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謎スキル【キンダーガーデン】のせいで辺境伯家を廃嫡されましたが、追放先で最強国家を築くので平気です。
第9話 幼児から児童
「エリンダどうしてくれるのじゃ、これではお嫁に行けぬではないか‼」
「私に言われましても……って、あ! すいませんでした! どうかご容赦のほどを」
「ええい、言い訳なんてよいわ! そんなことより、わらわの貞操をどうしてくれるのじゃ‼」
自分の裸体を見られたと、シーツにくるまって泣きじゃくるマナ。エリンダは何も悪くないと思うのだが……? そして、俺も悪くないよな。よく見えなかったし。
「で、ですがここにおられる殿方はジーク様おひとり。ならば問題は何もないかと」
「言われてみれば……そ、そうじゃった。はじめて気づいたわ! ならばジーク殿に責任を取ってもらえれば、万事解決じゃ」
「え?」
キョトンとする俺に十歳くらいに育ったマナが大きく胸をそらした。
絶対にはじめて気づいたわけないだろ!
「じゃから、要するにの。そ、その……ええい、エリンダ頼む!」
「は、はい。ですから要するに……ジーク様が責任をとられてマナカ様とご結婚していただければ、万事うまく収まるかと」
「その通りじゃ!」
「は、はああ~?!」
「やはり、わらわの伴侶は、大陸を統べる王こそふさわしいの。これまで八百年間、貞操を守り通してきたかいがあったというものじゃ!」
「ち、ちょっと待て! なんでちょっと裸を見せられただけで責任とって結婚させられるんだよ!」
「うむ……それもそうか」
「?」
「ならば仕方あるまい。これでどうじゃ」
マナはそう言うと俺の前ではらりとシーツを落としたのだった。
◇◇◇
「マナカ様! そんなことなさるから、いつも殿方に逃げられるのです! いい加減ご自重ください!」
「そう、大声でしかり付けなくともよいではないか」
「……早く両手を上げてください」
「う、うむ……」
マナカは、エリンダに叱られながら素直にばんざいして着替えをしてもらっている。まったくよそでやって欲しいものである。
なんで俺の方が、気をつかって背を向けなきゃならんのだ。
「そうは言うが……ジーク殿も、わらわの早熟チェリーやもぎたてピーチをガン見しておられたぞ。ひょっとして、これくらい青い方が趣味なのかも知れんの」
「そんな趣味なんてしてるか! しかもガン見なんてしてないし!」
幼女趣味か、はたまた熟女趣味か知らんが、とにかく自分にはそんな趣味はない。言うに事欠いて、何てこと言うんだ。
そして俺はいつの間にか、マナにため口になっていたのだった。
「そんなことより、なんで幼児が児童になったのか説明してくれ」
「ふむ……。よしジーク殿、着替えも終わったしこっちを向いてもよいぞ」
ミニスカートにブレザーという幼児服に着替えたマナは、もったいぶるように腕を組むと、目を閉じて人差し指でこめかみを軽く押さえた。
「わらわが日々幼児化していくのを、ジーク殿の魔力を使って止めたのじゃ。しかも有り余る魔力のおかげで少し元に戻っておる」
「そんなことって……」
「これからジーク殿が毎日なでなでぽんぽんしてくれれば、わらわはすぐにでも元の姿にに戻れるやも知れん」
「本当なのか?!」
「もちろんじゃ。このまま行けば、二、三日中には、「ぼん、きゅっ、ぼん」のわらわ本来の姿に戻るから楽しみにしてくれい。……もっともそのときには、わらわはジーク殿に襲われておるやも知れん。貞操の危機かも。わらわはどうしたらよいかの」
「襲う訳ないだろうが!」
「うふふ……。そんな強がりを言えるのも今のうちじゃ。いいのか、そんなことを言っても。大人の魅力たっぷりのわらわを見て後悔しても知らんぞ」
「マナカ様……はあ~」
あきれたようにため息をつくエリンダを尻目に、マナは自信たっぷりにウインクしてくるのだが……。
「わーん‼ これは悪夢じゃ、何かの間違いなのじゃ~‼」
翌日、マナはすっかり元の幼児の姿に戻っていたのだった。
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