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文芸部でも恋がしたいし異世界小説も書きたいから両方する!!

第6話R5「地図と年表と通貨」
 俺が異世界小説の仮1話を書き上げたころ、ドアが開く。

 ガラガラ。

「ただいま、まだカンちゃんいる? んふふん」

「お、おう、おかえり」

 思ったよりはなぜかヒナコはご機嫌な様子で戻ってきた。
 トイレですっきり出したのだろうか、などとちょっと下品なことを考えてしまったが、さすがに口には出さない。

「よく考えたら朴念仁のカンちゃんに他に女の子がいるわけなかったよね。私の早とちりだったわ」
「だろう」
「うん、うん。それで小説進んだ?」
「ああ、一応」

 こうして1話目を見せる。

「スキルじゃなくてギフトにしたんだ」
「ああ、一応神様からもらったものということにしたので」
「そっか」

 ギフトというと生まれたときに得たものという考えもあるけれど、授かりものという意味では同じはずだ。
 もしくは生まれたときにはすでに授かっていて、確認するのが10歳という考え方もある。

「当たり前だけど、主人公とヒロインの名前も決まってるね」
「ああ、俺は適当に決める派なんで」
「私もそうかな」
「神話系とかの人もいるけど、調べるのが面倒で」
「あはは」

 仮なので名前なんかは後で変えても別に困らないので、今はこれでいい。

「名前といえば、まだ町とか国とかの名前は出てきてないね」
「そうだな、決めてなかったからという理由が強い」
「そっか。でも名前がないのも変なんだよね」
「うん。決めるか」
「うんっ!」

 さて地図、国と都市、それから簡単な年表を作ろう。

 今回はインスピレーションで適当に決める。
 ただし語尾っぽい部分はそれっぽくする。

 ・エルフリア王国
  王都エルフダリード
  地方都市ハドリントン
  初心者迷宮都市メルベルン
 ・スノウランド王国
 ・ドリエスタン共和国
  首都ドリエリード
  中級迷宮都市アベリスタン
  港町ソファリア
 ・宗教国家リンデンベルグ
 ・アリシリア帝国
  帝都アリステル
  上級迷宮都市ロリリバート
 ・砂漠国家ドクリル王国
  交易都市エリアル
  オアシス村アステル
  オアシス町オドリル
 ・魔王国グーダーバーグ

 主人公がいるのはエルフリア王国、地方都市バドリントンだ。
 マウスを駆使して、簡易地図も作ってみる。

 年表はぶっちゃけなくてもそれほど困らない気がする。
 ただ、いつくらいから国が続いていて、どれくらい平和などかとかはあったほうがいいと思う。

 10000年前 世界創生
 2000年前 宗教国家リンデンベルグ建国、以降独立を守る
 ランドリル暦1年 ランドリル帝国、リンデンベルグを除く人類領統一
 ランドリル暦320年 ランドリル帝国崩壊
 ランドリル暦321年 エルフリア、ドリエスタン、アリシリア建国
 ランドリル暦436年 スノウランド、アリシリアから独立
 ランドリル暦441年 ドクリル、アリシリアから独立
 ランドリル暦450年 ミクアリシア、アリシリアから独立
 ランドリル暦520年 ミクアリシア、アリシリアに併合
 ランドリル暦723年 ドリエスタン王国、共和制に移行
 ランドリル暦980年 現在

 創生神アリストリア。
 世界で信仰されている主神。

 世界創生の年は、聖書の中の年であって、実際に土地とか惑星ができた年とは異なるということにしよう。

 宗教は神様から3文字とってアリス教と呼ばれている。

 そうそう日曜日という曜日を出してしまったので曜日と暦を決めないといけない。

 1年は365日。
 1年は12か月。
 1月は30または31日くらい。
 季節はエルフリアでは普通に春、夏、秋、冬。
 1週間は火、水、土、風、氷、雷、日の7日間。

