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琵琶湖のフランケン 制作メモ

制作メモ
●1 作品を書くにあたって

本作は夕飯の回転寿司を食べている際に「ブラックバスや外来種にかかわる話を書きたいと思ったけど、まだ描いたことないなあ」と思い返したのが執筆のきっかけです。
ただ安直にバス釣りをしたり外来種駆除の話を書くだけだと、「外来種も人間のエゴの被害者」という事実がうやむやにならないか不安になったんですよね。
その結果、キーとして登場したのが「フランケンシュタインの怪物」でした。

●2 没プロット

もともと没プロットでは、作中に登場する「フランケンシュタインの怪物」を作った博士が出てくるのですが、そちらの展開はボツにしました。
その博士を使った当初のクライマックスは、脱走した怪物を殺そうとした博士が自分の作った怪物に喉をかみ切られ死亡してしまい、怪物に肉を全部食べられ主人公が遺骨を琵琶湖に捨てるというものです。
ただ主人公が、心を通わせた少女を守るためといえども「死体遺棄という犯罪に加担するのはまずい」と思ったため、現在のプロットに軌道修正しました。

●3 フランケンシュタインの怪物がなぜ生まれたのか

これに関しては、特に考えていません。
わからないが故の恐怖、という要素として割り切りました。
没プロットでは開発者の博士が出てくるので、まったく背景がないわけではないとは思いますが……

●4 メッセージ性について

人間のエゴで作られた「フランケンシュタインの怪物」が人間のエゴで死を遂げるというストーリーは、パブリックドメインとなった原作小説が発表されてから世界中で作られてきた物語のパターンです。
私はブラックバスをはじめとした外来種たちも、ある意味では「フランケンシュタインの怪物」と同じなのではないかと思っています。
最近ではメディアの影響を受けた子供達が「外来種だから殺していい」とか、「駆除しなければならない」とかといった価値観を持つ事例が増えています。
子供達自身は無知故にやっていることですが、彼らがそうなるようにしたのはメディアを作る大人達です。

この物語の主人公は、当初では「食料調達を兼ねた遊び」としてバスを釣っていましたが、ストーリーを経るごとに価値観が変わっていく様子を丁寧に描写しました。
事実物語開始時点ですでに彼はバス釣りのことを「心を通わせた妹分に分け与えるご飯の確保」としてもみるようになっています。
そしてその妹分を失った後は、心のどこかで「釣って食べてきたバスを惰性で雑に扱っていた」ことに彼は気が付いたのだと思います。
まあそこから先の物語は、考えていないのですが……

最新話です



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