●４７ ポムポーションpotionだよ

　最近さいきん出番でばんがあんまりない、我わが家やのポム隊員たいいん。
　実じつはスライムslimeの平均へいきん寿命じゅみょうはその大おおきさから推定すいていして、二に、三さん年ねんぐらいだと思おもう。
　スライムslimeはポムを観察かんさつした限かぎりでは年齢ねんれいを重かさねるごとに大おおきくなる。
　ポムは今いま、三さん十じゅっセンチ[centi-　meter]ぐらいかな。この大おおきさで十じゅっ歳さいぐらいだと思おもう、たぶん。

　明あきらかにポムはスライムslimeとしては長生ながいきのほうだと思おもう。
　テイムtame歴れきの長ながいスライムslimeならみんなそうなのかもしれないけど、野生やせいでは珍めずらしい。

　私わたしの推論すいろんだと、薬草やくそうを普段ふだんから食たべているのが長寿ちょうじゅの秘訣ひけつだと思おもうんだ。
　まだまだ元気げんきで長生ながいきしそうだし、観察かんさつし甲斐がいがあるというもの。

「ポムポム～紅茶こうちゃ飲のむ？」
「きゅっ」

　ポムはお紅茶こうちゃも好すきだね。ミルクmilkと砂糖さとうを触手しょくしゅを伸のばして器用きように入いれる。知能ちのうも高たかい。

　ある日ひ、そんなポム君くんなんだけど、未み使用しようの薬瓶やくびんを食たべようとした。

「ポム何なにしてるの？」

　後うしろを向むいてこそこそ、もぞもぞしている怪あやしい。

「ぽーむ」

　くるっと回まわってこっちを向むいたポムの両手りょうて、いや触手しょくしゅには、なみなみと中身なかみの入はいったポーションpotionが握にぎられていた。
　もちろんちゃんとご丁寧ていねいに蓋ふたまでしてある。

「なにそれポーションpotion？」
「きゅっ」

　そうだ、とキメ顔がおまたはドヤ顔がおだろうか。スライムslimeなのでよく分わからないけど。

　液体えきたいの色いろはポムに似にた黄緑色きみどりいろをしていた。

「うんうん。すごいすごい、ちょっと見みせてね」
「きゅっ」

　ポムからポーションpotionを預あずかる。手てで持もって漏もれている魔力まりょくから含有がんゆう魔力まりょく量りょうを推定すいていするんだけど、あん、んん？？
　なんか私わたしの作つくる中級ちゅうきゅうポーションpotionよりも倍ばい近ちかい魔力まりょくを感かんじるんだけど。
　秘薬ひやくより魔力まりょくは少すくないけど、現状げんじょう手てに入はいるポーションpotionとしては断だんトツ[top]だろう。

「どうしたんですか、そんな真剣しんけんな顔かおしてミレーユ先生せんせい」
「シャロちゃん、これすごいよ」
「え、なんです、わわ、何なにこの魔力まりょく量りょう」

　シャロちゃんにも確認かくにんしてもらったけど私わたしの感覚かんかくと同おなじだった。

　恐おそれるべきポーションpotion。

「よし、名前なまえをつけよう。ポムポーションpotion」
「「ポムポーションpotion」」
「きゅっ」

　マリーちゃんもやってきて、一緒いっしょにびっくりしている。

　ポムは最近さいきん、中庭なかにわの中級ちゅうきゅうポーションpotionの材料ざいりょうであるルーフラ草そうがお気きに入いりで、よく私わたしの目めを盗ぬすんで、畑はたけの新鮮しんせんな葉はっぱを食たべているのを知しっている。
　別べつにポムが食たべるくらいならいいかなと放ほうっておいたんだけど、なるほどなるほど、こうやって還元かんげんしてくれるわけですね。

「ポムちゃん。ポムちゃん。そのポーションpotionってあと何なん本ぼんつくれるの？」
「きゅきゅ」

　空からのポーションpotion瓶びんをポムに渡わたすと、ひそひそと後うしろを向むいてポーションpotionに「謎なぞの液体えきたい」を注そそいでいるようだ。
　瓶びんは五ご本ほん渡わたしたんだけど、中身なかみが入はいって戻もどってきたのは最初さいしょのを含ふくめた合計ごうけいで三さん本ぼんだった。

「三さん本ぼんか。こりゃ貴重きちょうだわ」
「きゅっ」
「毎日まいにち作つくれるのかな、ポムちゃん」
「きゅっ」

　頭あたまを上下じょうげしているから、肯定こうていだろう。
　上級じょうきゅうポーションpotionに匹敵ひってきする、ポムポーションpotionは定期ていき的てきに数かずは少すくないけど作つくれることが分わかった。

　急いそいでホーランド商業しょうぎょうギルドguildのメイラさんを訪たずねに行いく。

「メイラさんメイラさん」
「なんだい、急いそいで」
「緊急きんきゅうなんです」
「おやおや」

　メイラさんは相変あいかわらず美人びじんだ。でも口調くちょうとかはちょっと男おとこっぽいというか中性ちゅうせい的てきというか、あんまり女おんならしくはない。

　ポーションpotionを取とり出だして、見みせる。

「おや、見みた感かんじは低級ていきゅうポーションpotionだけれど」
「そうですね、はい」

　以前いぜん中級ちゅうきゅうポーションpotionを渡わたしたときに、魔力まりょく量りょうを測はかっていたので、この人ひとは錬金術れんきんじゅつ師しと同おなじで自分じぶんで測はかれる「分わかる」人ひとらしい。

「うわあ。なんだこれ、ちょっとどころじゃないじゃないか」
「あ、え、はい」
「なんという魔力まりょく量りょう。上級じょうきゅうポーションpotion並なみだ」
「そうですね」
「どこでこれを？　いや自分じぶんで？　どうやって？」
「あの、私わたしじゃなくて、こっちのポムが」

　私わたしが行いくところには、ほぼポムがついてくる。

「ほう、ポム君くん？」
「きゅっ」

　またしてもキメ顔がおで答こたえるポム隊員たいいん。

「つまりスライムslimeのポーションpotionということかな」
「そうですね」
「ちなみに中身なかみは何なんでできてるんですかね」
「さあ」

　体液たいえき、血液けつえき、涙なみだ、唾液だえき、それから鼻水はなみず、おしっ……
　う、うん。可能かのう性せいはいろいろだよね。まあ考かんがえちゃだめだよね。
　飲のむことで回復かいふくすることが多おおいとはいえ、掛かけても使つかえるんだし、まあ嫌いやなら飲のむな、というか。
　死しにかかっていて、嫌いやとか言いってられないよね。

　こうして中ちゅう上級じょうきゅうポーションpotion、ポムポーションpotionが爆誕ばくたんしたのでした。

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