■第だい５話わ　エルフちゃんとクラスへ向むかう

　手てをつないだまま校門こうもんを通過つうか。――県立けんりつ埼台さいだい東ひがし高校こうこう。

　俺おれはなんで手てをつないだままここまで来きてしまったのか。
　それは魔性ましょうのおっぱいが腕うでに当あたっているのから逃にげるのを忘わすれたからだ。
　手てを離はなしたら当然とうぜんこの感触かんしょくも離はなれてしまう。惜おしいと思おもってしまったのだ。

「おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます、え、誰だれ」
「うわぁ美少女びしょうじょ、すげえ」
「金髪きんぱつ碧眼へきがんだと」

　校門こうもん前まえで挨拶あいさつ運動うんどうとかいうのをしている生徒会せいとかいの人ひとが呟つぶやいた。
　でも誰だれも知しらないのだろう。

　彼女かのじょもなんなら外務省がいむしょうの人ひとが手続てつづきとか手伝てつだってくれたらしいので、今日きょう初登校はつとうこうらしいし。

「四し月がつ上旬じょうじゅんだったらサクラが咲さいてて綺麗きれいなんだけどね」
「はいっ、あの動画どうがで見みました。サクラ……すごく綺麗きれいで、私わたし憧あこがれちゃって」
「そっか」
「来年らいねん、楽たのしみにしていますね。一緒いっしょに見みましょうね」
「おお」

　来年らいねんか。もう来年らいねんのことなんか考かんがえていると鬼おにに笑わらわれてしまいそうだけど。
　そっか、ずっと一緒いっしょにいてくれるってすでに思おもってるんだ。
　なんだかそれだけでもうれしくてニヤついてしまいそう。

「あ、玄関げんかんあれ靴箱くつばこまだ割わり当あてられてないから」
「上靴うわぐつなら持もってきましたぁ」
「そっか、なら適当てきとうに履はき替かえようか」
「えへへ、ちゃんとスーパーの袋ふくろもあるので靴くつ入いれて持もっていきますね」
「準備じゅんびいいね」
「はいっ。外務省がいむしょうの人ひと結構けっこう親切しんせつで。というか国際こくさい問題もんだいが怖こわいみたいで」
「あはは」

　エルフの最さい重要じゅうよう人物じんぶつだもんな。
　他ほかの国くには自国じこくが火種ひだねになるのを恐おそれてどの国くにも受うけ入いれを拒否きょひしたというのに。
　永世えいせい中立国ちゅうりつこくでさえ怖こわがったっていうくらいだから相当そうとうのはず。

　引ひっ張ぱりダコということも考かんがえられるが逆ぎゃくなんだな。
　彼女かのじょは火種ひだねになる。どういう意味いみか分わからないけど、やっかいごとをわざわざ自国じこくへ呼よび込こみたい国くになどいなかったと。

　うっ、靴くつを履はき替かえる彼女かのじょを見守みまもっていたんだけど、下向したむいて戻もどすと胸むねがぼいーんって揺ゆれてすごい。
　こういうついうっかり運動うんどうするところを見みると、ばるんばるんするから侮あなどれない。

　エルフだけど貧乳ひんにゅうじゃないんだよな。
　俺おれはどっち派はかというと難むずかしいな。ちっぱいにはちっぱいの良よさがあると思おもっているし。
　大おおきいのは大おおきくて破壊力はかいりょくがすごい。
　どちらも並ならべて乳ちち比くらべしたい。

　さて邪よこしまなことを考かんがえているうちに靴くつを履はき替かえた。

「んじゃいくか」
「はい」

　俺おれのクラスって決きまっているらしい。
　普通ふつうはどのクラスになるかは抽選ちゅうせんみたいなところがあるが、国際こくさい問題もんだいになる特例とくれいで俺おれと一緒いっしょということだ。

「一いち年ねん二に組くみだね」
「一いち年ねん二に組くみ、ですね」
「そそ」

　階段かいだんを上あがりクラスを一いち組くみから順番じゅんばんに見みて二番目にばんめの教室きょうしつに入はいる。
　ガラガラ。

　引ひき戸どのドアを開あけると中なかから視線しせんが集あつまってくる。二に度ど見みしてくる生徒せいとたち。

「おい、山女やまめ、どういうことだ。金髪きんぱつ碧眼へきがん巨乳きょにゅうとか卑怯ひきょうだろ」
「だよな。そーだーそーだ。山女やまめ、おまえ卑怯ひきょうだぞ」
「ぱつきんちゃん、おはよう、仲良なかよくしてね」
「というかなんか耳みみが尖とがってませんか。え、エルフとか言いわないよね」

