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[総ルビ][中編]ウォーロック

2.パーティー追放(2)
 かうさきちかくの遺跡いせきパルーデルParudelはい墓地ぼち』というフィールドfieldだった。
 ここではアンデッドundeadけいゴーストghostがうじゃうじゃる。

 普段ふだんなにもないようにえて、ぽつぽつゴーストghost平和へいわあるいているだけにえる。
 しかしひとたび敵対的てきたいてき行為こういをすると、えていなかったゴーストghost大量たいりょういてて、おそかってくるのだ。
 冒険者ぼうけんしゃギルドguild認定にんてい難易度なんいどランクrankB+だったとおもう。

「さあ、幽霊ゆうれいたちおどろうか。その姿すがたせたまえ」


 おれくろ禍々まがまがしいつえかかげて、まえゴーストghostける。

イノセントinnocentファイアfire


 無垢むく純真じゅんしんほのおは、くろ魔術まじゅつ使つかくせに、せい属性ぞくせいがある。
 ゴーストghostほのおつつまれて炎上えんじょうし、きて、あとには一粒ひとつぶドロップdropアイテムitemだけがのこった。

 ゴーストghost欠片かけら

 そうよばばれている。冒険者ぼうけんしゃギルドguild高値たかねれる。
 さっといそいでひろう。
 しかしこれをにすることは、なかパーティーpartyであれば全滅ぜんめつ覚悟かくごする程度ていどの、戦闘せんとうになることを意味いみしている。

 まわりにゴーストghostが、次々つぎつぎいてくる。
 そのかず最低さいていでも十二じゅうにたいだろうか。

イノセントinnocentエリアareaファイアfire


 おれ固有こゆう魔法まほうエリアareaシリーズseries発動はつどうさせると、おれ中心ちゅうしんまわぜん方向ほうこうほのおつつまれた。
 かこんでいたゴーストghostは、次々つぎつぎ炎上えんじょうしていく。

 ぼと、ぼと、ぼと。

 地面じめんにはゴーストghost欠片かけら次々つぎつぎちていく。
 そして、またそれをきっかけに、ゴーストghostく。

イノセントinnocentエリアareaファイアfire


 おれ感情かんじょうもなにもなく、ただ作業さぎょうのように魔法まほうとなえる。
 パーティーpartyであれば自分じぶん中心ちゅうしん範囲はんい魔法まほうなどはつことができない。
 しかしソロsoloでは、一切いっさい遠慮えんりょなしに、魔法まほう放題ほうだいとなるのだ。

 おれ固有こゆうエリアarea魔法まほうは、ソロsolo使つかうことに最適化さいてきかされていて、鍛錬たんれんかさねた現在げんざい戦闘力せんとうりょくは、一線いっせんえている。
 十二じゅうにさい当時とうじは、まだ魔法まほう威力いりょく全体ぜんたいてきとぼしく、範囲はんい魔法まほうもほとんど使つかものにならなかったが、いまちがう。

 何回なんかい何回なんかいいてきたゴーストghostも、さすがに全滅ぜんめつしたようで、ついにてこなくなった。
 足元あしもとには大量たいりょうゴーストghost欠片かけらちているので、それをすべてひろってあるいた。

 普通ふつう皮袋かわぶくろ一杯いっぱいになった。
 それを魔法袋まほうぶくろれる。

 この魔法袋まほうぶくろおれもとパーティーpartyメンバーmember全員ぜんいん装備そうびしている。
 容量ようりょう荷馬車にばしゃ一台いちだいぶんぐらいだが、ないよりはずっと快適かいてきなので、そういう装備そうび分配ぶんぱいには感謝かんしゃしておいてやろう。
 そこそこのお値段ねだんがする。冒険者ぼうけんしゃ自己じこへの投資とうし必須ひっすだ。

 そのあしでささくさとつぎまちへとかう。
 もとまちではまだドルボDorboたちが活動かつどうしているかもしれない。
 ドルボDorboたちかう王都おうととは逆方向ぎゃくほうこうへとすすんだ。

 一人ひとりあるくとドルボDorboたちよりばいはやい。
 まえときよりも、あっというに、クエステンQuestenまち到着とうちゃくしてしまった。
 国内こくないうえからかぞえてはち番目ばんめぐらいにおおきいまちだろう。