 曜日だけちょっと違うけど、あとはそのまんまにしよう。

 時刻はそのままでいいや。

 朝6時、朝9時、昼12時、午後15時、夜18時に教会で鐘が鳴る。
 それぞれ3回ずつ。
 朝6時を1の鐘といい夜18時を5の鐘ということにする。

 月、衛星は2つ。
 白月、ホワイトムーン。
 それから小さい赤月、ブラッドムーン。
 白月は約30日、赤月は約10日で1周する。

「ところでカンちゃん」
「なんだ、改まって、ヒナコ」

 なんかヒナコが期待の籠ったような目で、俺を見つめてくる。
 口元は笑顔だ。

「ヒロインってピンク髪なんだね」
「あ、ああ、俺の中ではヒロインはピンクという先入観というか固定観念があってな」
「ふ~~ん♪」
「ああ、こればかりはヒナコの影響だな。素直に認めざるを得ない」
「ヒロインはピンク髪なんだね、ふーん」

 ニコニコして俺の周りをくるくる回っている。
 ちょっと邪魔だが、浮かれている分には悪いことをするわけではないので、放っておこう。
 そのうち元に戻るだろう。

 本日の部活終了までまだ少し時間が残ってるな。

「他に決めなければならないことは、今のうちに決めておくか」
「うん。そうだね。例えば通貨とか」
「あぁ通貨な。ゼニーとかでもいいけど、銭よりはペニーとかのほうがいいかな」
「ルピーとかもあるよね」
「ああ、できれば現実では使われていない単位にしたい」
「そっか」

 ペニーはイギリスとアメリカ、ルピーはインドとかで使われているはず。

「ゴールドもまんまだし、ゴールドを通貨名にすると、銅貨1枚1ゴールドとかにするとおかしくなってしまう」
「そういわれると、そうだね、さすがカンちゃん」
「銅貨1枚、0.001ゴールドとかも面倒くさい」
「うん、そうだね。小数点とか異世界の人がバリバリ使ってたらびっくりする」
「だろうな」

 適当でいいが、その適当が意外と面倒くさい。
 音のインスピレーションだけでいいんだけどな。
 一応、ネタ元として、神様は不思議の国のアリスだ。

「そうだな、あとは元統一国家がランドリルなので『ランド』とか『リル』とかどうだろう」
「あぁ、うん、いいかも。リルとかちょっとかわいいし」
「そうだな」

 俺は通貨をかわいいと思うことはないが、女の子の感覚ではそうなのかもしれない。

「んじゃリルで」
「はいはい」

「貨幣制度はどうしようかな? 金銀銅、プラチナ、ミスリル、鉄、銭貨、紙幣、ギルドカードによるポイント制とかできるけど」
「普通に金銀銅、プラチナ、ミスリルくらいでよくない、カンちゃん?」
「そうだね、じゃあ、とりあえず序盤の舞台になるエルフリアではそうしよう」
「うん。序盤は?」
「そそ。後のほうになる帝国編あたりでは大金とかが飛び交うぐらいにインフレしちゃうかもしれないから、そのときはまた考える」
「そっか、そうなんだよね。この手の話ってすぐインフレしちゃうよね。通貨も、能力値とかも」
「そそ」

 ということで銅貨からスタートだ。

「銅貨一枚10円。パン銅貨10枚100円ぐらいでいいかな」
「うん、私そういうのよくわからないから、いつも適当に書いてる」
「ああ、それがたぶん正解だ。厳密にしようとすればするほど、難しいし、矛盾が出てくるから、数値をうまく誤魔化して書いていくのも、作者の能力といえる」
「へぇ」
「ああ、なんでもはっきりさせればいいというわけではない」
「そうなんだね」
「一応ね。まあ、作者の能力が高いならその限りではない、とは注釈しておこう」
「あはは、うちの学校でそんなこと言ってもしょうがないね」
「そういうこと」

 俺たちは先輩に挨拶をして、二人で帰宅した。

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