■第だい４５話わ　エルフちゃんと卒業式そつぎょうしきと春休はるやすみ

　そう何回なんかいも卒業式そつぎょうしきに参加さんかしないだろうということでうちの学校がっこうでは全校ぜんこう生徒せいとが卒業式そつぎょうしきに参加さんかすることになっている。
　卒業そつぎょうする三年生さんねんせいと二年生にねんせいだけというところもあると思おもう。

「卒業そつぎょうですぅ、寂さびしいですぅ」

　どこで接点せってんがあるのかよく知しらないがララちゃんも大変たいへん残念ざんねんに思おもっているようで、最近さいきんときおり寂さびしそうな表情ひょうじょうを見みせる。

「お姉ねえさまたちにはよくしていただきましたですぅ」

　男おとこばかりの親衛しんえい隊たいみたいな男子だんし諸君しょくんもいたけど、女おんなの子こばかりのララちゃんをめでる会かいみたいなのがあるらしく先輩せんぱいたちとも少すこしだけ交流こうりゅうがあったらしい。
　俺おれだってトイレにも行いくし一緒いっしょに行動こうどうしていないこともある。
　なるほどよく知しらなかっただけで、そういうつながりがあるようだった。

　卒業式そつぎょうしきで先輩せんぱいたちを送おくり出だした。

「うぇえええ、うわあああんん」

　ララちゃんが号泣ごうきゅうしていた。
　こういう式しきをやったことがないので耐性たいせいもなにもないらしい。
　三年さんねんのお姉ねえさんたちにいい子こいい子こされてなんとかなだめてもらった。

　俺おれたちも高校こうこうを卒業そつぎょうすると進学しんがくするか就職しゅうしょくするかというほぼ二択にたくになる。
　大学だいがくだけでなく専門せんもん学校がっこうなどに行いく人ひとも多おおい。
　あとたった二年にねんで自分じぶんの進路しんろを決きめないといけないのだ。
　何なにに向むいているとか全然ぜんぜんよく分わからない。
　異世界いせかいに行いくような仕事しごとなんてないに決きまっている。
　唯一ゆいいつの接点せってんは親父おやじ関係かんけいだけで、あれは国家こっか機密きみつなので一般人いっぱんじんには開放かいほうしていない。
　進路しんろ相談そうだんに馬鹿正直ばかしょうじきに「異世界いせかいに行いきたいデス」とか書かけるわけもない。

　父親ちちおやの転移てんい門もんが無事ぶじ開通かいつうして行いき来きが可能かのうになればというのが前提ぜんていであるし、そもそも何なにができるかも未知数みちすうだ。
　国家こっか間かんの利益りえきの吸すい取とり方かた次第しだいでは一生いっしょう非ひ公開こうかいのまま終おわる可能性かのうせいもある。
　流石さすがに異世界いせかいの人ひととの橋渡はしわたしをするコーディネーターになりたいとかいえるような状況じょうきょうじゃないだろう。
　どっちかというとララちゃんの秘書ひしょとかでお茶ちゃを濁にごすのも手てだ。
　それならララちゃん関連かんれんの仕事しごとをしているんだろうな、で腹はらを探さぐられなくて済すむ。

「やった。新あたらしいセーラー服ふく」

　妹いもうとは埼台さいだい東ひがし高校こうこうの真新まあたらしいセーラー服ふくに袖そでを通とおしてご満悦まんえつだった。
　憧あこがれだったのだろう。
　いつもララお姉ねえちゃんはいいな、という顔かおで見みていたのも知しっている。
　それから他ほかにも必要ひつような物ものリストというのがあるので、それを見みて購入こうにゅうしていった。
　一歩いっぽ、また一歩いっぽと東ひがし高校こうこうのメンバーになったような気きがしてはしゃいでいる。
　前まえははしゃぐのだって難むずかしかったことを思おもえば、お兄にいちゃんも泣ないてしまいそうだ。