　教室きょうしつ内ないが一気いっきに騒さわがしくなる。
　質問しつもんは順番じゅんばんにしてくれ。

「はいっ、今度こんど、このクラスでお世話せわになるエルフ族ぞくのラーラミン・ハイッペロット・トワイライトです。ララって呼よんでほしいですぅ」
「ララちゃん。めっちゃくぁわいいい」
「……結婚けっこんしたい」
「ララちゃんね。よろしくー」

　男女だんじょとも興味津々きょうみしんしんだ。

「エルフ族ぞくって言いっていいんだっけ」
「あっエルフ族ぞくっていうのは秘密ひみつで、あの、その、アルクメニスタンからの留学生りゅうがくせいということで。秘密ひみつですからね。言いっちゃダメですよ。ううぅぅ」
「分わかった、分わかったよ」

　ばれてーら。エルフなのがソッコー、バレる。
　クラス中ちゅうが苦笑くしょうで溢あふれかえった。
　こういうときはみんないいやつらばっかりで助たすかる。

「金髪きんぱつ碧眼へきがんなのは遺伝いでんということで。あの耳みみはですね、突然変異とつぜんへんいということで、一ひとつ」
「了解りょうかい、分わかったよララちゃん」

　そういうことにしておいてくれ。

　席せきがすでに増ふえていたのでそこへララちゃんが座すわる。
　南側みなみがわで一番左いちばんひだり奥おくだ。いわゆるベランダのドアがある席せき。
　その右隣みぎどなりはなんと俺おれという。

　先週せんしゅうの席替せきがえで今度こんどはいい席せきになったなと思おもっていたが、うむ。
　これ、操作そうさされてるんだろうな。
　座席ざせきはランダムですとは言いわなかったし、誰だれと誰だれは離はなしておくとかあるんだよね。
　高校生こうこうせいでも仲なかが悪わるかったり、逆ぎゃくに仲なかが良よくてうるさい奴やつらとかは離はなされる。

「起立きりつ、礼れい。おはようございます」
「「「おはようございます」」」
「わっ、わっ、お、おはようございましゅ」
「「あははは」」

　ララちゃんが遅おくれて挨拶あいさつすると、その高たかくて可愛かわいい声こえが教室きょうしつ内ないに響ひびいた。
　みんなちょっと笑わらうけど、別べつに嘲笑ちょうしょうしているわけではない。
　なんだか温あたたかい雰囲気ふんいきになってよかった。

「はい。今日きょうからなんだっけアルクメニスタンからの留学生りゅうがくせいのララちゃんが一緒いっしょに勉強べんきょうします。仲良なかよくしてね」
「「「はーい」」」
「はいララちゃん前まえに出でてきて一言ひとことよろしく」

　小学生しょうがくせいみたいに元気げんきに返事へんじをする高校生こうこうせいたちを見みて先生せんせいも満足まんぞくそうに頷うなずいた。
　ちなみに先生せんせいは二に十じゅう四よん歳さいの女おんなの先生せんせいだ。
　茶髪ちゃぱつのセミロングで童顔どうがんなので人気にんきがある。話はなし方かたも優やさしい。
　ママにしたい先生せんせいランキング一いち位いである。

　ララちゃんが一番後いちばんうしろの席せきから前まえに出でてくる。

「はいっ、よろしくお願ねがいしますっ」

　ララちゃんが元気げんきよく挨拶あいさつして頭あたまを下さげる。
　そうするとおっぱいがぼいんと揺ゆれて、男子だんしたちがざわめいた。
　女子じょしたちもしょうがないな男子だんしはというふうに思おもったようで呆あきれ顔がおだ。

　まああのおっぱいには誰だれも勝かてない。
　なんだかんだおっぱいに助たすけられているんだよな。
　エルフの物珍ものめずらしさを全部ぜんぶおっぱいが持もっていってしまうので、エルフだからって変へんな目めで見みる暇ひまがないというか。

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