●3.
村での
生活
三日目。
朝ご
飯を
食べて、ピーテとおっちゃんの
所に
剣を
習いに
行く。ちなみに
朝ご
飯はマコモの
塩焼きとサラダだった。
「今日も来たな。感心。感心。昨日すぐへばってたからもう来ないのかと思ったぞ」
俺、
信用ないな。まあ、
異世界人ですし、
変な
耳ですもんね。
木刀を
受け
取り、
昨日のように
素振りをする。まずは
縦斬りの
素振りからだ。
あれ、
何か
昨日と
感じが
違う。
昨日は
剣なぎもヘロヘロで
曲がっていたが、
今日は
真っすぐ
素直に
振れる。
一回一回に
力が
込められている
気がする。ピーテが
横目でこっちを
見てニヤニヤしている。
「なんか、今日は剣筋が昨日よりいい感じですね。才能あるかもしれません」
そういって
褒めてくれる。
教官のおっちゃんは、
昨日と
別の
子供たちの
剣を
見て、あーだ、こーだ
言っている。
俺は
調子に
乗って
回数を
重ねていく。
今度はおっちゃんもこっちを
見てくれるようだ。
「たかが素振りと思うなよ。これの積み重ねが重要なんだ。どれどれ、様になってきたではないか。すばらしい! グレイト!」
おっちゃんもおだててくる。
俺は
少し
気恥ずかしくなってきた。
「謙遜するな。俺は褒めて伸ばすタイプなんだ」
俺は
頑張ったので
素振り
百回を
楽々こなした。
「今日は余裕があるな。じゃあ、縦以外の横、斜め斬りなんかも混ぜてみよう」
おっちゃんが
見本を
見せて
俺とピーテがそれに
続く、それを
何回も
繰り
返した。
回数を
数えていなかったので
何回かは
分からないがかなりやったと
思う。おっちゃんは
途中から
見本をやめてまた
子供たちのほうへ
行った。
見てみると、
子供たちが
休憩に
入っても、おっちゃんだけが
一人で
楽しそうに
素振りを
続けている。
おっちゃんはもうそれ
以上強くならなくても
良いように
思う。
この
日はさらに
少し
剣を
振っただけで、
終わりになった。
ピーテの
家に
戻り、
今日は
弓矢の
代わりに
釣り
竿を
持つ。
餌はなくて、
疑似餌がくっついている。リールもなく、
釣り
竿の
先から
数メートルの
糸と
針があるだけの
物だ。
「昨日とは反対側に川があって、そこで釣ります」
ピーテについて
川まで
向かう。
川は
比較的幅の
狭い
緩やかな
流れだった。
水深はそこそこあるようで、
濃い
紺色をしている。
二人で
出っ
張っている
大きい
石の
上に
立ち、そこから
竿を
水のほうへやる。ピーテがお
手本を
見せてくれる。
適当に
竿を
斜めにしてピクン、ピクンと
上下に
動かす。しばらくすると、
突然竿がしなり
持っていかれそうになる。
引きが
弱くなったタイミングで
竿を
上に
持ち
上げると、
先端の
針に
魚が
付いていた。
俺は
魚に
詳しくないのでよく
分からないが、イメージ
的にはニジマスみたいな
感じの
銀色の
透明感のある
魚だ。
俺もピーテに
続いて
釣りに
挑戦する。
俺は
海沿いの
街に
住んでいたが、
釣りをしたことはなかった。
親も
友達も
連れて
行ってくれなかった。なぜだ。
一生懸命、
微妙に
上下に
動かしながらやっているが、
全然ヒットしない。
あー、
飽きてきたな。コンビニだけの
用だったのでスマホも
持ってきていなかった。
布団に
入ってぬくぬくしてネットしたいなー。
いきなりグッと
竿に
重みがかかった。
俺の
可愛いお
魚ちゃんキター。
「来ましたよ。慎重に竿を上げてください」
ピーテも
竿を
上げるジェスチャーをしつつ、こっちを
見てくる。
えいやーと、
俺は
竿を
上げる。
掛かっていたのは、
真っ
赤な
魚だった。
三十センチ
位ある
立派な
奴だ。ピチピチ
跳ねて
元気がいい。
「この魚、食べられるには食べられるんですが不味いんです」
俺は、しょんぼりして
赤魚を
放流する。
気持ちを
切り
替えて、
俺は
再度釣りに
挑戦する。
すると
今度はほどなくして
次が
掛かる。
今度は
何かな。
また
次を
狙う。ランダムのアイテム
取得は
試行回数勝負なんてゲームの
基本だ。
負けない。
俺は
負けない。
絶対にだ。
最後に
勝つのは
俺だ。
次に
掛かったのは、
何やら
引きが
今までより
弱い。
探られている
感じだ。
特に
強い
抵抗もなしに、
俺は
竿を
上げる。
俺が
釣りあげたのは、
最初に
見たニジマスモドキであった。
「ちょっと小さいですが、白魚です。ちょっと小さいですが」
結局、
俺の
初釣果はこのちょっと
小さい
白魚のみだった。
一方ピーテは、
白魚のちょうど
食べ
頃のサイズが
三匹だった。これで
家族四人分食べれるね。やったね。
この
日の
晩ご
飯は、もちろん
白魚の
葉っぱ
包みの
蒸し
焼きにサラダだった。もちろん
俺の
魚だけサイズが
小さかった。あとサラダ
好きだなこの
村。
この
釣り
竿、ピーテ
父母の
思い
出の
品で、よく
二人で
釣りデートをしたという。
父が
川に
落ちたり、まったく
釣れなかったりと
色々な
思い
出を
教えてくれた。