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果物マスター!~スキルで果物だけはポンポン出せます。果物を売って悠々自適に暮らしたいと思います~

第3話 りんごを調理しよう
 僕はヘルマンさんに案内されて宿屋についた。

 部屋は一般的な宿屋だろう。

 華美すぎす貧相すぎず。

 掃除が良く行き届いていた。

 ヘルマンさんにお代はいらないと言われ甘えることにする。



 僕は部屋で考えてみた。

 りんごをジャムにしてはどうだろう?

 僕の実家ではりんごをジャムにして食べていた。

「りんごを煮てふにゃふにゃにしてから食べるの美味しかったよな」

 実家のりんごは小さくすっぱかった。

 正直、食べるところが少なかった気がする。

「よし、明日ヘルマンさんに相談してみよう」

 この日はふかふかのベッドで眠った。



 翌日、商業ギルドへ行くとヘルマンさんは不在だった。

 ヘルマンさんの店へ行ってはどうかとアドバイスされる。

 商業ギルドの受付嬢に案内されてヘルマンさんの店へ行く。

 ヘルマンさんの店ではリンゴを売っていた。

「さぁーさぁーここにあるりんごはただのりんごじゃない! 見て分かる通り大きさ、ツヤ共に最高級品の宝石りんごだよーっ! 今なら銀貨2枚ッ、銀貨2枚だよーっ!」

 りんごを普通に売るのではなく、たたき売りをしていた。

「ははは、僕から銀貨1枚で買ったのを2枚で売るってちゃっかりしてるなぁ」

 受付嬢に店の裏手に案内されると、裏口から入れてもらう。

 僕は豪華そうなフカフカのソファーに座る。
 メイドさんによって品の良いテーブルにカップが置かれお茶が注がれる。

 お茶を楽しみながらしばらく待っているとヘルマンさんが来た。

「やぁ、ヴァーノンくん。たたき売りをしている所を見られてしまったね」

「ははは、気にしてませんよ。それよりりんごまた持ってきました」

「おお、助かるよ」

「そこで今日は提案なんですが、りんごを煮て食べてみませんか?」

「ほう、りんごを煮るとな?」

「ええ、柔らかくなって甘くて美味しいですよ」

「ふーむ、君が言うなら試してみるか。うちの厨房へ行こう」




「そうそう、火は弱火で。水はいれずに。あとは時間との勝負です」

 僕はヘルマンさんが雇っている料理人に調理法を伝える。

 りんごが煮えるまで何時間もかかってしまう。

 僕とヘルマンさんは、りんごのたたき売りの様子を店の奥から眺める事にした。

 宝石りんごは物珍しさもあったのだろう、見事完売した。

 たたき売りをしていた大道芸人たちは賃金をもらって帰って行った。

「ヘルマンさん完売しましたね」

「ああ、正直大儲けだよ。ありがとうヴァーノンくん」

「いえいえ、それより調理場へ行きましょう」

 調理場へ行くと甘い香りが立ち込めていた。

 香りの発生源は煮ているりんごだ。

「そろそろいいと思いますよ。みんなで食べてみませんか? パンがあるといいかもしれません」

 こうして煮たりんごの試食会が始まった。

 煮たりんごは変色して茶色っぽくなっている。

 皆でパンに乗せてパクリと食べる。

「これは、ジャムだな!」

 パンに乗せて食べたヘルマンさんが言った。

 僕も一口食べる。

 とても美味しい。

「はい、いわゆるジャムですよ。こうして食べるのも美味しいですよ」

「むむぅ、他にはどんな食べ方があるのだ?」

「あとは絞ってジュースにしても良いですよ」

「ジュースか! これは流行りそうだな! ああ、そうだ。忘れないうちに今日のりんご代を払おう。今日も銀貨1枚だ」

「ええっ、2枚で売ってたのに?」

「はははっ、店を持つと言う事はこういう事だ。君ならそのうち店を開く資金が
が貯まるだろう。そうしたら真似するといい」

「わかりました。しばらく商売の勉強させてください。読み書き計算とかもお願いします」

「うむ、いいぞ分かった」

 こうして僕は勉強をしながらりんごを持ち込むと言う日々を送る事になった。

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