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[総ルビ]海老郎の短編集

3.幼馴染に「いつかこの手で殺してあげるからね」って言われた件(2000文字)
●タイトル
おさな馴染なじみに「いつかこのころしてあげるからね」ってわれたけん

●あらすじ
おさな馴染なじみに「いつかこのころしてあげるからね」とわれたおれ
しかし一向いっこうころされず、ずるずると同居どうきょ生活せいかつをして六ねんった。
おれたちは共依存きょういそんのような関係かんけいころされるほどにくまれているはずなのにおたがいを必要ひつようとしていた。
そんなあるおれ勇者ゆうしゃえらばれる。
そしてまたわれたのだ「いつかこのころしてあげるからね」。
その本意ほんいとは。

●本編
『いつか、このころしてあげるからね』

 ちいさいころ、いつだったか。
 クーレにわれたことがある。
 あれから何年なんねん経過けいかしたがまだクーレにころされる気配けはいはない。
 きっかけはなんだったか、おれ彼女かのじょ尻尾しっぽんだのだろう。
 もちろん精神せいしんてき意味いみであってヒューマンの彼女かのじょには尻尾しっぽえていない。
 いや、はだかのおしりたことがないので断言だんげんできないが。
 ころされそうになるほどおこらせた記憶きおくがないのも、よくわからない。

  ◇◇◇

 今日きょう冒険ぼうけんしゃ仕事しごとをしていえかえる。
 おさな馴染なじみのクーレと同居どうきょ生活せいかつをしていた。
 ころされる宣言せんげんがあったのに、仲良なかよくやっている。
 すくなくとも表面ひょうめんじょうは。
 クーレはおんなで十六さいおれおなどしだ。
 二人ふたり故郷こきょうむらてきてパーティーをんでいる。
 一緒いっしょいえりれば家賃やちん半分はんぶんむ。
 おれたちは一種いっしゅ相互そうご依存いぞんだった。
 おれには彼女かのじょ必要ひつようだし、彼女かのじょにもおれ必要ひつようなのだ。

『ドラン、男女だんじょ同居どうきょ? 同棲どうせいじゃねえのか、馬鹿ばかか?』

 こうわれることもよくある。
 むかしから一緒いっしょにいるのがたりまえすぎておれはよくわからなくなってしまった。

 たしかにきだとおもえばきだ。
 ただ彼女かのじょおなじようにおもっているかはわからない。
 男女だんじょ友情ゆうじょうはないというが、ったことではないし。

「ドラン、ゆうはんはオークの焼肉やきにくでいい?」
「ああ、いいよ、さんきゅ、クーレ」
「ううん、一緒いっしょにやれば一人ひとりぶん二人ふたりぶんちがわないし」
「そ、そっか」

 こうして美味うまいごはんべてる。
 オークはクエストのついでにってきたもので、調達ちょうたつ容易よういなのでよくくちにする。
 昼間ひるまのクエストでつかれているからだよるにはぐっすりだ。

 毎日まいにちおなじように冒険ぼうけんしゃギルドのクエストをこなす。
 ころすとまでわれたおれがなぜ彼女かのじょ愛想あいそかされないのか、それだけはなぞだ。

 そんなある、おれがた。

冒険ぼうけんしゃドランを勇者ゆうしゃ認定にんていする。聖女せいじょ賢者けんじゃ魔法まほう使つかい、ポーターをれて魔王まおう退治たいじかうように】

 そこにはクーレのはなかった。
 おれはそれを一緒いっしょれてはいけないと解釈かいしゃくした。
 足手あしでまといとまではいわないが、クーレはおれのサポートがメインで、戦闘せんとうにはあまりいていない。

「ドラン、っていていかないで!!」
「クーレを危険きけんさらすわけにはいかないよ」
いままでずっとパートナーだったじゃない」
「まぁそうだけど、そのように命令めいれいけていないし」
れてってはいけないともいてないわ」