「今年度こんねんども終おわりです。一年いちねん間かんありがとうございました」

　灯里あかりちゃん先生せんせいが一年いちねんを締しめくくる。

「この一年いちねん二組にくみの担任たんにんをできて本当ほんとうによかったです。はじめての担任たんにんだったしララちゃんもいたけれど、大おおきな問題もんだいも起おこさないで一年いちねん間かんやってこれました。こんなにうれしいことはないです」

　これには俺おれたちもララちゃんもまた泣ないてしまいそうだ。

「「「灯里あかりちゃん先生せんせい」」」
「その灯里あかりちゃん先生せんせいって言いわれるのも終おわりなんですね」
「「「「先生せんせい」」」」
「びええええええんん」

　泣なき出だしたのは灯里あかりちゃん先生せんせいの方ほうだった。
　確たしかにララちゃんのいるクラスでそのかじ取とりは影かげでは相当そうとう大変たいへんだったのだろうと思おもう。
　政府せいふの外務省がいむしょうからの注文ちゅうもんとかも捌さばいていたのだろうと想像そうぞうする。
　うちはほとんど何なにも言いわれたことはないが、たまに父親ちちおやから電話でんわが掛かかってくるから、それで済すませていたのだろう。

「これ、この前まえスキーに行いってきたお土産みやげです」

　なぜか泣なきながらホワイトチョコのクッキーを配くばり始はじめる灯里あかりちゃん先生せんせい。
　まったくこの先生せんせいも結構けっこうマイペースなところがある。

　なんやかんや一年いちねん間かん、結構けっこう楽たのしくやってきた。
　もしできるなら、無理むりだと思おもうけど同おなじメンバーで二年にねん持もち上あがりだったらよかったな、と思おもった。
　毎年まいとし一組いちくみから五組ごくみまではクラス替がえがある。

　先生せんせいが泣なき出だしたハプニングはあったものの、終業しゅうぎょう式しきを終おえた。
　クラス内ないでは打うち上あげと称しょうしてカラオケに行いくらしい。

「俺おれたちも行いくか、カラオケ」
「ああ。いつものメンバーでいいか」
「いいよ」

　アキラに確認かくにんを。ララちゃんとハルカを押おさえておく。
　それから学校がっこうを出でたところで妹いもうとを掴つかまえる。

「カラオケいくぞ」
「はーい」

　あらかじめこうだと思おもって暇ひまな妹いもうとは呼よび出だしておいたのだ。

　ララちゃんハルカ、エリカと揃そろうとかなり歌うたがうまい。
　俺おれとアキラは負まけ気味ぎみだがなんとかアニソン対抗たいこうとかをして過すごす。

「シュワシュワがあるですぅ」

　そうそうララちゃんのお気きに入いり。シュワシュワ。
　クリスマスのシャンメリーもシュワシュワなのでララちゃんにとってシュワシュワは一種いっしゅのお祝いわい事ごとのものとなっていた。

「コーンポタージュとコンソメスープも美味おいしいですぅ」

　ついにコンポタージュを見みつけてしまったか。
　もうシーズンは終おわりだけど、あれにはまると家いえでカップスープとかも欲ほしくなるかもしれない。
　今いまは味噌汁みそしるとかが中心ちゅうしんだった。
　前回ぜんかい来きたときはララちゃんとハルカのデュエットを聞きいたけど、今日きょうはララちゃんとエリカだ。
　エリカとカラオケなんて小ちいさいときしかやったことがないからなんだか新鮮しんせんだ。
　ララちゃんは以前いぜんにも歌うたっていたアニソンが好すきなのか今回こんかいもそれだった。

「愛あいしてる～」
「愛あいしてる～」
「天てんの彼方かなたまで～」
「ずっとずっと～」
「「永遠えいえんに～～」」

　おおぉぉハルカはあまりアニソンメインじゃないのでエリカのほうが知しっているらしくて上手じょうずだった。
　こうして俺おれたちは春休はるやすみに突入とつにゅうした。

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