■第だい１０話わ　エルフちゃんと幼馴染おさななじみ

　またエルフのララちゃんと二人ふたりで手てをつないで学校がっこうへ行いく。
　おっぱいは今日きょうも大おおいにあばれて俺おれにぐにゅぐにゅと押おし付つけられていた。
　周まわりの人ひとたちはそれをうらやましそうに、珍めずらしそうに見みてくる。
　その視線しせんは少すこし鬱陶うっとうしいが、ちょっとした優越感ゆうえつかんもあった。
　学校がっこうに着ついて普通ふつうに授業じゅぎょうを受うける。
　そのまま昼休ひるやすみになった。

　俺おれの前まえにはジト目めで手てを腰こしにやってる『幼馴染おさななじみ』の遠国えんこく春香はるかがいた。
　げ、別べつに忘わすれていたわけではないが、エルフちゃんにつきっきりだったので昨日きのうから相手あいてにしていなかった。

「ちょっと景都けいと、私わたしのことは忘わすれちゃった？」
「いや覚おぼえてはいるけど」
「ララちゃん来きたばっかりだからお世話せわするのは分わかるけど……それなら私わたしにも手伝てつだわせてよ」
「まぁそれもそうだな」

　確たしかに俺おれだけがララちゃんの世話せわをする必要ひつようはない。
　ハルカだってクラスメートなんだから一緒いっしょでも別べつに構かまわなかった。
　よく考かんがえたら昨日きのうハルカを誘さそわなかったのはちょっとした失態しったいだった。
　いつもだいたいハルカや友達ともだちとも一緒いっしょにご飯はんを食たべていたから。

「ということだ。ララちゃん、こいつは遠国えんこく春香はるかで俺おれの幼馴染おさななじみ」
「おぉぉ、幼馴染おさななじみ、いいですねぇ、憧あこがれちゃいます」
「そうか？」
「はいっ。エルフの里さとではほとんどの人ひとが一番いちばん身近みぢかな幼馴染おさななじみと結婚けっこんするです」

　それにはハルカも目めを大おおきく開あけて顔かおを真まっ赤かにした。

「えっ、けけけけ結婚けっこんっ……私わたしと景都けいとがっ」
「大丈夫だいじょうぶかハルカ、エルフの里さとの話はなしだぞ」
「あぁ、う、うん。ここは日本にほんだったわ」

　ちょっと頭あたまの中なかがこんがらがっているようだが俺おれたちは別べつにエルフではない。

「まあとにかく学食がくしょく行いくぞ」
「はいっ」
「うん」

　三人さんにんで並ならんで学食がくしょくに向むかう。
　今日きょうは何なにを食たべようかな。そうだな、うーん。
　俺おれはあれだな「唐揚からあげ定食ていしょく」。ここの定番ていばんメニューだ。

　ハルカは巨乳きょにゅうの濃こい茶色ちゃいろ髪かみでセミロングのふわふわヘアーだ。
　ララちゃんもハルカも背丈せたけは百五十ひゃくごじゅうくらいか。

　ちなみに妹いもうとは貧乳ひんにゅうで黒髪くろかみストレートロング。
　妹いもうとはハルカよりもさらに少すこし小ちいさい。今いま中学ちゅうがく三さん年ねん生せいで来年らいねん俺おれの後輩こうはいになるべく入院にゅういんしているというのに勉強べんきょうをあきらめてはいない。大変たいへん健気けなげで頑張がんばり屋やなのだ。
　だから俺おれは妹いもうとを応援おうえんしている。

　左右さゆうにララちゃんとハルカを並ならべているけれどどちらもおっぱいが大おおきい。
　比くらべてみるとララちゃんのほうが大おおきい。
　ハルカはあそこまでばるんばるんしないしな。
　してたら俺おれだって今頃いまごろ巨乳きょにゅうに慣なれているはずだ。

