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果物マスター!~スキルで果物だけはポンポン出せます。果物を売って悠々自適に暮らしたいと思います~

第5話 みかんを売ろう!
 僕はみかんを20個出すと麻袋に詰めた。

 もっと出したいがポンポン出すとなぜか疲労してくる。

 1個出すたびに50メートル走ったぐらい疲れる。

 今はこれぐらい出すのが精一杯だ。

 麻袋を背負って店へ向かった。

 僕は宿屋から従業員の宿舎へ引っ越してきていた。

 店はすぐそこだ。

「ヘルマンさん、新しい果物っすよ!」

「ほう、新しい果物? どれどれ見てみよう。ふむ? これはオレンジかな?」

「みかんって言うっすよ! 1個食べてみてください。こうして皮をむくんすよ」

 僕はヘルマンさんとみかんを食べた。

「なるほど、確かにオレンジとは違う味だ。それに美味い。宝石シリーズに加えよう! 宝石みかんだ! ところで今日はりんごは無いのかな?」

「すみません、1個出すと走ったように疲れるんです」

「なるほど、それが出す代償か。たまに神の寵愛を受けた人と言うのが居るが、君がそうなのかもね。分かったよ、しばらくはみかんで勝負してみよう! 大道芸人も呼ぶぞ!」

 ヘルマンは大道芸人を呼んだ。

 そして銀貨10枚で売り始めて、最終的に2枚で売るつもりだったが……。

 なんと銀貨10枚で完売してしまった。

 これには大道芸人のおっちゃんも出番なしである。

「宝石みかんは無いのか~!」
「もっと売ってくれ~!」
「頼む~!」

 その様子を僕とヘルマンさんは店の奥から見ていた。

「ヴァーノンくん、これはどういう事だと思う。さすがに売れ過ぎだ。銀貨10枚は金貨1枚だぞ。さすがに高すぎる」

「たぶん種が欲しいんだと思うっす」

 それだけ言うとヘルマンさんは理解したようだ。

「なるほど種か。果物のなる木さえあれば実は作れるだろうからな」

「でっ、でも天使様は果物を広めて欲しいと言ったような気がします」

「そうか神のご意思と言うわけか。逆らって天罰をもらうのも怖いな。ヴァーノンくん、また明日みかんは出せるかい?」

「はい、疲れが取れればまた出せると思います」

「ではここは私がおさえてこよう」

 ヘルマンさんは自ら店頭へ向かった。

「すみません、明日に入荷いたしますので、また明日お越し下さい」

 ヘルマンさんがぺこぺこと頭を下げる。

「おい、あいつ商業ギルドの大物じゃねえか」
「ああ、ヘルマンだ」
「商業ギルドを敵に回すのはちとまずいな」
「また明日来るか」

 ヘルマンさんが店頭から戻ってきた。

 僕の力は少し回復してきている。

 だけど出せるのは1日1回、朝だけのほうがよさそうだ。

「最初に相談したのがヘルマンさんで良かったなあ」

 頭の中に桔梗さんの声が響く。

「おつかれさまでしたっ!」

「わっ、わわっ、桔梗さま! 見てたのですか?」

「ふふっ、まあね。明日もじゃんじゃん種広めてね~」

 明日からも果物を出す必要がありそうだった。



 後日、僕はヘルマンさんの支援で店を作った。

「よーし、やるぞー」

 僕のヴァーノン青果店は広く知れ渡った。

 今では王宮にも果物を納めている。

 天使の桔梗さんも満足そうだ。

 僕の話はここで終わり。

 聞いてくれてありがとう。

最新話です



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