■第だい３９話わ　エルフちゃんとスキー場じょう

　そろそろ寒中かんちゅう見舞みまいの季節きせつになった。
　一月いちがつ下旬げじゅんから二月にがつ二日ふつかになる前まえが寒中かんちゅう見舞みまいの時期じきらしい。
　もっともそういう手紙てがみがあるということだけで、俺おれは出だしたことがない。
　暑中しょちゅう見舞みまいも出だしたことがないな。ネットで見みたことはある。

「今度こんどの日曜日にちようび、スキーに行いこう」
「はいっ、雪ゆきは怖こわいですけど、スキーはやってみたいですぅ」

　怖こわいのは街中まちなかで雪ゆきが降ふることであって、スキー場じょうは別べつだと教おしえてくれた。
　確たしかにそんな感かんじはする。

「俺おれも行いってもいい？」
「お、珍めずらしいなアキラ、いいぞ」
「まあな、なんとか冬期とうき講習こうしゅうの成績せいせきが良よかったので」
「おお冬休ふゆやすみも勉強べんきょう三昧ざんまいだったか」
「おうよ」

　バシバシと背中せなかを叩たたいてくる。痛いたいからやめれ。
　もちろんオーケーなので連つれていく。
　そうしてララちゃんとハルカを誘さそった。
　もちろん家いえに帰かえって妹いもうとも誘さそったら大丈夫だいじょうぶらしい。
　この年末ねんまつ年始ねんしに試験しけん範囲はんいはだいだい学習がくしゅう済ずみで合格ごうかくラインを超こえたとお墨付すみつきが出でたそうで。勉強べんきょう頑張がんばってたもんな。妹いもうとはまったく尊敬そんけいするよ。


　日曜日にちようび。早朝そうちょうから駅前えきまえで集合しゅうごうだった。
　ちょっと寒さむいので改札かいさつの中なかにしてもらった。

「出発しゅっぱつ」
「「「はーい」」」
「おう」

　女おんなの子こたちの声こえはかわいいから賑にぎやかでいいね。
　みんなで電車でんしゃに乗のり山側やまがわ、下くだりへと進すすんでいく。
　いつもほとんどは海側うみがわの上のぼりへ行いくので、山やまの方ほうへ進すすむ機会きかいはかなり少すくない。

　周まわりも多おおくの男女だんじょのカップルだったり女子じょし三人組さんにんぐみ、男子だんし三人組さんにんぐみなどが多おおい。
　なるほど目的もくてき地ちはみんな一緒いっしょか。
　そうやって電車でんしゃで進すすみ、山やまの麓ふもとまでやってきた。

「ここからバスが出でてるんだ」
「へぇ」

　専用せんようのバスに乗のり込こむ。
　バスに揺ゆられていく。
　これは路線ろせんバスじゃなくてスキーツアーのバスで事前じぜん予約よやくしてある。
　冬服ふゆふくともなるとララちゃんのおっぱいは目立めだっているけれど、薄着うすぎの夏なつほどではない。それでもデカいのは丸まる分わかりなくらいやっぱりデカいんだよな、うん。

　ここまで普通ふつうの荷物にもつだけで来きた。
　スキー場じょうでレンタルセットを借かりる。
　俺おれはスノーボードにしたんで、みんなもスノボーにするらしい。
　ボード、専用せんようの靴くつ、上下じょうげの専用せんようのスキーウェア、ゴーグル、手袋てぶくろなどがある。
　必要ひつような装備そうびは全部ぜんぶこみこみ。
　専用せんよう装備そうびで家いえから持もってくる必要ひつようのあるものは何なにもない。
　昔むかしはスキー板いた以外いがいは持もち込こみとかだったらしく、楽らくになったものだ。
　このスキーツアーだとレンタル品ひんが割引わりびきになって安やすく済すむ。かなりお得とく。
　今年ことしはお年玉としだまもたくさん貰もらったので、まだお金かねに余裕よゆうがある。
　でも夏なつに海水かいすい浴場よくじょうとかにもまた行いきたいし、市民しみんプールにも行いきたい。またメロンを拝おがみたいから、節約せつやくできるところはお得とくに節約せつやくしよう。

　男女だんじょ別べつの更衣こうい室しつから出でてきて合流ごうりゅうする。

「じゃあ俺おれはララちゃんの面倒めんどう見みるから、適当てきとうに遊あそんでて」
「あいよ。妹いもうとちゃん行いこうか」
「アキラさんなんてイヤ。エリカお姉ねえちゃん行いきましょうか」
「はーい、振ふられてやんの」
「くぅ、妹いもうとちゃーんなんでどして」
「そういうところが無理むり」
「ぐぉおお」