 クーレのうことももっともだけど。

相手あいて魔王まおうだ。ぬかもしれない。れていけない」
「そんな……」
おれのこところしたいんだろ。ちょうどいい」

 バチン。

 クーレからビンタンがんできた。
 おれ唖然あぜんとした。よくわからない。
 つぎ瞬間しゅんかんにはクーレがなみだをポロポロこぼしておれきついてくる。
 ちょっとおんなあまにおいがしておれ場違ばちがいにもドキドキしていた。

ちがうの! 全然ぜんぜんなんにもわかってない!」
「なんだ、んでほしいほどにくんでるんじゃ」
「バカわないでよ。ドランのアホ、マヌケ」

 ポコポコとむねたたいてくるがもちろんよろいおれにはいたくもない。

「もう一かいうわよ」
「あ、ああ」
「いつか、このころしてあげるからね、絶対ぜったいだよ」
「お、おう」

 どこにその殺意さついがあるのかわからない。
 彼女かのじょかおはまるでこいする乙女おとめみたいにだった。

わたしころすの。だれにもころさせないんだから」

 あ、ああ、そういう意味いみなのか。
 つまり、わたしのモノってことか。
 あれ、それってどっちかというとあい告白こくはくみたいだな。

 そこでフラッシュバックする。

 九さい二人ふたりむら冒険ぼうけんしゃ見習みならいをしてすこししたころだ。
 おれ油断ゆだんからデビル・スパイダーの神経しんけいどくにやられ、うごけなくなりくずちた。
 おれたちのまえにはデビル・スパイダーがべようとにじりってる。

「クーレ、に、げろ」

 もちろん足手あしでまといのおれえさとしていていくしかない。
 絶体絶命ぜったいぜつめいのピンチだか、クーレ一人ひとりならげられる。

「やだ! 絶対ぜったいげないもん」
おれはもう無理むりだ、クーレ」

 果敢かかんにもクーレはスパイダーにいどみ、八ほんあるあしからの攻撃こうげきをギリギリでさばいていた。
 しかしてる見込みこみはほぼない。

「ドランはわたしのなの! だれにもわたさない!」

 ボロボロになりながらクーレは一人ひとり必死ひっしたたかつづけた。
 ついにスパイダーが根負こんまけし、げていく。
 おれどくおかされ意識朦朧いしきもうろうとしていた。

「いつか、このころしてあげるからね」

 そうっておれにキスをした。
 クーレにきずられてむらまでもどり、二人ふたり一命いちめいめた。

 なんでわすれていたんだろう。
 あのときから、クーレはおれことをずっとおもつづけていたんだ。
 そっけないりをして、ずっとおれいてくれるのを。
 それでむらからてくるときもくっついてきたし、ずっとそばに一番いちばんちかくにいてくれた。

おれが、おれがバカでした、クーレ、あいしてる」
「ちょっと、ドラン、バカ、ほんと、バカよ」
「うん」
「ずっと、ってたんだから……」
「そうだな、もうはなさない。一緒いっしょってくれるか?」
「もちろん」
魔王まおう退治たいじだぞ」
ぬときは一緒いっしょにだからね。わたしがドランにトドメをしてあげる」
「そんときたのむよ」
「うん」

 こうしておれたちは聖女せいじょおんな賢者けんじゃおんな魔法まほう使つかい、おんなポーター全員ぜんいんしろなか、ラブラブで旅立たびだった。

「なんでみんなおんな、それも少女しょうじょばっかりあつめたのよ、このロクデナシ」
「いや、おれえらんだわけじゃないし」
わたしのものなの! だれにもドランをころさせないんだからね!」
仲間なかまだろ。なんでころしにかってくるんだよ。それはおまえだけだ」
「やっやっぱり、わたしだけなんだ、うれしい」

 魔王まおう退治たいじ前途ぜんと多難たなんだ。
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