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【むにゅ】なぜかスキル招霊で無双する事になったんだが!?

第一話 スキル土方歳三ッ
『グオオオオオオオオッ』

 ウルムの街をぐるっと取り囲む城壁の向こうから、人ではないモンスターの声がする。

「大変だっ! ドラゴンだ! グリーンドラゴンが現れたぞっ! 真っすぐにこの街へ向かっているっ!」
「急げっ、冒険者ギルドへ知らせるんだッ!」
あおいだっ! 冒険者の碧を呼ぶんだ!」

 街の人たちが右往左往する中、一人の人物がドラゴンへ向かって行った。

 マッシュにカットされた黒髪をなびかせ、青い服に茶色のズボン、腰には日本刀を下げている。
 目は三白眼で鼻は低く唇は薄い。
 やや丸顔であるため童顔に見えるが、年齢は二十ぐらいだろうか?

「碧だっ、碧がドラゴンへ向かったぞ!」

 誰かが碧と呼ばれた青年を指さして叫ぶと、街は落ち着きを取り戻し始めた。

「碧くんが行けばもう大丈夫だ!」
「バカヤロウ、碧さんだろうが! さんをつけろよデコスケ野郎ッ」

 碧と呼ばれる青年を、くん付けで呼んだ冒険者が叱られた。

「あ~お~い!」
「あ~お~い!」
「あ~お~い!」

 突如起こった碧コールの中、碧は進む。
 ウルムの街から出た所で、ドラゴンと碧が対峙した。

「スキル招霊ッ! 土方歳三ッ」

 碧が叫ぶと天から何かが降りて来て碧に憑依する。
 同時に碧の思考が鋭くなった。

「碧殿、今度の敵はアレですか?」

 呼ばれた霊である土方の声が碧の頭に響いた。

「ああ、グリーンドラゴンだ。あれをどうにかしないと街がやられる」
「なんと……蝦夷地でもあのような怪物は見たことが無いです」

 土方の声には若干の期待感があった。

「これは斬りごたえがありそうですなぁ!」
「いくよっ土方さんっ!」
「了解です、碧殿っ!」

 ドラゴンの首が大きく持ち上げられ、口が大きく開かれる。
 すると頭が勢いをつけて碧に迫って来た!
 ドラゴンは噛みつく気である。

「今でござる碧殿」
「はいっ、土方さんっ!」

 碧の体から青いオーラが放たれる。

「居合・竜頭斬首ッ!」
「居合・竜頭斬首ッ!」

 碧と土方の声が脳内で重なり、腰に下げた日本刀を抜き放つ。

 居合一閃!

『シャキーーーーーン!』

 刀から居合が放たれた。
 ドラゴンの頭が斜めにゆっくりとズレ始める。

『ブシャーーーーーーーッ!』

 ドラゴンの頭から血が噴き出す。

「ギャオオオオオオオオン!」

 ドラゴンの断末魔の叫びだ。

『ズシーーーーーーーーーンッ!』

 頭を斜めに真っ二つにされたドラゴンは、その場で動きを止めた。



「うおおおおおおおおおっ、ドラゴン討伐おめでとうっ」
「ありがとう、ありがとう! 碧さんはウルムの救世主だ!」
「返り血を浴びていますよ! さあ、このタオルで顔を拭いて!」

 ウルムの街はお祭り騒ぎだ。

 とりあえず碧は風呂に入れてもらう事にした。

 風呂に入っている間に洗濯もしてもらっている。

 その時である。
 誰かが風呂に入ってきた。

「受付嬢のアンです……お背中……お流しします……」
「えっ、ええ!?」
「あっ、あの、薬草をお持ちしましたので塗らせていただきます。どこか痛い所はありませんか?」

 アンは碧の後ろでモジモジしながら言うと風呂場へ入ってきた。

 その時である。
 『つるっ』と滑る音がする。

「きゃっ」

 むにゅっ!
 アンはそのまま碧の背中にダイブする形になる。

「きゃっ、滑ってしまいました」
「あっ……はははは」

 その後碧は前かがみになって、薬草で背中を洗ってもらった。
 お互いに横を向いて洗っていたので効率が悪い。

「こっ、これで失礼します……」
「ああ、うん、ありがとう」

 碧はお湯の水面に彼女の姿が映っていたのは、内緒にしておく事にした。



「私はここで失礼します。今日も面白いモノが斬れて楽しかったですよ」
「土方さんいつもすみません」

 土方はすうっと天へ還って行った。

「さて、僕もお祭りに参加しようかな」

 風呂から上がり、着替えを終えた碧はパーティーの輪の中へ入って行った。

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