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文芸部でも恋がしたいし異世界小説も書きたいから両方する!!
第15話R9「新入部員」
放課後になった。
ヒスイちゃんは俺の隣で必然的に同じ班なので、一緒に掃除をする。
俺たちは教室の廊下掃除だった。
ささっと終わらせて、さあ、部活の時間だ。
「ここが特別教室棟。昔はここも教室だったけど、生徒数が減ってるから」
「なるほどです」
興味深そうに教室の列を眺めている。
この教室を前後に分割した半分が、我が文芸部になっている。
「失礼します」
「どーぞ」
相変わらずエリナ先輩が先にいる。
先輩は美人系だ。
俺はどちらかといえば、かわいい系が好みなので、先輩はヒロインの範囲には入っていない。
そんな先輩でもたまにゾクッとするほど女の子っぽい仕草とかするときがあるので、けっして侮ってはいけない。
「あら、新しい子? カンちゃんが彼女以外の女の子連れてくるなんて、天気は雨かしら」
「そんなぁ」
「失礼します。宮古ヒスイです。転校してきました」
「あらそうなの、よろしくね。それでお客さん? それとも入部希望なのかな」
「あ、の、入部……希望、です」
「そっか、んじゃよろしく。席はだいたい決まってるから、その3番目使ってね」
「はいっ」
「私は部長のエリナ。2年1組」
「よろしくお願いします」
「いい子じゃない、カンちゃん。たまにはやるわね。ほめて遣わす」
まあ俺が褒められてもうれしくはない。
「あの、先輩、ところでなんでメイド服を」
「あぁこれはなんとなく? 伝統?」
「伝統……なんですか?」
「うん」
「うっそだぁ」
思わず俺が突っ込みを入れてしまった。
こんな伝統ないやろ。
うん、今まで見て見ないふりをしてきたが、先輩はいつもメイド服を着ている。
なんでも文芸部の伝統だという主張だが、にわかには信じがたい。
だからいつも入るときに入室の確認をしているのだ。
先輩がお着換え中で、ブラとパンツだったら目も当てられない。
いやいや、先輩がピンクのブラとおそろいのショーツが好きとか、知りたくなかった。
な、なんでもないぞ。
あれは不可抗力で、たまたま、そう、たまたまだったんだ。
俺は悪くない、着替え中だなんて知らなかったんだ。
「それで、私が運悪く遅く来ると、着替え中のことがあるので、部屋に入るときはノックと確認をするように、お願いだぜよ」
「分かりました、先輩」
「ところでもう一着あるのだが、着るかい? メイド服」
「め、メイド服」
「うん、そのお胸なら、きっとさぞかし素晴らしい眺めだと思うんだ」
「先輩、おっさんみたいなだらしがない顔して言わないでください」
「カンちゃんもそう思うだろう」
「ま、まあ、って何言わせるんですか」
「そ、その、私、着て、みたいです」
「まじか」
「そ、そうだよね、うんうん。じゃあカンちゃん外出てて、今すぐ!」
こうして俺は追い出された。
廊下でひとりで待つのもなんだか、変な感じだ。
「どうしたんのカンちゃん? まだ先輩着替え中?」
そこへヒナコがやってきた。
「いやヒスイちゃんが着替えてる」
「えっ、あのおっぱいで?」
「うん、あのおっぱいで」
「メイド服だよね?」
「うん、そう」
「ふーん。カンちゃんのえっち」
「なんでやねん」
どことなく不条理を感じる。
あのおっぱいは俺のせいではない。
まあいい。
廊下でヒナコとしばらく待った。
隅によって横に並んでいたのだけれど、なぜかヒナコはそっと俺にくっついてきて体の側面が触れ合っていた。
少しヒナコは温かい。側面だけでも少し柔らかさも感じる。
それから小説に書いたように、いい匂いがする。
近年、若い女性からは甘い匂いの物質が分泌されていることが分かっている。
その匂いなのだろう。
甘いといっても甘ったるいわけではなく、モモのようなフルーティーなさわやかな匂いがする。
女の子の体温だと思うと、俺は何も言うこともできず、ただされるがままそれを感じていた。
ここに俺とヒナコが実在している証明というか、なんというか。
『おおぉお、これはこれは』
『ちょっ、せんぱいっ、あんっ、やあっ』
なにやらドアの向こうから変な高い声が聞こえてくるが、俺たちは今、のほほんとした春の暖かさを感じていたのに、台無しだ。
「カンちゃん、入ってきていいぜよ」
しょうがない。入るか。
ヒナコと視線を合わせて、覚悟を決めて、ドアを開ける。
ガラガラ。
「おっ、おおぉ」
そこには見事にメイド服を着こなした、ヒスイちゃんが顔を赤くして立っていた。
金髪ストレートロングにはホワイトブリムが載せられていて、チャーミングだ。
白いフリルがあしらわれたメイド服はとてもかわいい。
そして胸が。黒い服が胸の形にくり抜かれていて、薄いぱっつんぱっつんの白いシャツが胸の形をことさら強調している。
巨大な2つのおっぱいの膨らみがぽよよんと装備されていた。
ミニ丈のスカートからは、ガーターベルトとニーソックスが続いていて、その絶対領域の生足はなかなかまぶしい。
足が細い子はこういう格好をするとよく映える。
恥ずかしそうにいやいやと、体を左右に揺すると、半秒遅れてゆっさゆっさ揺れた。
これは本当に目の毒だ。
「すごいね!」
ヒナコも感動のあまり、おっぱいにくぎ付けになっていた。
そして体を後ろ側にするりと移動させると、後ろからガシッと手をまわしてきた。
「どれどれ、うわーお」
「きゃっ」
ヒスイちゃんの胸を下から支えるように持ち上げると、そのボリュームがたわんで、たわわな果実が強調される。
「すごいけど、重くない?」
「……かなり重いです」
「だよねぇ、これだと肩とか凝りそう」
「そうなんですよ」
ヒナコは胸を開放すると、そそくさと壁際に戻て来て、観賞を続けた。
女の子同士は男には無理な直接的干渉、ボディータッチを平気でするから男子には目に毒だ。
「もう一着あるといったな、実は嘘なんだ。3着はある」
「えっ」
「ええっ」
「ヒナコ君、今日こそ観念して、着てみないか?」
「えっでも、私、胸……ないし」
「胸が小さい子でも、それはそれで趣があると思うんだ、私は」
「そうですか?」
「カンちゃんも見たいだろう?」
「ええ、まあ」
「えっカンちゃん、私のメイド服みたいの?」
「いや、まあ」
「分かった! カンちゃんのいう通りだよ、着替える!」
こうしてヒナコまでもメイド服に着替えることとなった。
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