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果物マスター!~スキルで果物だけはポンポン出せます。果物を売って悠々自適に暮らしたいと思います~

第4話 みかん
 僕は商売人見習いになった。
 簡単な読み書き計算を学びながら、まずは商品の陳列と清掃作業をしていた。

 宝石りんごの売り上げは上々だ。

 いつも大道芸人によるたたき売りが行われている。

 お決まりのパターンはこうだった。

 1個銀貨10枚で売りに出すのだが、高すぎて売れずに大道芸人が勝手にダメージを受けていき、最終的に銀貨2枚で売るという芸だ。

 観客や買い物に来た人たちも、それを分かっているので、笑いながら値段が下がるのを待っていた。

 ところがどんなことにもピークがあるように、宝石りんごも飽きられてきた。

 それでも銀貨1枚以上するものだから高級品には違いないが、大道芸人を雇うほどの余裕はなくなっていた。

 定番化したともいえる。

 その頃にはヴァーノンも読み書き計算をかなりできるようになっていた。

 そろばんと言う道具を使いこなし始める。

 ヴァーノンが店先で番をすることが多くなった。



 そんなある日の夜。

 僕はいつも通りベッドで寝ると夢を見る。

 白い部屋に居た。

 デジャヴ感がある。

 農夫のようなつなぎ姿の鼻が低い女性がいた。

「こんばんはヴァーノンくん。そろそろりんご飽きてきたでしょ?」

「あっ、これは桔梗さんお久しぶりです。でもりんごまだまだ高いですよ? 美味しいし」

「ふっふっふ、ヴァーノンくん。フルーツを広めると言う野望は始まったばかりなんだよ。今回紹介するのはこれよ」

 桔梗さんの手に『ポンッ』と白い煙と共に、オレンジ色の果物が出て来た。

「これはオレンジっすか?」

「ぶっぶー、ちがいまーす。これはみかんよ!」

「みかん?」

「オレンジはまたそのうち紹介するわね。下界よりもっと美味しいのあるから。とりあえず今はみかんの紹介ね。こうやってね、皮を手でむけるの!」

 桔梗さんはみかんの皮を手でむく。

 そしてパクリと食べた。

「うん、やっぱり美味しい! ヴァーノンくんも食べてみて!」

 桔梗さんはまたもや『ポンッ』と音を立ててみかんを出す。

 僕がみかんを受け取って皮をむこうとすると、力を入れ過ぎて皮を破り、果汁が漏れ出てしまう。

「ちょっと力入れ過ぎね」

「オレンジより全然柔らかいんすね!」

 慎重に皮をむくヴァーノン。

 むきおわったらパクリと食べてみた。

「おおっ、すっぱいけどクセになりそうっすね」

「でしょー! 今度はこれを出すスキルをあげる! どんどん地上に種をまくのよ」

「やっぱり、僕たちが売ってるりんごも種が広がっているんですか?」

「当然よー! 他の農家や商人が黙ってるはずがないもの。本当は種無しってのもできるんだけど、フルーツを広めるのが目的だから全部種ありにしてるわよ」

「分かったっす。いっぱい売って種を広めるっす」

「じゃあそろそろ朝だからまたね~」

 桔梗と白い部屋がうっすら消えていった。



 チュンチュンチュン……

 朝日が部屋に差し込む。

「もう朝か、あれ? これはみかん?」

 起きた僕の手にはみかんが握られていた。

「また夢じゃなかった!」

 僕はみかんをいっぱい出すことにしばらく夢中になった。

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