●６３ 魔道まどうドライヤーだよ

　さて冬ふゆはまだまだ続つづいている。
　今回こんかいはですね、じゃじゃーん。
　お風呂ふろで使つかう魔道まどう具ぐ。お湯ゆを沸わかすのは普通ふつうに薪まきストーブ式しきなんだけどね。
　頭あたまも洗あらうじゃないですか。それで頭あたまを乾かわかすのには頭髪とうはつ乾燥機かんそうきつまりドライヤーが欲ほしいよね。
　ということで「魔道まどうドライヤー」です。
　もちろん既製品きせいひんもあるし、売うってはいるよ。ただちょっと無骨ぶこつな大型おおがたのが大おおきい感かんじだと思おもう。
　うちのドライヤーは他店たてんより小型こがたなんだ。

　特とくに女性じょせいは髪かみの毛けが長ながいし、それに冬ふゆだと寒さむいからね。
　いっそのこと部屋べやごと魔道まどうドライヤーで温あたためて乾かわかしたらいいんじゃないか、というのもアリではあるけど、ずっと暖房だんぼうとして使つかうとかなり魔石ませきを消費しょうひしてしまう。
　かなりのお値段ねだんになるかと。
　魔石ませきがもっとお手軽てがるだったらそれでもよかったね。
　魔道まどうコンロもあるので、高こう火力かりょく自体じたいはできるんだけど、日中にっちゅうずっと使つかうとなると、待まったがかかりそうな気配けはいがある。

　時計とけいなどでも使つかってる回転かいてんする魔道まどう具ぐの類似るいじ品ひんにプロペラを組くみ合あわせて送風機そうふうき部分ぶぶんを作つくる。
　この先さきに風かぜを温あたためる魔道まどう具ぐを作つくる。温あたためる部分ぶぶんは魔道まどうコンロや魔道まどう懐炉かいろとほとんど同おなじ仕組しくみだね。
　つまり今いままで作つくったものを組くみ合あわせただけなんだ。

「こうして、こうして、うんしょ」
「あ、またミレーユさん、何なにか作つくってる」
「先生せんせい、今日きょうは何なにですか」
「えへへ、今日きょうはドライヤー」
「ドライヤーとは」

　ということでマリーちゃんとシャロちゃんに、かくかくしかじかと説明せつめいをした。

「いいですね！」
「先生せんせい、とっても素敵すてきですね」

　もちろん私わたしが素敵すてきなわけではなく、魔道まどう具ぐが素敵すてきだと褒ほめられた。
　今いままでも小型こがた化かを追求ついきゅうしていたので、持もち運はこびができるサイズになっている。
　片手かたてで持もって、もう片方かたほうの手てで髪かみの毛けをわしわしして使つかうことができる。
　うむ、なかなかよい出来できではないでしょうか。

　なんというか魔法まほう銃じゅうの太ふといのみたいなものができた。
　魔法まほう銃じゅうというのは魔道まどう具ぐの銃じゅうで、ファイアアローみたいなものが飛とんでいくものだ。

「いらっしゃいませ、新製品しんせいひん、ドライヤーでーす」
「どれどれ」

　うちのお店みせにはお姉ねえさんたちもくるので、ドライヤーにさっそく関心かんしんを寄よせてくれた。
　人数にんずうは少すくないけど貴族きぞくのうちの子ことかもいるので、お風呂ふろには入はいる習慣しゅうかんがある。

「これ、とってもいいですね」
「素晴すばらしいです」

　とまあ試運転しうんてんをさせてみると好評こうひょうでした。

　夜よる、お店みせを閉しめて、ご飯はんを食たべて

「げへへ」
「お、その顔かおはお風呂ふろでドライヤー使つかう気きですね、先生せんせい」
「そうですぅ」

　ということでシャロちゃんと一緒いっしょにお風呂ふろに入はいる。
　うん、今日きょうもいい湯ゆだ。顔かおだけ寒さむい。

「ずっと浸つかっていたい」
「そうですね。でものぼせてしまいますね」
「そうだね、そろそろ出でよっか」
「はい」

　さぁ、実践じっせんだ。

「わぁぁ、暖あたたかい風かぜくるぅ」

　シャロちゃんのピンク髪かみをぶわああああとやる。
　ほーれほれほれ、さぁ乾かわかすのだよ。
　少すこしの時間じかん、あっという間まに乾かわいた。

　続つづいて自分じぶんの髪かみの毛けもドライヤーで乾かわかした。
　私わたしのほうが長ながくないので、楽らくちんだ。

　ということで自分じぶんで使つかってもかなり便利べんりな道具どうぐ「魔道まどうドライヤー」でした。

　あぁ、忘わすれていた。
　銭湯せんとうに売うり込こんで、設置せっちしてもらった。
　かなり好評こうひょうなようで、話はなしを聞ききつけた貴族きぞくの家いえとかからちょくちょく注文ちゅうもんが入はいる程度ていどには売うれているよ。

　次つぎは「炬燵こたつ」という話はなしも出でてるけれど、どうしようか。
　あれ動うごけなくて困こまるんだよね……。
　さぁて、次つぎは何なにを作つくろうか。

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