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読書が苦手な彼女は

願い
   『君の腎臓が食べたい』

   それだけでよかった。
   それだけでよかったのに……。


 君と出会ったのは、大学に入ったばかりのある春の日。
 北国の春は初めてだった私は、ゴールデンウイークに桜が見られるなんて思ってもいなかった。
 お花見でジンギスカンを食べるなんて風習を知らない私を、君は笑いながら誘ってくれた。

 君と一緒になりたかった。

 私の腎臓が病気でボロボロになった時、君は『君の腎臓が食べたい』って本をプレゼントしてくれたね。

 冒頭しか読まなかったけど。

 そうか。君の願いは分かった。私に生きて欲しいんだね。
 それなら、私がすることは一つ。

 君の願いを叶えること。そうだよね。




   『君の腎臓が食べたい』

   それだけでよかった。
   それだけでよかったのに……。









 刺すとこ間違えたみたい。
 これじゃあぐちゃぐちゃで食べられないじゃない。
 君があんまり騒ぐから。まったくもう。

 返り血の匂いでむせてしまった。吐きそう。



 ……食欲がなくなった。君のせいだよ。

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