◆１３．平原へいげんとプリン

　デルタ町まち方面ほうめんは平原へいげんが広ひろがっている。
　真まん中なかを、地面じめんが茶色ちゃいろになっている道みちが蛇行だこうしつつ、向むこうの見みえなくなる所ところまで続つづいている。

　どうも、掲示けいじ板ばん、ｗｉｋｉによると、北東ほくとうの森もりはＬｖ１の時点じてんで行いってみて「敵てきが少すくないので、効率こうりつが悪わるい」と書かき込こみされていて、多おおくのユーザーは、町側まちがわの平原へいげんで戦たたかっていたようだ。
　敵てきは「草原そうげんウサギ」で茶色ちゃいろの毛けをしている。
　もう一種類しゅるい、スライム系けいモンスター「プリン」がいる。

　周まわりが見渡みわたせる平原へいげんでは、何人なんにんものユーザーたちが散ちらばって、戦闘せんとうしているのが見みえる。
　私わたしたちは村むらの畑はたけから出でてすぐに、モンスターをさっそく発見はっけんする。

「これはこれは、どうみ見ても『プリン』ですね」
「わーい。キャラメルが上うえにかかってるよ～」

　そうなのだ。プリンは横よこから見みると台形だいけいの形かたちで、上うえが平たいらになっていて、半はん透明とうめいの黄色きいろ。
　側面そくめんに目めと口くちが付ついている。
　そして、一番いちばん上じょうに茶色ちゃいろい部分ぶぶんがあり、どうみ見てもキャラメルプリンだった。
　上下じょうげにプルプル震ふるえている。

「おいしそうだね」

　いつもの陣形じんけいで、戦たたかいに挑いどむ。
　サクラちゃんが、さっそく盾たてを構かまえつつ、ナイフで攻撃こうげきする。
　私わたしとクルミも攻撃こうげきを開始かいしする。

　プリンはナイフや槍やりで攻撃こうげきしても平気へいきな顔かおをしている。
　逆ぎゃくに、私わたしの魔法まほうを当あてると、目めが＞＜になって、ビクッとするので、魔法まほうが弱点じゃくてんのようだ。

　しばらくすると、プリンがいきなり火ひ魔法まほうを使つかってきた。
　魔法まほうはサクラちゃんの盾たてに真ま正面しょうめんからぶつかって砕くだけたので、ダメージは特とくにない。

「魔法まほうに弱よわくて、魔法まほう攻撃こうげきキャラなんだね」
「そのようですわ」

　プリンは、ウサギより防御ぼうぎょかＨＰが高たかいようだ。
　私わたしは、いつもより魔法まほう攻撃こうげきを気持きもち多おおめに攻撃こうげきする。
　その甲斐かいあって、プリンをやっつけることができた。

　ドロップアイテムはと。

　●プリンの欠片かけら
　　とくに使つかい道みちは分わかっていない。
　　種別しゅべつ：素材そざい
　　レア度ど：１　　ランク：２

「なんだろうこれ」
「さー。なんだろうね～」
「食たべられるのかしら」

　サクラちゃんが変へんなことを言いう。
　確たしかにプリンだったら食たべられるかもしれない。
　サクラちゃんはちょっと舐なめてみる気きらしい。

「味あじは、特とくにしませんわ」
「……そうなんだ」

　その後あとも、プリンと草原そうげんウサギを倒たおしていく。
　ウサギは森もりウサギと、特とくに違ちがいがないように感かんじる。

　草原そうげんには、薬草やくそうとタンポポ草そう、そしてキノコは生はえていないようだ。
　代かわりに一本ぽんだけ、小ちいさい赤あかい木きの実みがなっている低木ていぼくをみつけた。
　知しっている植物しょくぶつでいうなら、赤あかい色いろのブルーベリーという感かんじだ。

「これ、ぜったい食たべられるよね」

　さっそく一つだけ採取さいしゅして、アイテム表示ひょうじを見みてみる。

　●ツグミの実み
　　美味おいしい木きの実み。ほのかな酸味さんみと甘あまみがある。
　　種別しゅべつ：食たべ物もの
　　レア度ど：２　　ランク：２
　　満腹まんぷく度ど：１上昇じょうしょう

　あれ、知しらない植物しょくぶつは「？」になるんじゃなかったのかな。
　良よく分わからないシステムだ。まあいいや。
　まず三つぶ収穫しゅうかくして、三人にんで食たべてみる。

「んー。なんというか、味あじはイチゴ系けいかな？」
「そうですわね。ケーキとかにするとよさそうですわ」

　例れいによって木きに実みのっている半分はんぶん四十個こ程度ていどを採取さいしゅする。

　その後あともプリンと平原へいげんウサギと戦闘せんとうしつつ移動いどうする。
　しかし夕方ゆうがたになっても、他ほかのツグミの木きは見みつからなかった。

　雑貨ざっか屋やで「ウサギの毛皮けがわ(茶色ちゃいろ)」ｘ３５を売却ばいきゃくし３，５００セシル増加ぞうか。
　プリンの欠片かけらｘ２０なんだけど、雑貨ざっか屋やでは０セシルだったので、ストレージの肥こやしになっている。

　また村長そんちょうの家うちにお邪魔じゃまする。
　うさぎの肉にく三十五個こを干肉ほしにくに加工かこうする。
　これは私わたしの仕事しごとだが、今日きょうはサクラちゃんが手伝てつだってくれた。
　たった十五分ふんでカラカラになるのも不ふ思議しぎだ。そのへんはファンタジーである。
　クルミは何なにかごそごそ一人ひとりでやっている。

　お肉にくが干ほしあがるころ、クルミが伸のびをした。

「んー。できたぞー」
「なんでしょう？　何なにができたのですか？」
「えー。それはまだ、ひ、み、つ。ご飯はん食たべた後あとぐらいに発表はっぴょうするぴょん」

　できた干肉ほしにく百五個こを私わたしは回収かいしゅうして、村長そんちょう宅たくを後あとにする。

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