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[総ルビ]【書籍化コミカライズ】元貧乏エルフの錬金術調薬店(web版)

72 アイスクリームとポムのダイエット
●72 アイスクリームとポムのダイエット

 だいぶはるもたけなわ、あたたかくなってきた。

「もうあたたかいですね」
「そうだねぇ、マリーちゃん」
「ミレーユさんものんびりのふしになりましたね」
「ふふふ、そうですぅ」

 なんともポカポカして気持きもちがいい。

「なんならちょっとあついくらいだもんね」
「そうですね」

 メイドふくもそろそろうす素材そざいのものにえようかな。
 じつはこのメイドふくなつバージョンと生地きじあつふゆバージョンがある。

「さて、アイスクリームというのはごぞんじですかな?」
「え、なんですか? ミレーユさん」
先生せんせいらないです」
「そっかそか、じつはですね。あまくてつめたいミルクのデザートがあるのですよ」
べたいです」
「ワタシもべたいっ」

 ということで作業場さぎょうばにやってまいりました。

「コーヒーようのミルクをちょうだいしますよっと」
「まあ、それくらいなら大丈夫だいじょうぶですね」
「それからお砂糖さとうあまいお菓子かしはだいたいお砂糖さとうです」
「こちらも紅茶こうちゃやコーヒーようですけどね。まあはらえられません」

 そして錬金れんきんがまかう。

「これをアイスの魔法まほうで、撹拌かくはんしていきます」
「え、アイスでぜるんですか? けっこうわっていますね」
「でしょ、シャロちゃん。こういう使つかかたもあるんだよ」
勉強べんきょうになります! 先生せんせい
「にしし」

 ということでミルクと砂糖さとうをひたすらぜながらこおらせていく。
 冷凍れいとうのアイスの魔法まほうは、冷蔵れいぞうケースのこおりつくるのにも使つかっているけれど、錬金術師れんきんじゅつし一部いちぶ魔法使まほうつかいしか使つかうことができない、比較的ひかくてきめずらしい魔法まほうだ。

「まぜぇまぜぇ~ぐーるぐる、ぐーるぐる」

 と結構けっこう時間じかんがかかりまして、ほい完成かんせい

「これがアイスクリームだよ」
「へぇ、美味おいしそうです」
すこしバニラのかおりもけてありますよ」
「なるほどです、先生せんせい!」

 三人さんにん、おっとポムもしそうにすみでポンポンしているので、よっざらして、みんなでべる。
 ミントの一枚いちまいうえせる。いいにおい。

「いただきます」

 もぐもぐもぐ。おいち。つめたい。あまい。

つめたくて、美味おいしいですね」
あまくてデリシャスです、先生せんせい
「ふむ、いいかんじにできたぞ」
「きゅっきゅっきゅっ」

 ポムもいつもよりおおねて、とてもうれしそうにしている。
 きっと美味おいしかったのだろう。ご機嫌きげんだ。

「アイスクリームですかぁ、最高さいこうです。ミレーユさんまたおねがいします」
「まかせてちょ」

 と、これ以降いこう、たまにアイスクリームをつくっている。

 そんなこんなのある
 アイスクリームのぎなのか、最近さいきんポムに変化へんかがあった。

「ねえ、ポム」
「きゅっ?」
「なんか、最近さいきんおおきくなったってうか、ふとった?」
「きゅっきゅっ!」

 ポンポンねるが、なんというかポヨンポヨンになったというか。

「もう、ボヨンボヨン、だよね」
「きゅきゅっ」
否定ひていしても、そのおなかのたるみはかくせないよねぇ」
「きゅきゅっ」
げると……」

 ポムをげる。おもい。はっきりまえよりも体重たいじゅう増加ぞうかしている。
 成長せいちょうしたんならいいけど、これはデブっただけでは。

「ちょっとダイエット、しようか?」
「きゅっ」

 いたとおもったら、すみほうげていってうしろをいてうごかなくなった。

「ダメだよぉ、そんなんじゃあ」
「きゅっ」

 まったくこまったポム隊員たいいんだ。

「ポムは夕方ゆうがた、お散歩さんぽしようね。あめ以外いがい毎日まいにち
「きゅっきゅっ」

 そんなっていうかおかべる。
 なかなかに表情ひょうじょうつくるのが上手うまい。

 ということでまわりでわたしたち三人さんにんもポムとお散歩さんぽをすることになった。
 夕方ゆうがた、おみせめたあと三十さんじゅっふんくらいだろうか。
 ぎりぎりちるまえだ。

今日きょうわたし、ミレーユとこうね」
「きゅきゅっ」

 あまりではなさそうなポムをれて、散歩さんぽかける。
 それでも散歩さんぽには一応いちおうくみたいで、ポンポンねながら移動いどうしていく。

近所きんじょ風景ふうけいももうだいぶれたねぇ」

 ポムもポンポンと移動いどうしていく。
 あっちこっちへって、興味きょうみのあるものがないかうごきながら観察かんさつしていた。
 ポムは結構けっこう好奇こうきしんつよい。
 イタズラとかはあまりしないんだけどね、好奇心こうきしんはあるんだよね。

 そうしてご近所きんじょさま一周いっしゅうしてもどってくる。

「ただいま~」
「おかえりなさい、ミレーユさん、ポム」
「きゅっ」

 あせをかくのかどうかは不明ふめいだが、元気げんきそうだ。
 とりあえず、毎日まいにちつづけよう。
 こうしてポムのダイエットがはじまった。

 いつもやっているとなんとなくポムがちいさくなってきたようなもする。

「ポム、ちょっとせたかな?」
「きゅっ」
「そうだといいね」
「きゅっきゅっきゅっ」

 へんおどりをして、アピールしてくれる。
 ちょっとはせたのをうれしくおもっているようだった。

 なんやかんやわたしたちもすこまったみたいで、もともとせていたんだけど、すっきりしてきた。
 これ以上いじょうせるとガリガリになってしまうが、適度てきど運動うんどう健康けんこうにもいい。

「また運動うんどうしようね」
「きゅきゅ」

 へんおどりをしているポムをながら、みんなでわらうのであった。

□◇□◇□◇□◇

こんにちは。
本日5/2、書籍版2巻発売です。
また、コミカライズ企画進行中です!!
やりました!
よろしくお願いします。

最新話です



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