　別べつにハルカとは付つき合あってはいない。
　ハルカと俺おれ、両者りょうしゃとも相手あいてのことをある程度ていど好すきなのは事実じじつだろう。
　ただ周囲しゅういの目めやなんやかんやとあって告白こくはくしたりと関係かんけいが前進ぜんしんするようなイベントがなかった。
　なぁなぁで済すませてきたともいう。
　今いまとなってはララちゃんも家族かぞくとしてぐいぐい迫せまってきている。
　ララちゃんと結婚けっこんするのかそれともハルカを選えらぶのか……まあまだ俺おれたちは十五じゅうご歳さい高校こうこう一年生いちねんせいだし、とりあえず棚上たなあげしておこう。
　ララちゃんはそもそも俺おれと結婚けっこんしたいのだろうか。そういう意味いみではハルカだってよく分わからない。
　俺おれの勝手かってな思おもい込こみで、本人ほんにんはただの家族かぞく、ただの幼馴染おさななじみとして好すきだという認識にんしきの可能性かのうせいもあるのだった。

「並ならぶのです」
「ララちゃんは順応じゅんのうも早はやくてえらいね」
「えへへ」

　テレテレしている顔かおもかわいい。
　ララちゃんは天然てんねんなんだよな。
　ララちゃんはまだまだ少女しょうじょって感かんじがする。それが穢けがれていない感かんじがすごく好このみだったりする。

　一方いっぽうのハルカは少すこしクールというか、すべてを見透みすかしている目めというか。
　なんだかちょっと大人おとなっぽい。
　謎なぞの人生じんせい二に週しゅう目めみたいな雰囲気ふんいきがある。どっしり構かまえているので安定感あんていかんはある。
　信頼しんらいのおける人材じんざいだ。
　妹いもうとのこともよく助たすけてもらっているので頭あたまが上あがらない。
　どうしても男おとこには相談そうだんしにくいことや難むずかしいこともあるだろう。
　そういう時ときはハルカの出番でばんだった。

「今日きょうは俺おれ、唐揚からあげ定食ていしょく」
「じゃあ私わたしも唐揚からあげ定食ていしょくにしますぅ」
「私わたしも同おなじのにしようかな」

　結局けっきょくみんな唐揚からあげにした。
　券売機けんばいきには並ならぶんだけど、その後あとは料理りょうりの種類しゅるいによっていくつかに分わかれている。
　ラーメン、そば、うどんの麺めんの列れつ。
　カレー、ハヤシライスとかの列れつ。
　ハンバーグの列れつ。
　それから唐揚からあげなどの定食ていしょくの列れつという感かんじに。

「お、金髪きんぱつのお嬢じょうさん、今日きょうも来きたのかい？　うれしいねぇ」
「あはは、ありがとうございます」
「オマケとかしてあげられないけどごめんね」

　特定とくていの人ひとだけ唐揚からあげ一いっ個こオマケとかはできない決きまりだ。
　三人さんにんで唐揚からあげ定食ていしょくを受うけ取とって、席せきに着ついた。

「「「いただきます」」」

　みんなで手てを合あわせて挨拶あいさつを済すます。
　まずは味噌汁みそしるを一口ひとくち飲のみ、唐揚からあげから。

「うまいっ」
「どれどれ、今日きょうも美味おいしい」
「これが唐揚からあげ。美味おいしいですっ」

　唐揚からあげのジューシーな肉にくで旨味うまみが染しみ出でてくる。
　塩しおコショウ、醤油しょうゆ、ショウガ、ニンニクなどで味付あじつけがしてあって抜群ばつぐんに美味うまい。
　唐揚からあげを食たべたら次つぎは白米はくまいだ。
　米こめが美味うまい。甘あま味みがあるお米こめの味あじは最高さいこうだ。
　こうやって交互こうごに食たべると日本人にほんじんでよかったと思おもう。
　いや別べつに日本人にほんじんでなくてもエルフでもここにいてよかったというべきか。
　唐揚からあげ、白米はくまいのご飯はん、味噌汁みそしる。最高さいこうの組くみ合あわせだ。

「どれも美味おいしいですねぇ」

　ララちゃんにも大変たいへん好評こうひょうをいただいた。
　別べつに自分じぶんが作つくったわけでもないのに、なんだか学校がっこうの学食がくしょくが褒ほめられて鼻はなが高たかい。
　ララちゃんという異世界いせかいのエルフさんにも認みとめられた味あじというかなんというか。

　ララちゃんとハルカも雑談ざつだんしたりしてすでに打うち解とけていた。
　こういう時ときの女おんなの子こ同士どうしは敵てきか味方みかたかすぐに直感ちょっかんで分わかるのだろう。
　どうやら味方みかた判定はんていを得えたようだった。
　二人ふたりが仲良なかよくしてくれてよかった。

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