑丈な鎖。
「お兄様、ここは私が……」
レイピアを抜き放ち、正眼に構えるセリスだが、さすがにレイピアでは刃こぼれしそう。
いっそのこと、エルフの職人に任せようか。そんなことを考えている俺に、ドランブイが口を開いた。
「ハヤト様の腕なら、この程度の鎖など一刀両断でしょう」
「試しに斬ってみるか」
俺は国王より拝領した剣を抜き放つと、すっかり大人しくなったラプトルに近づいた。
「チェストー‼」
俺は、刀を振りかぶると、鎖めがけて一気に振り下ろした。
“ザクッ!”
鎖は難なく断ち切られ、勢い余った刀の切っ先が床に突き刺さった。
太い鎖は野菜でも切る程の手ごたえすらなかったのだが。
このとき、またもや未来の記憶が飛び込んできた。
叙任式の前日以来、二度目のことである。
今回は帝国軍に従軍するのではなく、俺はブラックベリーに立てこもり、帝国の大群相手に戦っていた映像だけだった。
残念ながら、その後の未来はわからない。
「ハヤト様、大丈夫ですか」
「ああ。大丈夫だ」
「では、私はオークションに出品リストをつくりますね」
「いつも済まない。よろしく頼むよ」
「かしこまりました。さすがに、王国領の物を王都で売るわけにはいきませんので、南のエルフの国で売ることにします」
何でもカルア海の南に、国土全体が丈夫な城壁でぐるりと囲まれたエルフの国があるのだとか。カルア海から南へ流れる大河を下ればそれほど遠くないそうだ。ドランブイの商会の本店がそこにあるという。
「リビングにある品だけでも、結構な額になります。主だった家具だけで、大体このくらいかと……」
「え、こんなに高い値を付けてもらってもいいのか?」
「もちろんでございます。何しろ希少な木材が使われておりますから。商会にとっても十分利がある話ですので、お気遣いなさらないでください」
ドランブイはそう言うと、恥ずかしそうに尻尾を小さく揺らしたのだった。
◇◇◇
ブラックベリーに来て一週間が過ぎた。
俺とセリスは毎日農地へ行って開墾作業をすすめている。
ブラックベリー周辺の土地は、日中は強い日差しが照り付ける。俺たちは、キールから譲り受けた馬を使い、農地を耕していった。
インスぺリアルのエルフたちは、普段はヤクを使って農地を耕すことが多いそうだが、毛の長いヤクは暑さに弱いということで、わざわざ数の少ない馬を十頭も連れてきてもらったのだ。
セリスはすぐに要領を得たようで、慣れた手つきで手綱を操っている。
農耕馬を使って畑を耕す姿もなかなか堂に入ったものだ。
「お兄様~! こっちはもう耕せました~!」
「さすがはセリスだ。そろそろひと休みするか」
「はい。お兄様」
農地からほど近い一軒家に入ると、中の内装は補修済みで新築同然になっていた。
外は大分日が高くなってきたが、日陰に入ると思わず涼しい。
「お兄様、お疲れ様です」
「おっ、ありがとう」
俺は、セリスからコップを受け取ると、一息に飲み干そうとしたのだが……。
「ぶはっ!」
「お、お兄様?!」
ちょっと待て! 何で蒸留酒をそのまま入れてんだ! いくら酒好きの俺でもこれはさすがに飲めんぞ!
「ご、ごめんなさい! お兄様はお酒が好きですから、一汗流した後は火酒が一番かと」
確かに酒は好きだが、お前と一緒にしないで欲しい。
セリスは外見は母親のハイエルフの面影を引き継いでいるが、腕力と酒量は父親のドワーフ譲りである。
「とにかく、少し早いけど今日はもう帰ろう。ズボンがびしゃびしゃだ」
「お兄様、お許しください」
「そんなの許すに決まっているだろう」
申し訳なさそうに頭を下げるセリスの頭をなでて、この日の作業を終えたのだった。
◇◇◇
「「「ハヤト様、セリス様おかえりなさいませ~!」」」
「え、え、なんだこれ?!」
この日、俺とセリスが領内の視察を終えて領主館に帰ると、玄関前にメイドがずらりと並び俺たちに礼をしてくれた。
全員、エルフや獣人の美少女たち。 ドランブイが自分の商会を通じて呼んでくれた南部出身の亜人たちだという。
「ハヤト様、領主館のメイドはとりあえず揃えました」
「ありがとう。でもこの衣装と人選は?」
全員が伝統的なメイド服姿なのだが、胸元が開いている上、スカートの丈が短い。
種族はまちまちだが、全員ぷるんぷるんさせている美少女ばかりなのだが……。
「ハヤト様が、私の胸元や脚によく視線をくださるので、きっと喜んでいただけるかと」
「お兄様っ!!」
おかげで俺は、濡れたズボンのまま正座させられて、お叱りを受けるはめになってしまった。
あの、セリスさん。俺の方もいい加減、許して欲しいのですが。
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