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オオカミとメカ

狩猟の終わった後
――それからの彼女の戦いぶりは、圧倒的だった。初めにピッケンハーゲン少尉が搭乗テストをしたいと言った時は、その態度と志望動機から、遊び半分で志願していないかと少し疑っていたが、その心配は最後まで杞憂のままだったようだ。

 戦場に出た瞬間の戦いぶりは、黒い鎧の名で恐れられるアイアンクロス大隊の双璧にふさわしい戦いぶりだった。試験機の搭載武装は専用武装として用意した大剣と、胴体に内蔵したマシンキャノンのみ。
 少佐と比べて、マシンキャノンは全くと言っていいほど使わなかったが、剣による白兵戦は圧巻だった。

『博士、終わりました』
「お疲れ様」

 剣はテスト中に投擲する形で紛失してしまったが、敵の魔物の剣を奪って再使用するなど、良くも悪くも型破りで臨機応変な立ち回り……途中からやる気をなくしていた少佐と違って、ピッケンハーゲン少尉は確実に短期間でメキメキ上達している。
――だけど、一番気になるのは。

「ピッケンハーゲン少尉、試してみた感想は?」
「私は……試してみて、すごく良かったと思います! 実戦で使っても困らないです!」

 ピッケンハーゲン少尉自体は、大喜びしているのだけど。

「……はあーあ、ずいぶんと気に入っちゃったみたいねえ」

 文句が多いのは、やっぱり少佐だった。

「前も言ったけど、扱える人材が限られるなら、それは兵器として失格よ。実際に上層部はあなたのした量産体制確立の進言を蹴ったじゃない」

 アイアンクロス大隊の中で使う分には困らないけど、今のままだとまだ上層部は買ってくれない。
 とはいえ、元から優秀な兵士としての才覚を常に発揮していたピッケンハーゲン少尉が、更なる強さを身につけて戦場で活躍する選択肢ができたのはいいことだった。




――それから次の休暇。私達は近所のレストランに席を取って話し合っていた。

「……とりあえず、少佐の代わりに最後までやり遂げてくれてありがとう」

 ここはまず、改めてお礼したい。

「士官として当たり前のことをしたまでです。これからも、よろしくお願いします」

 この子とはあまり直接話す機会がなかったけど、一生懸命な子だということははっきりわかった。
 まだ16歳とはいえ、未成年の頃から兵士として戦場に立っていたから、並の冒険者とはまるで覚悟が違う。

「……と、とりあえずお礼として奢ってあげるわ。好きなの食べなさい」
「ええぇぇ!! いいんですかあ!?」

――そう思いかけたところにやってきたのは、幼稚な歓声だった。

「……え、ええ。どうぞ」
「わああーい、ありがとうございますぅ!!」

 早速やってきた料理に対して、食い入るように迫る少尉……
――そう言えばこの前、少佐が言っていた気がする。ピッケンハーゲン少尉のテーブルマナーが悪すぎて、アイアンクロス大隊が一時期軍の会食パーティーへの出席を禁止されたとか。

 それから私は、娘が10歳より下の時でももっとマシな食べ方をしていたと思うほどのテーブルマナーをしばらく見せられ続けた。

――帰る時は先日のシルヴィア少尉の件も併せて出入り禁止を言い渡されることを覚悟したが、なんとかそれは免れた。民間の安いレストランだからよかった。マナーの厳しいお店には絶対連れて行かないことにしよう。
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