 冒険者ぼうけんしゃギルドguildく。

 自分じぶん受付嬢うけつけじょうはなしかけるのはけたいが、かといってだれかをつかまえるにはだれかにはなしかける必要ひつようがある。

 ギルドguildまえ露店ろてんつつ様子ようする。

 するとギルドguildからちょっとはなれたれてなさそうな露店ろてんみょうになった。
 店主てんしゅエルフelf金髪きんぱつ女性じょせい美少女びしょうじょっていいだろう。
 しかしふくがボロい。茶色ちゃいろいシャレッけのないクソやすミニminiワンピースone pieceだ。
 そのくせっているのは、くろ魔術まじゅつ使つか呪具じゅぐ一種いっしゅくろ水晶すいしょうアクセサリーaccessoryだった。

「おきゃくさん、ねえ、おきゃくさん」

「ん?」


 おれことらしい。たしかにおれくろ魔術まじゅつだから、こののものにくわしい。
 付近ふきん人物じんぶつおれ以外いがいきゃくだろう人物じんぶつえない。

くろ水晶すいしょうですよ? どうですか」

ってる。あ、ん?」


 しかしおれ見張みはる。
 くそボロい格好かっこう似合にあわない、かなりの高水準こうすいじゅんくろ水晶すいしょうなのだ。
 なのに値段ねだんがバカみたいにやすい。

 いや、店主てんしゅはバカだろう。どうても専門店せんもんてんならばい以上いじょう値段ねだんはする。

「おじょうさん、バカだろう」

「ひゃい?」


 エルフelf美少女びしょうじょは、びっくりしたのだろうまるくする。

「これ、やすすぎる。どうかんがえてもやすい。おかしい」

「え、そ、そうなんですか? はうぅ、すみません、よくからなくて」


 かおあかくして、およがすその表情ひょうじょうは、どこかあいらしい。
 正直じょうじきおれはびっくりした。おれはそれをかわいいとおもってしまったのだ。
 第三者だいさんしゃてき視点してんわすれていた。

「たとえやすすぎても、おきゃくさんがよろこんでくれれば、わたしもうれしいから、べつにいいんです……」


 そうって、微笑ほほえ美少女びしょうじょ

 おれは、ひとでこの少女しょうじょった。
 も、性格せいかくも――。

 いいなのだろう。近年きんねんめったにない、その邪気じゃきのない笑顔えがおはとてもまぶしくえる。

「ああ、おじょうさん、名前なまえは?」

「えっ、その、ラティアLatia、です」

ラティアLatiaじょう、いいか? これをって冒険者ぼうけんしゃギルドguildって換金かんきんしてきてほしい」

「はい? なんでわたしが……ってこれ、ゴーストghost欠片かけら、こんなにたくさん」

「そうだ。おれたおしてきた。こまかいことはくな、お使つかクエストquestだ。成功せいこうしたら一割いちわりやろう」

「いちわり、えっそんなにたくさん、いただけません」

「いや、いいんだ」


 おれゴーストghost欠片かけらふくろげ、ラティアLatiaじょうける。
 そのままり、彼女かのじょはなんとかって、ふらふらギルドguildなかはいっていく。

 もしまんいち、このまま金貨きんかまたはゴーストghost欠片かけらげされたら、それまでだが、おれがなかったことをうらむだけだ。
 おれすこ少女しょうじょ正直しょうじきさをためすようなことをさせて、罪悪感ざいあくかんかんじている。

 十数分じゅうすうふん任務にんむ無事ぶじ完遂かんすいしたのか、満面まんめんみでギルドguildからてきてスキップskipしておれいてくる。

「ちょっ」

「はいはい、おつかいクエストquestできました~」

くな、いいにおいがする!」

「いいにおいならいいじゃないですか」

「よくない、はなれろ」


 彼女かのじょがやっとはなれると、ふくろはいっている金貨きんかやませてくれる。
 そしておれ適当てきとうかぞえて、一割いちわり彼女かのじょわたす。

「えっ、ええっ、本当ほんとうにこれをわたしに? あたま大丈夫だいじょうぶですか?」

失礼しつれいな。約束やくそくしただろ。わすれたのか?」

約束やくそく……たしかにしましたけど、でも、あんなの。でもでも、ありがとうございます~」

「おい」

「すごく、うれしいです」


 エルフelfなのに尻尾しっぽをぶんぶんいぬ獣人じゅうじんかとおもった。
 こんなところも、かわいくおもう。
 おれもどうかしている。

 彼女かのじょいわく、これがラティアLatiaおれとの運命的うんめいてき出逢であいだった、らしい。

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