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[総ルビ]留学生は同棲JKエルフちゃん

第14話 エルフちゃんと遠足
だい14 エルフちゃんと遠足えんそく

 よくがつおこなわれる遠足えんそくだけども、うちの高校こうこうがつにある。

「――というわけで明日あした遠足えんそくだからよろしくおねがいしますね」
「「「はーい」」」

 担任たんにん二十四にじゅうよんさい三保みほ灯里あかりちゃん。
 生徒せいとたちには「アカリちゃん」とばれている。
 アカリちゃんが説明せつめいをしわると生徒せいとたちは元気げんきよく返事へんじをした。

 翌日よくじつ学校がっこうからりの観光かんこうバスにってちかくのやままで移動いどうする。

「これが遠足えんそくなのでしょうかぁ」
説明せつめいされたとおりバスからりてあるくんだよ」
「そうみたいですぅ」

 学校がっこう指定していのジャージはなく、みんなバラバラだ。
 今日きょうはララちゃんもジャージだった。あかいジャージは似合にあっている。
 一方いっぽうおれとアキラはくろのジャージ。ハルカはピンクのジャージだった。

「バスはここまでです。みなさんりる準備じゅんびをしてください」
「おおぉ、このやまのぼるんですかぁ」
「うん」

 市内しない北西部ほくせいぶには西にしつづ小高こだかやまがあった。
 名前なまえ青沢あおさわやまというらしい。
 ここが今日きょう遠足えんそくポイントだ。

「では出発しゅっぱつしまーす」

 アカリちゃん先生せんせい号令ごうれいでクラスメートがれつになってすすんでいく。
 おれたちのはんはいつものメンバー、おれ、ララちゃん、ハルカ、アキラの四人よにんだ。

水分すいぶん補給ほきゅうはこまめにしよう」
「はいっ、でもいっぱいぎちゃうとおしっこしたくなっちゃうから」
「そうですなぁ」

 おれ水分すいぶん補給ほきゅう提案ていあんするとアキラがララちゃんの心配しんぱい同意どういする。
 ハルカはそれをいてちょっとかおあかくしてからくびをブンブンとっていた。
 あーうん、これはあれなんだよ。
 むかしなハルカが遠足えんそく途中とちゅうでどうしてもおしっこしたくてかくれて道端みちばたでしたことがあるんだ。
 それをおもしてったのだろう。
 ちょっとずかしくなるのも仕方しかたがない。
 あのときはあとでずっとはんべそでなだめるのに苦労くろうしたっけ。

 平野へいや部分ぶぶんはすぐにわり、のぼさかになっていく。
 日本にほんやまっていきなり平野へいやからえてるよな。外国がいこくおなじかもしれないけど。
 こう、なんというかいたみたいにきっぱりかれている。

「お茶畑ちゃばたけですね」
「おお、このへんはおちゃ産地さんちなんだと」
「へぇ」

 なんって名前なまえだったかな。とにかく日本茶にほんちゃ有名ゆうめいらしい。
 生産せいさんりょうおおほうじゃないけど、その品質ひんしつたか評価ひょうかされているとかなんとか。
 まるられたおちゃがカマボコみたいにならんでいる。

「えいしょ、えいしょ、へへへ、これくらいなら平気へいきですぅ」
頑張がんばってすすもう」
「おいっす。おれ平気へいきさ」

 こえってのぼっていく。
 へん返事へんじをするのはアキラだ。
 ララちゃんの、うん、それ。おっぱい。おもそうだもんな。
 たしかEカップでいちキログラムくらいあるはず。
 おこめ砂糖さとういちキロをむねにくっつけてずっとのぼったらかなりの負担ふたんだとおもう。
 ハルカもすこくるしそうだ。彼女かのじょはララちゃんよりも体力たいりょくがないから大変たいへんだろう。
 むね比較ひかくすればかるいといってもある程度ていどしかない。
 おれたちは負荷ふかなしなんだから、不公平ふこうへいといってもいい。
 べつ男女だんじょ荷物にもつかるいとかもないわけで。
 のぼってあしうごかすたびにすこしではあるがぽよんぽよんとれる。
 どうかんがえてもこのうごきは無駄むだおおい。
 かといってブラしていてこれなんだから、これ以上いじょうさえつけるわけにもいかない。

