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🌎惑星の王👑~そのうちデッカイ星🌠を買ってやる~
第5話 初めての配信
僕たちはアイス小惑星🌠のプレハブに入る。
ハッチを閉じると、室内から抜けてしまった分の空気を、プシューと新しく加えてくれる。
宇宙だとドアの開け閉めするだけで、空気が抜けちゃうんだよね。
開けっ放し注意だ!
それから二人で宇宙服を脱いだ。
二人とも前の職場の作業着なのがお笑いだが、これが宇宙服を着る時に便利だった。
僕の好きなパーカーを着ると、宇宙服を着る時に引っかかっちゃうんだよね!
「それじゃガイくん、さっそくマイチューブに投稿しよう!」
「あれか! 宇宙で一番デカい動画投稿サイトだな!」
「とりあえずスマホのカメラでいいかな? 百日アイス生活用に、新しくアカウント作るよ」
「じゃ、俺はメシでも作るぜ! レプリケーターもあるしな! げげっ、このレプリケーターの動力は俺らのアイス惑星になってるぜ……」
レプリケーターとは、エネルギーを物質に変換する技術を用いて、ユーザーが注文した物品を生成する装置だ。
いろいろな物を作ることができるが、主に食べ物を作る事が多い。
「えっ、それってガイくん、食べ物を作るだけでも、アイスが減っちゃうじゃない……」
「そうかと言って、食べないわけにもいかないしな……」
結局、二人で安く作れる袋ラーメンを食べる。
惑星の王になっても食べるものは変わらなかったのである……
◆
数十分後、僕たちはスマホのカメラを回し始めた。
「やっほー、僕たちはスペース地所と言うところのCMに騙されて、百日で消えるアイス小惑星を買っちゃいました……」
「みんな騙されないように気をつけようぜ!」
ガイくんがスマホを持って撮影してくれている。
合いの手もちゃんと入れてくれるイイやつだ。
「このアイス小惑星は百日で消えちゃいます!」
僕が窓の外に手を広げると、ガイくんがスマホを窓の外へ向ける。
そこには、氷一面の非常に寒々とした風景が広がっていた。
「レプリケーターで食事を作っても、アイス小惑星が小さくなっちゃうんです! みんなひどいと思ったら、投げ銭とか食料支援とかお願いしまーすっ!」
「よろしく頼むぜ!」
その時、画面にコメントが流れた。
撮影はスマホでしているのだが、ガイくんがコメントをテレビ📺に転送しておいてくれた。
――こちら🌎地球政府広報です! 配信者の方はあの電波ジャック事件で、ニセの詐欺CMを見て惑星を購入されたようですね。
「コメントありがとうございますっ! えっ、🌎地球政府広報さんって本当ですか? やっぱり詐欺だったんですね!」
僕がコメントに反応する。
すると、今まで黙っていたリスナーたちが一斉に反応する。
――おいおい、詐欺に引っかかってるってよ、笑える~
――おまえ、詐欺引っかかったやつ笑うなよ。
――レプリケーター使うのも命がけって本当ですか? ラーメンで良かったら送りますよ!
――🌎地球政府広報です。とりあえず、緊急支援物資を送りたいと思います! 補填や補償はまた後で検討します!
僕とガイくんは、リスナーのみんなの思わぬ反応に、思わず涙ぐんだ。
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