　アキラもすっかりいじられキャラになってまあ。
　これでも顔かおも性格せいかくも勉強べんきょうも上うえから数かぞえたほうが早はやいんだがな。
　残念ざんねんなバカっぽいチャラさが悪わるいのかもしれんが。

　アキラは悲かなしみを抱かかえて一人ひとりで滑すべっていく。その背中せなかが寂さびしい。一気いっきに老ふけ込こんでまるで中年ちゅうねんのおじさんのようだ。
　エリカとハルカは仲良なかよく並ならんで滑すべっていく。
　みんな昔むかしは一緒いっしょに滑すべったことがあるので大丈夫だいじょうぶだろう。

　さて問題もんだいはララちゃんだが。

「滑すべるですぅ、つるつるですぅ」

　いうほどツルツルではないと思おもうが、ララちゃんからすれば滑すべるのかもしれない。
　おっかなびっくり腰こしが引ひけていて、へこへこ移動いどうしていた。
　しばらく観察かんさつするとあぁ歩あるくとおっぱいが揺ゆれる。
　冬服ふゆふくでは目立めだたないが、あれバランス悪わるいんですね。分わかります。
　そりゃあコケそうにもなるわ。

「手てを掴つかまって」
「ありがとうですぅ、救世主きゅうせいしゅですぅ」
「そこまでじゃないよ、あはは」

　ララちゃんの手てを持もつ。
　スノーボードなのでスキーと違ちがって手てはフリーだ。

「えいしょ、えいしょ」

　ボードに片足かたあしを固定こていしてもう片方かたほうを外はずす。そうしないと移動いどうできない。

「こうやって片足かたあしで漕こいで進すすんで、斜面しゃめんまできたらロックして滑すべるんだ」
「分わかりましたぁ、ありがとうございますぅ」

　斜面しゃめんの上うえまでこれた。ガチャっと両足りょうあしともを固定こていしてしまう。
　ここから先さきはあとは滑すべるのみ。
　前まえの人ひとを見みながらそれっぽく左右さゆうにグラインドさせればいいだろう。

「わわ、滑すべってく、滑すべってく、わわあああああ」

　ララちゃんが斜面しゃめんを滑すべり落おちていった。
　一応いちおう、左右さゆうにも動うごいているし、大丈夫だいじょうぶだろうたぶん。
　俺おれはその後うしろを滑すべってついていく。

　さすがララちゃん。
　一回いっかい見みただけでそれっぽい動うごきをしていた。
　完璧かんぺきではないが初回しょかいにしてはかなり高こう得点とくてんではないだろうか。

「はぁはぁはぁ」
「おつかれ」
「えへへ、下したまで来これましたぁ」

　さて下したに来きたからには上うえへ戻もどらないといけない。
　ここのスキー場じょうはゲストハウスが上うえにあるので、滑すべって降おりたら登のぼらないといけないのだ。

「こ、これに乗のるんですかぁ」
「まあ、御覧ごらんの通とおり」
「頑張がんばりますぅ」

　頑張がんばるというほどではないと思おもうが、確たしかにぐるぐる動うごいていてタイミングを合あわせて乗のるのは思おもったより神経しんけいや勇気ゆうきがいる。

「前まえの人ひとのをよく見みてて」
「はいですぅ」
「次つぎ、行いくよ」
「はいぃぃ」

　俺おれたちが前まえへと進すすんで、後うしろからリフトの椅子いすが迫せまってくる。
　なんとか乗のってそのままぐっと持もち上あがり足あしが浮うく。

「お空そらを飛とんでますぅ」
「いうほど飛とんではないと思おもうけど」
「怖こわいですぅ、ケート君くんくっついてていいですかぁ」
「いいよ」
「やったですぅ、ぐへへ」

　ニコニコして俺おれにくっついている。
　これは怖こわいんじゃなくて、さては口実こうじつにしてくっつきたいだけだな。

「にひひひ」

　楽たのしく滑すべってニコニコしてリフトに乗のってと繰くり返かえした。
　ララちゃんは持もち前まえの運動うんどう神経しんけいを発揮はっきして、すぐにうまくなり今いまではもう俺おれよりうまいかもしれない。
　さすが冒険者ぼうけんしゃをしていただけはある。

「楽たのしかったですぅ」
「あぁ、結構けっこう楽たのしかったな」
「はいですぅ」

　帰かえりのバスでもララちゃんはくっつきまくってきて大変たいへんだった。
　特とくに上着うわぎを一枚いちまい脱ぬいで、そのお胸むねをぐいぐいくっつけてくるところとか。
　楽たのしそうで何なによりです。

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