「はい、ちょっと休憩きゅうけいしよう」
「ほーい」
了解りょうかいです」
かりましたぁ」

 みちがるその頂点ちょうてんのところがすこしひらけているのでそこでしょう休憩きゅうけいとする。

「うわぁ、うわああ。したまち一望いちぼうですぅ」
「そうだな。ここらへん一帯いったい全部ぜんぶえるな」
「そうね。まえ埼台さいだい西区にしく、それであっちがわたしたちの東区ひがしく
「ああ、全部ぜんぶ丸見まるみえだな。丸見まるみえ」
「おい、アキラそのかた、ちょっとやらしいぞ」
「そうか、そういうふうにおも景都けいとがエッチなんじゃん」
「ぐぬぬ」

 おれわるかった。
 だって丸見まるみえってなんかこう、すっぽんぽんみたいな、な?
 普段ふだんかくしている重要じゅうよう部分ぶぶんえてしまっているみたいなイメージあるでしょ。

「ハルカ大丈夫だいじょうぶか?」
「あ、うん。大丈夫だいじょうぶ。まだあしいたくないし」
「そっか。無理むりするなよ」
「うん。ありがとう」
「お、なになに景都けいと、ずいぶんやさしいじゃん」
「ちゃかすなアキラ。おれ真面目まじめはなしをしている」
「そうだけど、なにララちゃんだけじゃなくてハルカちゃんにもか」
すってなんだよ」
「ぐははは、エロ時代じだい
「もうらん」
「いけず」

 こいつバカだったわ。

だいいちララちゃんにだってしてない」
「そうなんだ。よかったなハルカちゃん」
「うん」
「うおぉおおい」

 ハルカも素直すなおにうなずいているし。
 していません。
 一緒いっしょにお風呂ふろにも布団ふとんにもはいっていません。本当ほんとうです。
 さそわれただけでおれわるくないんです。

 国際こくさい重要じゅうよう人物じんぶつだからな。丁寧ていねいにおもてなししてますよ。
 こいつらにはそういう事情じじょうってないので軽口かるくちわれるのだろうけど。
 説明せつめいしたらしたでまずくなるのもこまるしなあ。

 そのあと一度いちど休憩きゅうけいしたからか、頂上ちょうじょうまでのぼった。

きましたあぁぁぁ」
到着とうちゃくっとおつかれさん」
「おつかれっした」
「おつかさまです。ううん、いい天気てんき

 制限せいげんのお昼前ひるまえには全員ぜんいん到着とうちゃくした。クラス一同いちどう脱落者だつらくしゃなし。遭難者そうなんしゃなし。
 みんなでシートをいておひるべる。

今日きょうはお弁当べんとうです」

 ハルカが唐揚からあげやブロッコリーがはいったお弁当べんとうせてくれる。

「うまそうじゃん」
「でしょ? あっ景都けいととララちゃんのぶんつくればよかったね。わたしうっかり」
「まあ今更いまさらってもしかたがないな」
「えっえっ、おれはねえおれは」
「アキラくんぶん予定よていにないです」
「うわああんん」

 くずちるアキラ。
 まあハルカからの好感度こうかんどはあまりたかくないからな。
 バカなエロい発言はつげんばかりしてるからそうなる。

おれたちはコンビニのサンドイッチだぞ」
「はい。こういうのも新鮮しんせんでいいですぅ」
「ララちゃんには好評こうひょうでよかった」

 おれとララちゃんはミックスサンドをべる。
 ついでにヒトクチチキンが一人ひとりひとつずつあった。
 学食がくしょくもいいが、こういうのもわるくはない。

 かえみちくだざかだったのできよりは楽々らくらくりてこれた。

 かえりのバスにんで感想かんそうう。

草花くさばなもいっぱいあって、ちょっとエルフのもりおもしてしまいましたぁ。ぐすん」
「ああうえほうなんてやまだったもんな。くさぼうぼうで」
「そうなんです。全然ぜんぜん景色けしきちがうのに草木くさきがあって。なんだかなつかしくて……」
「そっか」
わたしなんだか、むねくるしいです……」
「お、おう」

 ララちゃんがしんみりしてしまった。
 これが布石ふせきだとはおもっていなかったおれはこのとき、かなり軽率けいそつだった。
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