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[総ルビ]ランダムな彼女。

短編1300文字
masterpiece, best quality, extremely detailed, illustration, anime, (girl), random
 これが彼女かのじょ召喚しょうかんするための【呪文じゅもん】でした。

 アップにまとめたしろかみにははなかざり。
 くろいシックな半袖はんそでドレスではあるもののはな模様もようをあしらったお洒落しゃれあかるい洋服ようふく
 青空あおぞらもと都会とかいすみいえ軒先のきさきで、花束はなたばってだれかをっているようでした。
 どこかなつかおりのする清々すがすがしい天気てんきです。

なんですか?
いや、かわいいとおもって
ふふふ、わたしですか? そんなことをおっしゃっても、なにもあげませんよ
いいんだ。いまきみがこの世界せかい存在そんざいしているだけで、ぼくはうれしいんだよ
どういうこととですか?
randomとあるだろう。これでランダムになるわけではないのだけど、一種いっしゅのおまじないさ

 彼女かのじょおおきく見開みひらいて、すこおどろいたようなかおをしました。
 ぼくすずしいかおのままはなしつづけます。
 彼女かのじょまれるまでのはなしです。

きみはね、ぼくとなえた呪文じゅもんでこの世界せかいにたったいま、この瞬間しゅんかん生成せいせい」されたんだ
へぇ、思議しぎですねぇ
そうだね
わたしは、さっきから彼女かのじょっているんです
それはなぜだい?
今日きょう彼女かのじょ誕生たんじょうだからです
なるほど?

 そううと彼女かのじょはポッとほおあかくしました。

わたしのたった一人ひとり親友しんゆうなんです。大好だいすきなんですよ
それはすばらしいね
はいっ
はやくくるといいですね
そうですね。でも、こうやってっている時間じかんもわくわくしてわたしたのしいです

 にこやかに笑顔えがおかべる彼女かのじょは、なんだかとてもまぶしくえます。
 彼女かのじょなか住民じゅうみんだけれど、ぼくにとっては現実げんじつつながっているようにさええます。
 ぼくたちをへだてる次元じげんさん次元さんじげんかべあついのですが、それをものともせず、このになった彼女かのじょうつくしくて、かわいらしくて、そしてとてもキラキラとかがやいているのです。

ガチャ……そういうひともいる
はい? わたしことですか?
そうだよ。しょせんは乱数らんすうから生成せいせいされたノイズを加工かこうしたらきみができた
へぇ、やっぱり思議しぎです
ぼくたしかにガチャだとはおもうよ。でもね、一枚いちまい一枚いちまいそれ自体じたいは、奇跡きせきなんだ
まぁ
きみ奇跡きせき一枚いちまいぼくにとっては重要じゅうようなワンショットなんだよ
よかったですね
そうだよ。でも残念ざんねんだな、きみぼくっているのではなくて、おんなっているんだろう?
はいっ。素敵すてき彼女かのじょです
ふふふ、ぼくもなんだかどんながくるかたのしみになってきたよ

 いまにもこの青空あおぞらなつ空気くうきかんじられます。
 セミのこえ自動じどうしゃとおおと、どこか都会とかい田舎いなか中間ちゅうかん地点ちてん
 だれもが想像そうぞうする、なつかしい近所きんじょにおい。

 たった一枚いちまいであっても、様々さまざま情報じょうほう内包ないほうしています。
 それらはおたがいをささって、ひとつの世界せかい構成こうせいしているのです。

 この彼女かのじょのように、だれかをつ、そんな素敵すてきなストーリーが偶然ぐうぜんまれました。
 ぼく彼女かのじょとの出会であいにも、乾杯かんぱいをしようとおもいました。

それじゃ、未来みらいに……乾杯かんぱい

 そっとグラスをかたむけると、ごくりとつめたいコーヒーします。
 まだ昼間ひるまだからですね。色々いろいろやらなくちゃ。
 ぼくはそうおもって、ふたたびパソコンの作業さぎょう集中しゅうちゅうします。
 AI。未来みらい創造者そうぞうしゃぼくたちをわらっているのか、それともわらっているのか、それはまだだれにもわかりません。

(終わり)

最新話です



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