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VRあるあるあるき

020.生産活動
 いくつか魔法の話に補足が必要だろう。
 まず、強力な魔法を覚えて使うには、それの元になる魔法を要求レベルまで上げておかなければならない。
 このように、スペルの前提条件がある場合がある。
 一般的には「スキルツリー」という。
 このゲームの場合「スペルツリー」が正しいが、スキルにも似たような状況があるので同一視されている。

 最強魔法を覚えたら、それを石ころに定着させて、量産してもらえば、全員が最強魔法使いになれてしまう。
 そういうわけにいかないので、石にもランクがある。
 ただの石。小さい魔石、中、大。宝石類。そして宝石魔石だ。
 コストが高い魔法はもちろん要求されるにえも多いということだ。
 そして込める魔力量も多いらしい。
 あと魔力を回復させる魔法があるようだ。
 それはMPポーションのように使われてるらしい。
 ただ回復される魔力より消費する魔力のほうが多いので、効率は悪いがMPの譲渡とかで使うらしい。
 永久機関にはならないそうだ。
 今、分かっていてWIKIにある情報はこれぐらいだ。
 ないより有難いWIKI君。

 魔法のスクロールはなんだか思ったより高かったので諦めた。

 リカバリーは自分に直接使えない。
 石に込めりゃ使えるが、2倍はMPを消費するので効率が悪い。
 魔石にも込められるけど、こちらは魔石が高い。
 結局、普通のポーションが一番いい。
 込めるのがヒールとかになれば別かもしれない。
 ヒールも範囲だと、敵まで回復するんだろうな。
 ではリカバリーが無能スキルかと言うと、もちろんそんなことなく、ペアとか他人がいればお互いが使えば問題はほとんどない。
 ソロはお断りスキルということだった。
 どうしても使いたいなら、石を拾って2倍の燃費でちまちま使うことになる。

 まぁこの辺の話はゲーム固有の話であるあるではないので、どうでもいいかもしれない。
 ただ、生産品、魔術石のようなものがバランスブレイカーにならないように開発と運営は細心の注意を払ったバランス調整をしないといけないということは分かると思う。
 その辺はどのゲームでも同じことで、ポーションが生産オンリーで材料の入手性に問題があると生産コストが上がって戦闘ダメージリスクが上がって、生産有利になる。
 逆に店売りが高性能ポーションだと、誰もポーションの生産なんてしないで、「生産が死んでる」と言われる。
 死んでるのはあるあるだった。
 何故か最初は生産が盛んだったのに、のちに安価な店売りポーションが登場して、生産プレイヤーたちを混乱の渦に巻き込んだりするゲーム運営までいる。

 ソロで面倒なら、ポーションを買うもしくは、魔術石の状態で買う。

 ということは魔術石を作るそして売るのは、生産活動ということになる。
 薬草面倒組には朗報かもしれない。
 ただ、回復効率とか、薬草でも飲むとちょっと美味しいとか、リフレッシュするとか好みもある。

 俺は両方試してみた結果はですね。

「うーん。俺はどっちでもいいかな」

「そうですか? じゃあ、魔術石ぶつけるタイプにします?」

「それは止めて。たぶん痛いから」

「そうですか」

「なんでちょっと残念そうなの!」

「いや別に、知的好奇心があっただけです」

「そうなんだ」

 天使オムイさんがちょっとサドっけがあるみたいで、悲しい。
 決して俺はいじられキャラにはなりたくない。
 だってどんな反応したらいいか、分からないんだ。
 これでもコミュ障なの忘れないように。たまに言い訳しておく。
 そうそう、ポーションを使ったのは、イノシシに突撃をもろに喰らったからだ。
 情けないが事実だった。
 こちらも言い訳をするなら、VRは人間の脳で考えたスピードでしか、仮想の体だって動かせないという、基本事項だ。
 どんなに体だけ高速で動いたところで意味なんてほとんどない。
 いわゆる体がついていかない運動会のお父さん状態の逆パターンで、こけるのが関の山だ。
 ゲーム内だけ高速移動とか、幻想に過ぎない。

 だから思考スピードが重要だという先人たちの考察は理に適っていると思う。
 ただ、本当の肉体がついていかないほどの思考スピードの人は悲しいがな、ほとんどいないわけで。

 とにかく、次に移動する。

「ブタ肉は串焼き屋さんに出したいので他のものを売って資金にするか生産で稼げるなら何かしてみようか」

「何ができそうですか? 薬草余ってますね。あとはタカシさんが石を余らせてます。他にはイノシシの毛皮くらいですか。それと魔石が8個ですね」

「うん。ポーションはビンがいるらしい。石にリカバリーでも掛けるかな」

「私もやりたいです。石ください」

「いいよ」

 俺は石を10個あまりオムイさんに渡す。

「んー。リカバリー」

 オムイさんが魔法を唱えると石に光が集まって準魔石になり、紫系統の不思議な色を帯びるように変化した。

「やった。できましたよ」

「うんうん。どんどんやってみよう」

「はーい」

 オムイさんは道端で立ち止まって集中しだす。
 あっという間に10個のリカバリー準魔術石を作った。

 俺もそれを見ながら10個の準魔術石を作った。
 MPはほぼ空になったのでもう作成できない。
 自然回復はするけど、あまり回復速度はよくなかった。

「さっそく売りに行こうか。気に止めなかったけど専門露店があった気がするから、あっちだね」

「はい」

 復活ポーションが売っていた露店の近くに確か魔術石を並べていた露店があるはずだ。

 歩いていくと、紫とか青とかの石を並べている露店に到着した。

「いらっしゃい、魔術石専門店です」

「リカバリーレベル1の準魔術石なんだけど、買い取りしてくれます?」

「あー。買い取りはできますけど、安いですよ。1つ300ラリルでよければ、買いますよ」

 なるほど確かに安い。
 ポーションは確か1.5kラリルだった。

「ちなみに回復量的にはどうなの?」

「ポーション小の4分の1ぐらいですね。売値は400ラリルです」

「そうなんだ」

「まあいいや。10個お願いします」

 俺はアイテムボックスから10個全部、売り払った。
 4kラリルにしかならないが、最初の第一歩だ。
 残金27.6k。
 あんまり儲からなかった。

 ちなみにポーション小は俺のHPを4分の3ぐらい回復するので、石のほうは5分の1ぐらいの回復量になる。
 一回の回復量が少ないと、ピンチの時に死にそうになることもあるので注意が必要だ。
 石はおそらく町の人が絆創膏ばんそうこうみたいな気持ちで買っていくと思われる。

「生産施設に行ってみるか。生産ギルドだね」

「生産もなんだかワクワクしますね。お肉自分で焼いてもいいですね」

「あっそうだね。売るつもりだったけど火があれば俺たちでも焼けるか」

「はい」

 俺たちは生産ギルドに向かった。

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