設定を選択してください。

文芸部でも恋がしたいし異世界小説も書きたいから両方する!!

第3話R3「プロット1冒険者モノ」
 さて新作の目標は長編とされる10万文字だ。
 10万文字以下は読まない、という意見の人もいると聞く。

 題材は決まっている。異世界ファンタジー小説だ。

 異世界といっても、和風、中華風というのもあるが、難易度が高いので、当然として俺は無難な西洋風とする。

「なあ。勇者モノ、冒険者モノ、商人モノ、魔王モノ、どれがいいと思う? ヒナちゃん」
「ふぇ? 今、ヒナちゃんって」
「ああ、悪い。ヒナコ、どれがいいと思う?」
「別に悪くないよ、昔みたいで、えへへ」
「お、おう」

 俺はヒナコを昔は「ヒナちゃん」と呼んでいた。
 つい口から出てしまったが、今この呼び方をするのは若干恥ずかしい。

 ヒナコはまんざらでなさそうに、にへらとしている。
 まあ嫌でなければいいんだ。うん。

「そうだなぁ、私は冒険者モノかなぁ。勇者モノはアカがついてるというか、今更感が強いし、魔王系よりは勇者か冒険者のほうが好きかなぁ。商人モノでもいいけど、なんの商人にするか考えないといけないし」
「ほむ」

 冒険者モノか。

 無難な選択だな。
 無難ではあるが、勇者モノが魔王討伐という目標があるのに対して、設定目標を作りにくく、エタりやすいという問題があると思う。
 冒険者登録をして成長して、各地を転々としたり、ダンジョンを踏破したり、その延長線上に魔王討伐が含まれることもあるが、ここが最終目標ではなかったりするので、そうすると、目標を見失いやすい。

「ちなみにヒナコはプロットは書くほうだっけ?」
「え、私? 私は、頭の中で組み立てて、ぱぱぱって書くタイプだよ」
「お、おう、そうなのか。それで10万文字とか書けるのか?」
「うんっ」
「す、すごいな」

 俺にはちょっとまねできそうもない。
 ノープランで今まで10万文字を超えて完結、書き切ったことがないのだ。

「俺はプロットないとダメ派なんだ」
「そうなんだ。カンちゃんは前からしっかりしてたもんね」
「まあ、しっかりしているといえば聞こえはいいけどね。途中で筆が進まなくなったことも何度もあるから」
「そうなんだ、へぇ」

 関心があるのか、ないのか。

 とにかく長編を書き上げるなら、ラストまでの道筋は決めておきたい。
 それを「プロット」と呼ぶんだろう。
 商業作品ではないので出版社の編集へ出す企画書とかはないけれど、主要なイベントを網羅したプロットは欲しい。

「よし、じゃあプロットを作っていくぞ」
「お、おう!?」

 ヒナコが掛け声をかけてくれたけど、途中で疑問符になっていた。

 異世界小説にはテンプレといわれるセオリーがある。
 しかし明確なテンプレ、イベントは序盤に集中していて、途中から指標がほとんどなくなる。
 ノープランでいくと、詰みやすいのはこういう理由もある。

「転生転移ものにするの?」
「んー、どうしようかな、今回は別にもとから無理だけどランキング1位狙いとかでもないし、転生ものにするか」
「うん」
「昔も転生転移ものを書いたことがあるんだけど、鳴かず飛ばずでさ、再チャレンジしたい」

 さて異世界転生ものと決まった。
 いや転生かはまだ決まっていないが、仮に転生にしよう。

 もう現代では転生前と転生シーンは3行でいい、とすら言われているので、そこは省略しよう。

 さてプロットを積んでいこう。

 ・転生する
 ・冒険者登録
 ・薬草採取
 ・はじめての戦闘、ゴブリン
 ・コボルト戦
 ・初心者ダンジョン踏破
 ・中級ダンジョン踏破
 ・上級ダンジョン踏破

 めちゃくちゃ何も考えないで並べてみたが、これだけでは面白みは感じられない。
 各1行につき1万文字だとしても、内容も足りないし。

 具体的な内容を決めるには主人公の能力を設定しないとダメだろう。

「主人公の特殊能力、いわゆるチートを決めないといかん」
「チートってないとだめなの?」
「いやあ、なくてもいいけど、攻撃能力なんかは決めておくと何かと作者には都合がいいと思うよ」
「ほーん。別に剣も魔法も強い! 最強! じゃだめなのかな?」
「うーん。いいかもしれないけど、特徴がないと、読者に刺さりにくいんじゃないかな」
「読者に刺さりにくい……」
「う、うん。メタ的な理由だけど、実質的にはそうだから」
「そっか」

 ヒナコはちょっと複雑そうな顔をして、考えていた。
 まあ、何でもできます、剣でバババン。魔法でバババンでは、花がないというか、決め台詞がかっこいいように、やはり特徴ある主人公はなんとなく受けがいい。

「そういえば主人公はどうするの? 男の子? それとも幼女?」
「幼女の魅力はうん、分かるんだけど、今回は男主人公にしようと思う」
「そっか」
「小説投稿サイトでは令嬢モノそれも短編が猛威を振るっているけど、ここはを通したい」
「ウケる選択を選ぶのかと思ってたよ」
「特に理由がなければそうするけど、自分が譲れないところは、自分の選択をしていいと思うよ」
「そうだよね」
「うん」

 読者に今すぐ受けるというのなら、異世界モノの中でも「悪役令嬢」が最適だろう。
 しかし、俺は一応男で、あまり悪役令嬢モノを読み書きしたことがないので、経験値が圧倒的に足りない。
 自分のテリトリーである異世界冒険モノで行こうと思う。

次の話を表示


トップページに戻る この作品ページに戻る


このお話にはまだ感想がありません。

感想を書くためにはログインが必要です。


感想を読む

Share on Twitter X(Twitter)で共有する